〈劇団スポーツ〉の面白さについて
vol. 10 2020-03-19 0
みなさま、毎日の閲覧、ご拡散、誠にありがとうございます。
先日より、演劇祭参加団体で上演がかなわなかった劇団を一つ一つご紹介しております。紹介は特に思い入れのある委員が担当します。
本日は、洒落っ気と外連味、そして泥臭さと爽やかさを全部持ち合わせ両立させている、こちらの団体を紹介します!
劇団スポーツ
《概要》
法政大学文学部の同期である内田倭史と田島実紘により2016年に結成。
2017年より、早稲田大学演劇倶楽部を拠点として活動する。
2018年より、プリセット確認担当兼俳優として竹内蓮が加入。
佐藤佐吉大演劇祭2018in北区にて『グランマに伝えて、アニーは不死身。』を上演し、「えんぶ賞」を受賞。
同年、花まる学習会王子小劇場にて『はしらない』を上演し、佐藤佐吉賞2018「演出賞」を受賞。ワンアイデアから無理やり構想された物語と演劇の可能性を大胆に誤解した演出、脚本を無視し舞台上で思ったことを口にする俳優たちが特徴。
“わかっちゃいるけどやめられない”をモットーに「だらしなさ」をどこまでもストイックに描きます。(HPより引用)
撮影:本田百音
劇団スポーツ(以下、スポーツ)は、
コメディを上演する団体です。とにかくものすごく面白く、上演中は基本的にゲラゲラ笑ってしまいます。そして、笑えるだけではないのが、スポーツの魅力です。
スポーツの作品は、一度観れば観客に
どうしようもない愛着を抱かせ、その後つかんで離さない引力を持っています。観た時の満足感や充実感もつかの間、上演が終わってしまったという事象に耐え切れず、「早く! 早く次やって! 早く!」という気持ちにさせられてしまうのです。
そんなわけで担当の私は、観た後に必ず、「次はいつなんだろう……」「早く観たい……」とスポーツにとりつかれてしまいます。
今回は『怖え劇』を上演予定でした。スポーツ初の
ホラーコメディ。絶対絶対面白かったと思います。いちファンとしても、本当に楽しみにしていました。
そんな担当の私見で、スポーツのすごいところを三つご紹介します。
1.巧みな「ふざけ方」
コメディというものは、演劇に限らず、コントでも漫才でも、コメディ映画でも、構成や台詞に対する
「ふざけ方」が重要なポイントになります。人を笑わせたり、驚かせたりするのに重要な要素、それが「ふざけ方」だと思っています。
世の中には様々なふざけ方が溢れていますが、そんな中でも、劇団スポーツのふざけ方はすごいです。
心が高揚して感動してしまうくらいの巧妙さはもちろん、「何でそうなった? どこから持ってきた?」みたいな、意味の分からない独自性を持っています。
放送委員会の役者が舞台上で音響操作をしたり、ベンチャー企業がいつの間にかちまきを作っていたり……。他にも色々な遊び心が散りばめられ、親しみやすく意外性のある「ふざけ方」になっているのです。
2.自由な出演者
前述した作品全体の雰囲気を作っているのは、作・演出の内田さんと田島さん、劇団員の竹内さんを含めた、座組全員です。出演者はそれぞれの遊び心を舞台上で余すところなく発揮し、アドリブも多く、とにかく自由です。かといって
奔放になることなく、その自由さを使って観客と渾然一体になり、ひきつけて離しません。
何より、それに劇団員も負けていないのがすごいです。もちろん脚本や演出を担当しているのは内田さんと田島さんですが、どちらも、
誰よりも遊びます。竹内さんも二人に負けないくらい自由です。
撮影:本田百音
騒がしく内田さんがぼけて、低音ボイスの田島さんがいなし、竹内さんが物語を回していたかと思ったら唐突にぼける。そんな劇団員の会話は観てるこちらも楽しくなるパチパチキャンディーみたいな味があり、一度味わえば病みつきになってしまいます。
3.余白の使い方
全体的に私たちをひきつけて離さないスポーツの作品ですが、あるときすっと、物語や役者が引いていく瞬間があります。
スポーツは、どうでも良いことは語り尽くして楽しませるのに、肝心なところは語り尽くしません。
いけずです。メッセージ性、といったものが統一されてあるのかどうかも、観ている人々に任されているような、それくらい大きな余白が存在します。
そしてその余白が、観客の心により強い感情を与えていきます。ひきつけられた先にある
大きすぎる余白の世界が、スポーツの大きな魅力だと思います。
今回の公演中止に関する、主宰、田島実紘さんからのメッセージです。
http://gekidansport.com/news20200302/また、スポーツは今回の上演中止に際して、グッズ販売を行っています。
https://suzuri.jp/gekidansport
※こちらのデザインはすべて、内田さんが担当しています。内田さんはチラシデザインなども自分で担当しているのですが、「喧騒と余白」が絶妙なバランスで共存している、スポーツの良さを感じるデザインになっています。とってもおしゃれです。是非一度、ご覧ください。
演劇動画配信サービス「観劇三昧」でも、過去作品の動画が配信されています。
『はしらない』 https://v2.kan-geki.com/streaming/play/1197
『すごくうるさい山』 https://v2.kan-geki.com/streaming/play/1368
劇団スポーツは、観に来た人々を引き連れてどんどん大きくなっていく団体だと思います。ここで歩みをとめさせてはならないし、もっと様々な方に観ていただきたいと思っています。
皆さま、どうか温かいご支援いただけますと幸いです。
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《劇場初、オンライン下見開催のおしらせ!》
花まる学習会王子小劇場はただいま閉館中です。
下見も難しい状況ですので、 このたび劇場内を 《生配信》でご案内します! 3月21日(土)20時より下記ページにて!開始致します!
チャットで 生配信に対しての生質問もできますので、どなたでもお気軽にご覧ください!