〈劇想からまわりえっちゃん〉の面白さについて
vol. 4 2020-03-13 0
サポーターのみなさま、気にしてくださっているみなさま
ご支援、応援コメント、本当にありがとうございます。
ここからは、演劇祭参加団体で上演かなわなかった劇団を一つ一つご紹介していこうと思います。紹介は特に思い入れのある委員が担当します。
今回上演できなかったことは、少しも、彼らに非があることではありません。彼らの作った演劇を今すぐ届けることができなかったことを、本当に残念に思っています。
文字での紹介は、演劇で彼らがしたかった表現に比べれば無力ではありますが、これを機に彼らを知る方もいるかもしれないので、彼らが素晴らしい劇団だということを、少しでもご紹介できればと思います。
それでは!参ります!
劇想からまわりえっちゃん
《概要》
大阪芸術大学在学中に青沼リョウスケを中心としたメンバーによって、2008年に結成。現在7名で活動中。
「演劇なんて大嫌い」をモットーに、少年漫画的展開をなぞりつつも心の繊細な部分に触れるメッセージ性の強い戯曲を、 圧倒的な熱量で演じる中突然のギャグを挟んで自ら茶化す独自のスタイル「ギャラクティックアクト」にて全力全開で表現する。
その技法は舞台客席全てを翻弄し、いつしか大人が忘れていたピュアな気持ちを呼び起こす。
これまでに、佐藤佐吉演劇祭優秀作品賞をはじめとした数々の賞を受賞するなど、今最も注目されている劇団の一つである。(公式HPより引用)
これを書いている私は、劇想からまわりえっちゃん(以下、えっちゃん)を初観劇した時、一瞬で心を奪われました。
大阪から、どえらい劇団がやってきた。
友人知人に、興奮気味にそう話してまわったことを覚えています。
東京でも着実にファンを増やしてきたえっちゃんは、今回の演劇祭で満を持して、「つつじホール」という、400人以上のお客様が収容できる劇場に進出する予定でした。
そんなえっちゃんのすごいところを、完全にいちファンの私見として、三つにまとめてご紹介したいと思います。
1 ダイナミックな世界観がすごい
壮大なストーリー、圧倒的な俳優の熱量、妥協なきテクニカルワーク・・・えっちゃんを観ると私はいつも圧倒され、心震わされ、勇気づけられます。
それはもちろん、個々のスキルが高いということでもありますが、それだけではなく、「全員が同じ場所を目指している」という団結感から生まれるすさまじいエネルギーが、客席に突き刺さるのです。
そしてそのエネルギーは、一見ありのままの表現欲求に見えて、実はとても洗練されています。きっと稽古場では、本番で私たちが目のあたりにするものの何倍、何十倍ものアイデアが試され、そして淘汰されていっているのだと思います。
そんな努力を見せようとせず、ただただ楽しそうに表現をするえっちゃん。本当にすごいです。
2 怒涛のギャグがすごい
劇中、すさまじい手数で放たれるギャグも、えっちゃんの大きな特徴です。ひとつひとつのギャグが、じっくり立たせてもいいくらいクオリティが高いのに、固執せずどんどん次のギャグへと展開していく様は、ウニやイクラがシャリからこぼれ落ちる「のっけ寿司」を想起させます。
そしてえっちゃんの作品は、いわゆる「ギャグパート」というものがあるわけではなく、終盤のメッセージ性が強いようなシーンでも、どんどんギャグを入れてきます。そして、それが作品を壊すわけではなく、さらにそのシーンを魅力的にしているのですから、もうわけがわかりません。ギャグというものが持つ可能性の大きさについて、とても考えさせられます。
3 「光」の裏の「影」がすごい
実はこれが、最大の特徴なのではないかと思っています。えっちゃんの作品には常に、そこはかとないペーソスが漂っています(と私は思っています)。
人生は、楽しいだけじゃなくて、辛いことや悲しいことも沢山ある。そこから逃げるのではなく、真っ向から立ち向かったうえで、それを笑い飛ばし、ギャグに変える。その勇姿が、劇想からまわりえっちゃんという劇団を、唯一無二のものにしているのだと思います。
まだまだ、語りたいことは山ほどあるのですが、ひとまず以上が、私の考える「三大えっちゃんのすごいところ」です。
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今回の公演の中止に関する、劇団さん、そして主宰の青沼リョウスケさんのメッセージは、こちらからお読みいただけます。
またオフィシャルグッズがウェブで購入できるページもあります。
https://gekisouke.shopselect.net/
演劇動画配信サービス「観劇三昧」でも、過去作品の動画をたくさん観ることができます!
既に、多くの支持を集めるえっちゃんですが、もっともっと多くの人に、あの世界を目撃して欲しい。是非とも、ご注目いただきたい劇団です。