働く=世界に何か“いいモノ”を追加すること
vol. 17 2015-11-13 0
こんにちは。『WE WORK HERE』は東京で働くを一つのテーマとしていますが、今回はみどり荘メンバーで岐阜に移住して、EC サイトの開発などを手掛けている中原さんにインタビューをしました。
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今岐阜で住んでいる家は親族の持ち物であることもあって、家賃はタダ。その代り、古民家と言えば聞こえはいいけど、相当古くて、セルフリノベーションが必要だ。でもそれがやりたいというのが理由の一つでもあって、中原さんは岐阜への移住を決めた。月に14 万掛かっていた保育園代は何と月に5000 円程度に。生活費は東京の4 分の1 から3 分の1 になった。元々会社員ではないので働く時間は自由。お金の面だけではなく、子供と過ごす時間も倍増した。住まいも含めて、ここには低コストでものづくりを楽しめる環境がある。今はそれが心地良い。
今でこそそんなゆったりとした生活をしているけど、起業して上場を目指していたこともある。大学時代に付き合っていた女の子との影響で、アートインスタレーションをつくることにのめり込んだ。起業もその延長線上にあった。かっこいいアートをつくろうと時間を忘れるほど、仲間と共に仕事に打ち込んだ。小さい会社だったけど、大きなクライアントもついていた。その矢先に起こったリーマンショック。正式な受発注が行われないままに進むのが業界の慣習。それを逆手に、すでに進んでいた仕事が急に飛んだ。大きな金額が見込まれていたプロジェクトがなくなってしまい、大切な仲間を苦渋の決断で解雇した。
「かっこいいものをつくるより、ちゃんと商売として成り立つものを」。つらい経験から会社の方向性を変え、そのとき急激にニーズが高まっていたスマホのアプリ開発に力を入れた。すると、不思議なほどに儲かった。付き合う人たちも変わった。一晩でワインを1千万開けるような人たちとパーティーをしていたこともある。でも、そんな暮らしが2,3 年続いたけれど、自分の価値観は変わらなかった。高いワインを覚えても違和感はぬぐえなかった。みどり荘に来たのはそんな働き方にも限界を感じて、新しいことを始めようと思った頃。
中原さんにとって、仕事とは世界に新しい価値を追加すること。今中原さんが岐阜で仕事をできるのも、誰かがパソコンを開発し、ネットの技術を進化させ、遠隔地と仕事をできる様々な“モノ”をつくってくれたから。居心地のいい古民家は昔の大工さんがいい仕事をしてくれたから残っている“モノ”。今の暮らしは誰かのいい仕事によって成り立っている。では、自分はこの世界に何か貢献できているだろうか。岐阜での仕事のいいところは、自分が働きたい人と働けること。でも、いい仕事はやっぱり東京に集中していたりもする。岐阜で中原さんは何を残すのだろう。子供に自然にものづくりに向き合いながら、東京とは違う何かを見つけるのかもしれない。