猪苗代のワルリ画に込められたストーリー「語り部の話」
vol. 6 2017-01-28 0
猪苗代に来ています。
猪苗代の方々に聞いた話をもとに描かれた「猪苗代のワルリ画」の絵本を作るにあたって、絵に込められた話を再度、物語の形に解きほぐそうとしています。
ワルリアーティストたちに語っている鈴木さん 協力:会津民俗館(猪苗代町)
猪苗代の取材をする中、昔の暮らしや、民話、今の猪苗代や会津にも伝わる風習などを語ってくださった、鈴木清貴さん。昭和21年生まれの鈴木さんは、子ども時代に農作業の相棒だった牛や馬の世話をしていた最後の世代。ご退職後、語り部として、子どもたちに自身の子ども時代の遊びや、経験を伝えて、研究した風土史をまとめる活動を続けてきた背景には、こんな思いがあったそうです。
「郷土愛とはどこから来るのか」
その問いに真剣に向き合い、子どもたちが外へ出て行ったときに、「地元にはこんな話が伝わっている」「自分は体験していないけど、じいちゃん、ばあちゃんはこんなことを話していた」と、相手に伝える話を携えられるように、と積極的に活動を続けてきたそうです。
ワルリアーティストたちにとって、子どもたちに「語り継いでいる」という行為は、とても感動的だったそうです。
「自分たちも、ワルリ族としてのアイデンティティの拠り所になっているのは、おじいさん、おばあさんから聞いた話や、子ども時代に見て、聞いて、体験したこと。テレビや色々な楽しみが村に入ってきて、祭りに参加する子どもの数も前よりも減っているけれど、おじいさん、おばあさんが営んできた暮らしの形は、今もかろうじて残っている。自分たちはそれを大切に残し、次へとつないでいきたいと思っている」
だから、2枚目に描かれた「再び始めよう」には、大人が子どもたちに話を聞かせているシーンが描かれています。(一番上の写真)
猪苗代の昔を伝える豆本の裏表紙の写真は、牛の世話をする子ども時代の鈴木さん。
鈴木さんは、20代の頃に心に決めたことがあったそうです。
「どんな人とでも話せる人間になろう」
この言葉には、色々な意味合いが込められています。誰とでも分け隔てなく接する、ということはもちろん、どんな立場の人とでも、どんな場でも物怖じしない、毅然とした態度ととる、ということ。それはつまり、自分の頭で物事を考え、見通しを持ち、意見を携えるということ。
鈴木さんから聞かせていただいたたくさんのお話。このアップデートでも書いていきますし、絵本の中にも登場させます。
お楽しみに!
okazu