完成披露試写会
vol. 18 2016-05-30 0
5月20日(金)と5月29日(日)に、横浜みなとみらいにある「イオンシネマみなとみらい」にて完成披露試写会を行いました。
キャスト、スタッフだけでなく、MotionGalleryのクラウドファンドサポーターの方々や、エキストラ、撮影協力先の方もご招待させていただきました。
最初の試写を、閉鎖的な試写室ではなく一般の映画館でやって、関係者だけでなく一般の方にも参加いただいたのには僕なりに意図があって、劇場公開を想定したテストをしたいと思い、それなりの予算をかけてやりました。
詳細は多岐に渡るのでここに記すのはやめておきますが、ざっくり言うと、これから目指すべき劇場公開の方向性について、「技術面」と「戦略面」を同時に検討できる機会となりました。
技術面では、初回の劇場の方が上映機材が最新で、収容人数の大きなホールでやったため、映像の鮮明さや音の迫力の面において、こちらで意図していたものに近い状態を再現できたと思います。
非常に微妙な部分ですが、残念ながら2回目の試写では、上映機材の性能がこの作品の持つポテンシャルに追いついていないと感じました。
こちらでコントロールできることは限られますが、プロジェクターやスピーカーに何を導入しているのかというのも、劇場公開の際の判断のポイントにしていきたいです。
今回は2K(HD)上映でしたが、この作品は4Kで撮影、編集しているため、4Kで観てもらうのがベストです。
まだまだ4K上映に対応した劇場が少ないため、2K上映を前提に考えていく必要があるのですが、4Kは2Kの数倍も高精細になるので、視覚的に入ってくる情報量が圧倒的になります。
今後4Kの上映を行い、この作品を100%の状態で観てもらえる機会を必ず作っていきたいと考えています。
また戦略面では、映画館の立地やそれぞれの映画館が持つ個性も含めて、どんな劇場で流すのが良いのか、どんな客層をコアターゲットにしていくかという部分での検討です。
今回の試写で、どんな年齢層、どんな趣味嗜好の方に一番響いたのか、少し肌で感じることができました。今後の展開や宣伝に活かしていきたいと思います。
シネコンで流れている商業作品と並んで上映してもらったことで、ずっと考えていたことを思い出しました。
今の日本映画では、「誰が出る」とか「何が原作」だとかいうところからしか映画が成立しなくなっていると思うんです。
映画はもっと自由なはずで、それ以外の映画があってもいいんじゃないか、という想いがずっとありました。
ハリウッドの映画が面白いのは、圧倒的な数のオリジナル脚本があって、それをちゃんと映画にするだけのシステムがあるからだと思っています。
オリジナル脚本で映画化することは難しい状況ですが、今回はそれに敢えて挑戦してみました。
僕も今回の試写で初めて大スクリーンで観たのですが、2ヶ月以上もワークショップをともにした、主要キャストたちが、彼らでなければこの作品はありえなかったと思える位にしっくり来ました。
キャスティング時点では「本当にこれでいいのだろうか?」と自問自答し、不安が多かったのですが、長期間の役作りを経ることで、役になりきり、役を生きてスクリーンの中に存在することができたと思っています。
主人公の小説家・白石理人を演じてくれた小川ゲンさんは、とにかく自然体でストンとカメラの前にいることができる、素晴らしい才能を持った俳優さんだと思います。
僕の書いたセリフに生命を吹き込んでくれたこと。そして、このキャラクターをリアリティのある人間にしてくれたことに感謝しています。
ヒロインの本田沙紀を演じてくれた新井郁さんは、僕が偶然ネットでプロフィールなどを見かけて、何かを感じてお声掛けし、オーディションに参加してもらいました。
彼女には、これまで演じてきた妹的なキャラクターから脱却し、大人の女性を演じてみて欲しいと話したのを覚えています。当初はフワフワと地に足がついていないような印象を受けましたが、この作品を通して、役を生き、本物の女優さんになったと感じました。彼女の個性なしにこのキャラクターは成立しなかったと思っています。
ヒロインの妹・本田綾役の小野まりえさんは、彼女なら間違いないし、この役は彼女しかいないと僕から直接オファーをさせていただきました。一発で決めないといけないシーンでの集中力には何度も助けられました。彼女の眼力(めぢから)が、この作品を予想のできない振り幅にまでもっていってくれたと思います。
綾に想いを寄せる、市川健吾を演じてくれた赤染萌さん。周囲の空間に完璧なイメージを創りだすことのできる稀有な俳優さんです。ワークショップでは最後までキャラクターを掴むのに苦労していましたが、難しい役どころを繊細な表現で演じきってくれたと思います。
ヒロインの婚約者・桐島直哉役の平吹正名さん。彼の存在がワークショップにおけるチーム全体の安心感につながり、それが同時に作品にも計り知れない影響を及ぼしてくれたと思います。少ないシーンの中でも一際印象深く、大きな存在感を放っていると思います。
主人公の元恋人・紺野美優を演じてくれた綱島恵里香さん。可憐で華のある存在として作品をより魅力的にしてくれました。多くはない出演シーンの間を、彼女なりの解釈と表現でちゃんと埋めてくれたと思いました。
撮影を含めると彼らは3ヶ月近くの間、役とともに日々を過ごし、役を生きるというところまで到達してくれたと思っています。
自分の直感を信じて良かったし、彼らが僕を信じてついてきれくれたことに感謝したいです。
この作品は映像のクオリティ的にも、ロケーションの充実度などにおいてもレベルの高い作品になっていると思います。
この規模の長編映画をスタッフ6〜7名でやるというのはかなりの挑戦だったと思います。少数精鋭のスタッフに本当に助けられました。
僕らのアプローチは、ある予算、機材、時間の中でやれることを考えるというものではありませんでした。
まず成し遂げたいイメージがあり、なんとかしてそこに辿り着こうともがく。
一人ひとりが作品を良くしようとすると、こんなにも高いところに辿り着けるのかと、何度も驚かされました。
今回観てもらったことで、色んな意見や感想をもらいました。
それは、もうこの映画が「観てくれた人たちのもの」になった証拠です。
僕がそれにいちいち自分の意見を言うこともないし、説明を加える必要もないと思っています。
観てもらったものが全てで、それ以上でも以下でもない。
作品を気に入ってもらえたら嬉しいけれども、例えそうでなくても、何かしらひっかかるものがあればいいなと思っています。
映画はやっと完成しました。でもまだ完成しただけとも言えます。
これから多くの人に届けなくては意味がありません。
また新たな挑戦となりますが、引き続き応援よろしくお願いします!
お忙しいなか劇場までお越しいただいた皆様、ありがとうございました!!