ポスプロ
vol. 15 2016-02-28 0
サポーターや関係者の皆さまには、完成披露試写会のご案内を送らせていただきました。
5月上旬の完成に向けて、ポスプロ作業を進めております。
「ポスプロ」とは、「Post-Production」の略で、撮影後の編集から仕上げにかかる作業全般を指します。逆に撮影前の準備作業のことは「プリプロ」といい、「Pre-Production」の略です。
映像の編集が終わって、もうこれ以上変更しないという段階になると、今度は音や色調整、テロップCGなどの作業に入ります。
音の作業としては、音を聞きやすくバランスをとったり、ノイズを除去したりする「整音」や、リアリティや臨場感を増すためなどに、環境音や効果音を追加したりします。
今回は同録といって、撮影と同時に音を収録しているのですが、セリフで聞き取りづらい箇所はアフレコをします。一部ナレーション(モノローグ)があるので、その収録もします。
そして、音の作業としてもう一つ大きいのが、音楽です。
それらを同時並行的に進め、最後に全部の音のバランスをとる作業をします。
映像の最終版と音の最終版とを一緒にして、映像データとして書き出したら完成です。
整音や効果音、そして音楽についてはそれぞれの専門家にお任せしました。
僕は実作業はせず、方向性や演出意図を伝えて監修をします。
僕自身の作業で、いま進めているのが「カラコレ」です。
「カラコレ」とは「カラーコレクション」の略で、色の補正を行う作業です。
撮影時の光や色の違いを補正したり、作品全体のトーンを作るために行います。
これも専門家に頼めれば楽なのですが、今回は予算的に自分でやることにしました。
カラコレのアプローチとしては、撮影時にある程度の色を決めて撮る方法と、ポスプロの段階で後から色を作っていく方法があります。
前者のアプローチだとポスプロ時にあまり手がかからないのでが良いですが、後からあまり変更ができないデメリットがあります。
後者だと、ポスプロで時間がかかりますが、自由度が高いのがメリットです。
今回は、ポスプロ段階で時間が取れそうだったので、後者のアプローチを選択しました。
「Logモード」という、幅広いダイナミックレンジをもった、カラコレでの自由度が高い方法で撮影しました。
カラコレの作業自体は、編集ソフトの色補正機能でもできますが、「Davinci」などのカラコレに特化したソフトが出ているので、それらを使います。
最終的にどんな色にするかは、監督の演出意図や撮影監督の意向が反映されるのですが、カラコレに正解はなく、拘りだすとエンドレスな作業となります。
とことん時間をかけても、色がどう映るかはプロジェクターやテレビの設定などの上映環境にも左右されます。
しかしながら、映画のルック(見た目)は、作品の印象を左右する重要な要素ではあります。
例えば、僕が韓国で監督した短編映画「Black Mirror」では、ダークな陰鬱なイメージを意図していたので、下の画像のような色にしました。
「Black Mirror」©AFA2013
今回の映画では、暗くし過ぎず、色彩豊かだけど、どぎつくない、フワッと優しい印象に仕上げようとしています。デジタルのツルッとした質感よりも、フィルムの粒子感のある感じにしたいと思っています。
撮影素材の画像と比較してもらうとわかりやすいと思いますが、カラコレをした画像の方が、印象が強くなっていると思います。
■「リバースダイアリー」撮影素材
■「リバースダイアリー」カラコレ後
カラコレにおいても、「現在」と「過去」の差についても少しは意識していますが、あからさまに違いを出すのではなく、なんとなく感じられる程度の変化をつけるようにしました。
よく過去のシーンを白黒とか、セピア色にする分かりやすい方法がありますが、今回はシームレスに過去と現在を行き来しながら物語を展開したいという意図があるので、微妙な色彩の違いに留めています。
まだまだ作業は続いていますが、どんな風に仕上がったかは、是非作品でご確認いただければと思います!
来週は、「アフレコ」を行う予定です。