映画「Purple Sun」について
vol. 7 2020-05-11 0
こんにちは。「Purple Sun」共同プロデューサーの今井太郎です。
「Purple Sun」クラウドファンディングは折り返し地点を経過し残り15日となりました。お陰様で37人の方々から合計287,000円のご支援を頂いております。
皆さま大変な状況の中、これだけのご支援を頂き、大変感謝しております。
今日は映画「Purple Sun」の内容についてもう少し詳しくご説明しようと思います。
PURPLE SUN
監督・脚本 カルロ・エンシーソ・カトゥ
寒さの厳しい北海道で、傷ついた三人の人間が出会う。各自の背負っている重荷を下ろし、自分と向き合い、嘘のない関係を築くことで自分達を解放して行く。
愛、そして家族の意味の曖昧さを描いた「Purple Sun」
3部構成のストーリー
第1章 アルド
フィリピン・パンパンガ州出身のアルドは日本に出稼ぎに行っている“兄”、チャールズからの仕送りを頼りに大学を卒業する。しかし、ある時からチャールズと連絡が取れなくなり、兄を探しにアルドは日本にやってくる。
日本に来て1年後、アルドはチャールズと再会を果たすが、長い年月と生きる環境の違いからか、お互いが別人になっていた。
第2章 イズミ
自分が運転していた車の事故で息子を失い、長年続けてきた日本舞踊を支えてくれていた旦那とも別れたイズミは、雪の降る夜、車にひかれそうになる。しかしチャールズが身代わりになり車にはねられる。献身的にチャールズの看病をする間に、二人の過去の傷が、お互いに癒されていることに気づく。
自然な成り行きで、恋に落ちるイズミとチャールズ。そして数年後、チャールズから“弟”のアルドが、フィリピンからやって来た事を知らされる。
第3章 チャールズ
フィリピンの孤児院。他の男児と家族のような共同生活をしている、ティーンエイジ時代のアルドとチャールズ。二人は実は血の繋がった兄弟ではなく、孤児院で一緒に育った兄弟のような二人だった。
二人はある晩、一緒に孤児院を抜け出し、建設現場で働くようになる。いつしか二人の関係は親友、そして兄弟以上の関係になっていったのだった。
チャールズに日本で働く機会が訪れる。またすぐに会えると別れを悲しむ二人。チャールズの帰りを待ち続けるアルド。しかしチャールズは事故に巻き込まれ、帰ってくる事はなかった。
数年後、愛する人と静かな生活を送るチャールズの前に、突然アルドが現れ、過去に置いてきたフィリピンでの生活と恋人との記憶が蘇る。
アルド、チャールズ、イズミは同じ家で暮らすようになる。三人はそれぞれ、自分の気持ちと向き合う事を強いられ、誰が、誰を愛し、どこに線を引き、どこを曖昧にするべきかの決断に悩む
イズミとの寝室から抜け出し、夜な夜なアルドの部屋に通うチャールズ。イズミはある晩、チャールズが入っていったアルドの部屋の扉を開ける…激しく愛し合う二人を目撃するイズミ。しかしイズミは驚くわけでもなく、怒るわけでもなく、悲しむわけでもなく、困惑する二人の間に入っていくのであった。その後、それぞれの気持ちが、それぞれから離れて行く。
チャールズをイズミと共有する事は無理だという事を悟り、フィリピンへ戻るアルド。チャールズとイズミも、アルドが二人の前に現れて以来、お互いへの愛情が元に戻らない事を悟り、決別する。
チャールズが故郷、フィリピンへ戻り、“真の居場所”を見つけ出すところで、ストーリーの幕が下りる。
監督からのメッセージ
「Purple Sun」では、複雑な人間の憂鬱、痛みと快楽の二面性、悲哀と落胆の違いが描かれています。本作のテーマは、「想い出」、「喪失」、そして「憧れ」。
悲しみと孤独感が続く状況の中で、私たちは安堵を求め続けます。私たちの過去は現在、そして未来へも影響を与え続けます。
本作で描かれているのは、二人のフィリピン人男性と、一人の日本人女性の間で交わされる、友情、愛情、憐れみ、そして受け入れ。これには、両国間での、苦悩、荒廃、そして寛容に満ちた過去の歴史も反映されています。
エドワード・ヤン監督、是枝裕和監督などの作品に影響を受けた本作「Purple Sun」は、それぞれの登場人物の、宿命、または個々の選択による人生の流れ、その簡易さ、複雑さを真の姿で表し、彼らの人間性を見つけ出して行く物語です。
私が「Purple Sun」の脚本を初めて読んだ時、アルフォンソ・キュアロンの「天国の口、終りの楽園。」やルカ・グァダニーノの「君の名前で僕を呼んで」を思い浮かべました。皆さまにも読んで頂きたい位、素晴らしい脚本です。単なるLGBT映画ではなく、両作の様に、長年人々の記憶に残る名作になると思っています。
残り15日、目標達成へ向けて頑張って参りますので、皆様も引き続きご家族、お友達、ご同僚、お知り合いにお勧め頂いたり、SNSでシェアして頂けると幸いです。
harakiri films
今井太郎