井戸の湧き出る水の不思議といのちといのり
vol. 45 2019-07-02 0
三日連続の井戸掘りを終えて、カレンダーをめくる。
3.7mの深さから、なかなか木枠がおりない。
まわりから土砂が崩れてくる。
ドシャー、その音は地響きのようで、地面が崩れるのではないか、という
恐怖が一瞬よぎる。
すると、木枠の途中から、しょんべん小僧のように、湧き水が
じょぼじょぼ吹き出して、作業中の人に降り注ぐ。
ああ、もうびしょびしょ。
井戸の底には ウオーターポンプ3台、がんばっているけど
砂を噛んだりすると、働きが弱くなり、みるみる底に水がたまる。
3台が壊れたら、2mくらい溜まるから、これまた恐怖。
この井戸に降りて、スマホを持って撮影するのはわたしの役目だと思ってるけど、落としたり、濡らしたりしたくないものやなあ、と毎回おもう。
ビビリのわたしが、モーションギャラリーのアップデートの映像を撮って、ちゃちゃっと編集してる。
ちなみに、映像係のシゲちゃんは、最新の機器を手に入れた。
長い棒の先にカメラをくっつけ、腕に時計のように巻きつけたモニターに様子が映る。
土砂の崩れ具合を、このモニターで確認したこともある。
*
毎日のモルタルレンガづくりはつづいている。
いろんな人の関わりのおかげやなあ、と思いながら、名前を書いている。
先日、支援者から紹介された難民のイラン人は、
このところよくココルームに顔をだすようになった。
その時も、たまたま井戸掘りの時で
やってみたいと言い出した。着替えを貸した。
彼は、井戸でスコップをふるうと、
「こんなこと、はじめて」と喜んでいた。
そして、言う「井戸掘り、もっと、手伝いたい」
「もし、じぶんが自立できたら、ココルームにドネーションしたい」と
両手で水をすくうようにして、言う。
生きることに、切実な人が、こんなにも、井戸掘りに惹かれている。
水はいのち。
いのちという文字の並びは、いのりのようだとおもう。