働くこと=社会へポジティブに影響していくためのツール
vol. 50 2015-12-25 0
「東京で働くこと」をひとつのテーマとする『WE WORK HERE』。最近鎌倉に引っ越し仕事で東京に来る生活をするティナ・ディングラーさんにお話を伺いました。
彼女は、アメリカ→イギリス→東京へやってきて数年。日本でのKINFOLK MAGAZINEコミュニティギャザリングホストをつとめ、学芸大学のFOOD&COMPANY、代々木上原のNODE UEHARAなどを手がけたコミュニティ・ディレクターとして活動しています。
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インド人と日本人の両親を持ちアメリカで生まれ育ったという彼女が日本へやってきて4年。外資系の広告代理店で働いたのち、フリーランスでブランディングやエクスペリエンスデザインの仕事を始めたところだ。
学生時代、クリエイティブディレクターになりたい夢を抱いた彼女はボストンの大手広告代理店でアシスタントとして働き始める。その後、大好きでたまらなかった音楽を仕事にしたいと考え、生まれ育ったサンタモニカに戻りミュージックスーパーバイザーの職に就く。そこではじめて自分自身の働き方に目を向けるようになったという。「表面的なものを魅力的にみせること以上に、自分の日常的な働きがもっと社会にプラスとなる、そんな仕事の仕方をしたいと思ったの」。広告をただ物を消費させるためだけのツールとしか見られない時期もあったが、パダゴニアやIDEOのように、事業活動を通じて社会貢献を実現しているような企業に惹かれるようになっていったと話す。
その後、イギリスのセントラル・セントマーチン芸術大学にてデザイン思考を学ぶ。そこで得たものの見方や人間関係が、彼女の人生に大きく影響しているのだと言う。
日本へ来た動機のひとつは、自分のルーツを探る、ということ。「おばあちゃんがこの国でどんな風景を見ていたのか、自分も知りたいと思っていたの。だからいま住んでいる鎌倉や京都といった、昔の町並みが残っているところにとても魅力を感じる」。
移住してからしばらくは都内でシェアハウス暮らしだったが、今年に入って鎌倉へ移住。刺激が多い東京で得る情報を整理する時間が欲しかったのだと言う。「社会を良くしてきたいって思って活動していくなかで、情報に溺れてた。それがちょっと危険だなと思って。疲れたってわけではなくて、ただ、いまの情報をちゃんと解釈したい、理解したい。そう思って、湘南新宿線に乗る55分で頭の中を整理する生活を始めたの。パソコンの前だけ、ビルとビルの間だけの生活だと、逆に世界が狭く感じちゃう。世の中が複雑になっていくからこそ、シンプルに暮らして、自然に、自分の立ち位置がわかる生活がしたい。そういう状態の自分に戻れるのが山とか海がある場所なんだっていうのがわかったの。それを日々感じられると自分の仕事のモチベーションにも繋がるから、いまの暮らしが気に入っています」
そして、現在の彼女の人間関係における心がけや、お金や物に対する考え方、メディアの捉え方についても話してくれた。
彼女にとって「働く」とは、社会へポジティブに影響していくためのツールなのだと言う。体温を感じる事を手がける彼女が今後どんな活躍を見せるのか、引き続き注目したい。そう思わせてくれるインタビューだった。