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『山形国際ドキュメンタリー映画祭2019』世界の監督たちを地域や学校派遣!をクラウドファンディングで実現!

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019
世界の監督たちを地域や学校に派遣。意外性に満ちた新しい交流を作り出したい!

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019に参加する海外の映画監督たちを山形県内の各地に派遣し、地元の方々と上映会やワークッショプを行い、各地域の文化や自然や人情に触れ、映画祭だけでは味わえない生の国際交流を目指します。

FUNDED

このプロジェクトは、目標金額400,000円を達成し、2019年9月30日23:59に終了しました。

コレクター
41
現在までに集まった金額
450,000
残り日数
0

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このプロジェクトは、目標金額400,000円を達成し、2019年9月30日23:59に終了しました。

Presenter
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PRESENTER
髙橋 卓也

山形市在住。フォーラム運営委員会、山形県映画センターで映画の配給・上映の活動を約20年。1989年に市民として立上げに係った山形国際ドキュメンタリー映画祭に2005年から専従として参加、2007年より事務局長、2018年より理事/プロジェクトマネージャー。映画「蕨野行」の製作と上映を支援する会事務局長、ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」、「無音の叫び声 農民詩人木村迪夫の牧野村物語」「世界一と言われた映画館」にプロデューサーとして関わる。現在「紅花の守人」を製作中。

YIDFF監督派遣報告:尾花沢市立玉野小学校での交流

vol. 19 2020-01-28 0

【YIDFF監督派遣:山形県尾花沢市立玉野小学校での交流】 報告者:玉野小学校教諭・映画祭ボランティア 齋藤寿子

 山形県尾花沢市は、花笠音頭に「雪を眺むる尾花沢」と歌われるほどの豪雪地帯です。しかし、2019~2020年冬は記録的な暖冬で、子どもたちのスキー授業が行われるかも危ぶまれるほどでした。

 12月13日、まとまった雪が降って一面真っ白に雪化粧した玉野に、天童市在住の佐藤広一監督と、山形市在住の翻訳家、リサ・ソマーズさんをお迎えしました。佐藤広一監督は、YIDFF2019において上映された『やまがた舞子〜受け継がれる伝統芸能〜』の監督を務めていらっしゃいます。リサ・ソマーズさんは、この作品の英語字幕の制作を担当されました。玉野小学校では、ドキュメンタリー映画『やまがた舞子〜受け継がれる伝統芸能〜』の英語字幕付きバージョンを上映。児童や先生方に鑑賞してもらい、その後、映画監督、翻訳・字幕制作というユニークな分野で活躍されているお二人との質疑応答や交流をしました。今回は、映画の分野で働くお二人とともに、「キャリア教育」の一環としての授業にもしたいという願いがありました。

報告の形は、あの楽しかったひと時がより伝わるようにと、少々長くなりますが、発言をほぼそのまま載せることにしました。

*佐藤監督から「やまがた舞子」についてのお話: 今年のドキュメンタリー映画祭で上映された作品です。山形の舞子さんについての映画ですが、日本人だけじゃなくて海外の人にも見てほしいと思って、リサさんが翻訳してくれて、英語の字幕を付けてくれています。今日は英語字幕版なので、字幕を見ながら見てもらって―まあ、わからないかもしれないんですけど―「このくらいしゃべっているのにこんなに長いんだ。」とか、単純なところからでいいので楽しんでもらえればと思います。

*感想・質問(4男Wは、4年男子、名前の頭文字)

齋藤 : 忘れないうちに、映画の感想から聞きましょうか。みなさんは、こういう映画は見ないでしょう?先ほど「調査」したところ、この頃見た映画で多かったのは「アナ雪」でしたね。

4男W: 舞子さんが、(お座敷芸で)早口を覚えなくてはいけないのを初めて知りました(「外郎売り)の中で)。

佐藤 : 舞子さんといっても地域によって特色があります。みんなが同じことをやっているわけじゃないんです。

5女S: 舞子さんがかつらをつけているのを初めて知りました。

佐藤 : ああ、確かに。全部知った上で取材するということがまずなくて、取材をしながら知っていくというのが多いんです。この舞子さんのシリーズの前に、「山形鋳物」と「山形打ち刃物」という作品があるのですが、最初は詳しくなくて、取材するうちに知っていく面白さというのがあります。毎回毎回、取材をしながらこちらも知識を得ていくというか、興味を持っていくという考え方で取材しています。

齋藤 : では、作品を見ると、監督がこんなところに興味をもったんだなというところをわたしたちは見ることができるということですね。

佐藤 : そうだと思いますね。構成などはある程度考えます。なんとなくまとめるんですが、その通りに行くこともあれば、取材しながらいろんな人と知り合ったりして、「こういうのもあるよ。」というのに興味をもったらそちらも取材したりすることもあります。そこがドラマと違うところで、ドキュメンタリーの面白さだと思います。

齋藤 : 小学生が見るのはほとんどが、台本ができていて、お話ができているという映画ですが、さっき聞いた「アナ雪」の他は、玉野小では「ポケモン」「ピカチュウ」「ドラゴンボール」などが人気ですね。

齋藤 : 監督は天童にお住まいで、天童に住み続けて映画を作っていらっしゃるわけですが、監督の映画との出会いをお聞きできますか。

佐藤 : 昔は中央に行かないとなかなかチャンスがなかったのですが、今は生き方も世の中も多様化していて、地方在住でも映画制作している人がいます。その大きな理由の一つが、映画がフィルムじゃなくてデジタルに変わってきたことじゃないかと思います。昔は35ミリフィルムなどで撮影していてお金もかかったわけです。2011年の震災の年に、一気にデジタル化が進みました。今、映画館で上映している形式がDCPというデータ上映に切り替わっています。使っているビデオカメラも、アベンジャーズを撮ったのと同機種のものが安く手に入るので、機材の差がなくなってきているというのもあると思います。

中学校のころから映画の仕事をしたいと思っていましたが、ビデオカメラが高校のころから普及し始めたので、最初は家族の記録を撮るからと言ってビデオカメラを買ってもらい、その日のうちに、2本くらい短編映画を作りました。高校から60本くらい作った中から応募したら、結構賞に入ったりしました。地方で作っていても通用するんだな、作品があれば日本中どこにでも行けるというのがわかりました。そのころから、映像の仕事でもやって行けるのではないかと思ったのがきっかけで、気がついてらこの仕事をさせてもらっていたというところです。

齋藤 : みなさんは、ビデオカメラとか使ったことありますか。

児童 : ちょっとだけある。

齋藤 : 今、映画祭の作品でも、スマホで撮った作品もありますよね。普通のカメラにも動画撮影できるものがあって、そういうので作品作っている人もいますよね。

この作品よりも前に、「世界一と言われた映画館」という作品も撮ったんですよね。

佐藤 : 前回の映画祭で上映されました。大杉漣さんと面識があってナレーションをお願いしたところ快く引き受けてくださいました。その4か月後に亡くなったんですが、映画の上映と漣さんのバンドのコンサートを、「ごちになります」の賞金をつかってやってくれたんです。200万円くらいだったと思いますが。

この映画が今年の1月から全国30館くらいで上映されました。作品が1本できると、自分は行けないけれど作品が全国に行ってみてもらえるという面白さがあります。山形の地方の話が全国の方に知ってもらえるという、映像の可能性は、作品作りを通して知ってきました。ただ作るだけではなく見てもらうことの大切さを知りました。そういう意味では、映画センターさんもそういう役割の一翼を担っているということですね。

齋藤 : ご紹介が遅れました。お二人に自己紹介をしていただきましょう。中間休みからここで準備をしてくださいました。

千歳・大宮(山形県映画センター):よろしくお願いします。 

齋藤 : 映画センターとは?

千歳 : いい映画がたくさんあるので、映画館のない地域に、映画をお届けして上映会を開いています。

齋藤 : 監督は、どこでどんな人が見ているのかわからないわけですよね。となると、見た人からどうだったかを聞くことって貴重ですよね。

佐藤 : そうですね。舞台あいさつなどで行ったときくらいしか直接聞く機会がないので、大きい上映会があると何となくそわそわします。ちゃんとお客さんは言っているかとか心配しちゃいます。

齋藤 : わたしもこの映画のトーク付き上映会に行きましたが、楽しかったですよ、監督のお話を直接お聞きできて。今日は直接映画を作っている方のお話ですから、あとでまた質問してください。さっきの「やまがた舞子」の映画の最後に、佐藤監督の名前が出てきたのがわかりましたか?(児童:挙手、結構見つけている。)じゃあ、そのあと、最後に、「リサ・ソマーズ」と書いてあったのを見つけた人?

佐藤 : あ~~、そこまでは。3人に減っちゃいましたね。

齋藤 : 今日見た「やまがた舞子」に英語の字幕がついていましたね。みんなが「アナ雪」見たときは吹き替え版だったでしょう?出てくる人がみんな日本語をしゃべっていたでしょう?「やまがた舞子」はみんな日本語だから、外国の人もわかるように、英語の字幕がつけてあります。それを作ったのがリサさんです。

リサ : Hello!  児童 : Hello!

リサ : わたしの名前は、リサです。アメリカのコネチカット州から来ました。日本に住んで20年以上になりました。大学を卒業してすぐ、日本に来ました。日本に来た目的は、日本語を覚えることで、日本に行かないと上手にならないと思いました。最初は2年の予定でしたが、結局、20年以上になりました。日本で生活するのが大すきで、毎日が楽しいです。最初は英語を教えましたが、少しずつ翻訳の仕事をするようになりました。

 翻訳の仕事は、外国語を自分の言葉に直す仕事です。ですからわたしの場合は、日本語を英語に直す仕事です。どういう日本語かというと、短い文章、1冊の本、映画などいろいろあります。翻訳の仕事は難しいけれど面白い仕事です。

 3つのことがすごく大切です。

一つ目は、日本語がわかることです。日本語の文章の中に、全然わからない言葉があることがあります。そんな時は調べる…自分で勉強します。自分の知識をどんどん増やさないと翻訳できません

二つ目はその日本語をどのように伝えるかを自分で考えることです。伝えるのは難しいです。「ポテトフライ」を英語で何といいますか?英語では「フライドポテト」…と言えなくもないけれど、「フレンチフライ」といいます。そのまま日本語に訳したら「フランスのフライ」になり、何のことかわかりませんね。ですから翻訳の場合はそのまま日本語を英語にしてもわからない場合があります。「タコ焼き」を英語に訳せますか?タコを焼く?丸ごとですか?フライパンで焼きますか?すごく説明が難しいですね。一番大切なのは、イメージが伝わることですね。

三つめは、実際に書く…作文することです。作文はいっぱい練習しないと上手になりません。雰囲気があるでしょう?アナ雪だったら、女の子がしゃべっているようなきれいな文章になっていないと面白くないですね。ですから、訳すときに一生懸命文章を書いて何度も書き直します。宮沢賢治の文章を英語に訳したいと思っていたら、宮沢賢治と同じくらい上手な文章を書ける人じゃないとだめですね。書くことが大切ですね。わたしは、外国語の勉強をするのが大すきです。言葉を、どうしたらみんながわかるかを考えるのも大好き、文章を書くのも大好きですから、翻訳の仕事も大好きです。

わたしは18才、大学生になってから日本語の勉強を始めました。みんなはもう英語の勉強を始めているから、わたしよりもずっと早くから勉強していますから、外国語の勉強を続けると上手になりますよ。外国語を勉強すると、いろいろな人と話すことができて、いろいろな国に行くことができて、いろんなことを学ぶことができますので、すごく面白いです。

齋藤 : リサさんが翻訳した一番短い文章はどんなものですか。

リサ : 「ポッキー」などの箱の上に、商品の名前とかちょっとした説明があるでしょう、短い。そういうのもやっています。ひとつの単語だけとかもやっています。

齋藤 : わたしたちは1年に2回、俳句教室をやっていますが、俳句を翻訳したりしますか。

リサ : 山寺芭蕉記念館で毎年「英語俳句大会」をやっています。たくさんの人が英語で俳句を作って送ってくれますが、そこで審査しています。

齋藤 : 英語の俳句は、五七五はどうなんですか。

リサ : 日本語と違うので、五七五は、守れないときもあります。なくても、五七五に近ければいいです。季語はあまりありません。みんな季語のこと…どの言葉がどの季節を表しているか…がよくわかりません。

齋藤 : 給食の時間までたっぷり時間がありますので、質問をどうぞ。まずはさっきの「やまがた舞子」について。

4男YT: 映画を作るのに時間はどれくらいかかりますか。

佐藤 : それぞれです。カメラマンで参加した「YUKIGUNI」は、2年半かかりました。「世界一と言われた映画館」は2か月半で作っています。劇映画になるとまた違って、スタッフが多くなるので、ということはお金もかかるのです。先日14分の作品を作りましたが、それは1日で撮りました。

6男R: 「やまがた舞子」でかかったお金はどのくらいですか。

佐藤 : 言いにくいですね。制作費自体は100万円くらいですね。

5男K: 編集は何時間やりましたか。

佐藤 : なかなかいいところに気がつきましたね。自分でも、もはやわからないんです。編集はやり始めるととてつもない時間がかかります。長編で、ほかのこともやりながら1か月くらいかかります。インタビューだと、もっとしゃべっている中から切り取ります。

5女S: 今まで映画を何本作りましたか。一番いい作品は何ですか。

佐藤 : 短編も含めると100本くらいは撮っています。長編は10本以内です。それが全部公開されているかというとそんなわけではなく、でも、作品は作って上映して完結だと思っています。一番いい作品と聞かれると、「次回作」と言っています。

齋藤 : 次にできるのが最高の作品だそうですから、映画館でやるときに見に行ってくださいね。

佐藤 : お願いします。その作品ができると、また次の作品がよくなるというように、次々更新されていきますからね。

6男T: 映画を作るのに一番かかった時間はどれくらいですか。

佐藤 : 撮影が終わっていても完成していないのもあるんです。3年とか5年保留中のものがいくつかあって、何とか完成させたいです。特にドキュメンタリーだと時間がかかります。撮影から編集と時間がかかりますので、みなさん作る機会があったら、すぐ編集してください。そうしないとやらなくなります。

4男YS: 映画作りで一番大変だった仕事は何ですか。

佐藤 : 現場に行くのが好きなのであんまり大変だと思わないのですが、何本も編集を抱えているとつらいです。宿題があると憂鬱でしょう?常に頭のどこかに宿題のことがあるという状態がもう10年くらい続いていて、一区切り「終わったぞ!」というのがないんですよね。完成したといっても継続中のものがあったり、新しい話が来たり、延々と繰り返されているんで、こうやって自分の人生は終わっていくのかな…と思っています。仕事をもらっているうちは幸せなのかなと思っています。

4男YT:今まで見た映画の中で、ほかの人が作った中で、一番好きな映画は何ですか。

佐藤 : それが一つに絞れないところがつらいんですが、映画って面白いと思ったのが、中学校1年生のときにテレビの洋画劇場で見た「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でした。この3本シリーズはほんとに面白いです。ぜひ見てください。

齋藤 : みんな「金曜ロードショー」を見ているんですよ。4年生はこの前「It」を見てました。「ホームアローン」も人気でした。

佐藤 : リサさんはどんなのが好きですか。

リサ : 一応「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。中学生の娘も好きで、ときどき英語の台本を、役を決めてやっています。わたしはドク役、娘は主人公のマーティン役です。

佐藤 : あれは‘85年の作品ですが、みなさん生まれていないでしょう?何年生まれなんですか、みなさんは。

齋藤 : ここ(4年生)は10年前だから、2009年、2008年、2007年ですね。

佐藤 : え!!生まれたてじゃないですか。

6男Y: 日本に来てびっくりしたことやすごいなと思ったことは何ですか。

リサ : 日本にいるのは長いですから、そんなにびっくりしなくなりました。居酒屋みたいなところに行って生きている魚が出てきたらびっくりしますが(生け造り・踊り食い)。アメリカでも日本食は人気で、うどん、てんぷら、枝豆…。枝豆は英語でEdamameです。アメリカでは「旬」がわからなかった。1年中いろんなものがあるから。日本に来たら「旬」がわかって、日本人は自然とつながっているんだなと思いました。

6女M: 日本に来るときに心配なことはありませんでしたか。

リサ :  日本に来たときはひざのけがをして手術したばかりで松葉杖で、飛行機では車いすでした。ですから日本に来て生活できるかちょっと心配でしたけど、それは大丈夫でした。もう一つはやっぱり言葉。東京などに行けば英語ができる人は周りにいっぱいいますが、わたしが行ったのは富山県の魚津市という小さな町です。ここだったら英語できる人がいないだろうと思っていたらいませんでしたね。毎日みんなの話聞いても言っていることがわかんない、わかんない、わかんない…というのが毎日続いていたけど、そのお陰で、覚えるのも早かったです。毎日使わないといけないし、毎日しゃべらないといけないから、すごく勉強になって、すごくよかった。だから、困ることがいいことにつながりました。もし東京に行ってたら、いまだにしゃべれなかったかもしれません。

6男A: 初めて覚えた日本語は何ですか。

リサ : なんだったかな。「おはようございます」かな。アメリカにオハイオ州がありますから、すごく覚えやすいですね。日本に来て、いまだに毎日言葉を覚えています。

6男T: 日本の好きなアニメはありますか。

リサ : アニメと漫画は見てないですね。娘は読んでますよ、のだめとか。ブラックジャック。そういうのを読んでいます。わたしは好きな本を読む時間が少なくて、読むときは英語の本です。宮崎駿はすごいと思います。

齋藤 : 子どもたちの一番人気の映画はジブリなんですよ。

ここまでいろんなお話をお聞きしてきました。この後一緒に給食を食べますので、お楽しみに!

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