カフェ潮の路物語【その2】~縁と偶然から生まれた「潮の路」
vol. 4 2017-03-16 0
その物件は駅から11分のところにありました。シェルターからでしたら15分くらいでしょうか。とても日当たりの良い、三階建てのコンパクトな一戸建てです。
沼袋駅から徒歩11分のところにある3階建ての建物です
私たちが「カフェ潮の路(しおのみち)」と名付けたその新しい居場所。今日は、その名前の由来を紹介させていただきます。
つくろい東京ファンドでは、その物件をなんとか確保することはできても、改装工事を実施するまでの体力はとてもありませんでした。
そこに寄付を申し出てくださったのが、つくろい東京ファンドの代表理事である稲葉剛が大学生だった頃から彼の活動を見てきた支援者の方でした。
その方はお母さまの遺産を寄付してくださるとおっしゃるのです。
条件はたった一つ。
さまざまな人々が行き交うカフェとなるその建物のどこかにでも、お母さまの名前をつけて欲しいというものでした。
そのお母さまのお名前が「潮路(しおじ)さん」だったのです。
一年前に亡くなられた潮路さんは、常に人の輪の中にいた方だとうかがいました。
その名前にはどこか懐かしい響きがありました。私はこの名前を知っている。
数日後にあっと思い、CDを一枚一枚探してみつけました。長年私が愛してやまないバンド「ソウル・フラワー・ユニオン」に『潮の路』という歌があったのでした。
早速、棚からCDを探し出して聴いてみて呆然としてしまいました。その曲の歌詞が、その時の私と稲葉の心境そのものだったからです。長年働いた場所を離れ、私たちと共に新天地で活動することとなった「こもれびコーヒー」の焙煎メンバーたちの状況にも通じる内容でした。
●中川敬作詞『潮の路』歌詞
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-130410-2...
建物の名前としてひっそりと名付けるにはもったいないお名前と、ストーリーでした。むしろ、こちらからお願いして、「潮の路」をコンセプトにしたお店にすることにしました。
「カフェ潮の路」と「潮の路珈琲」の誕生です。
武盾一郎さん作「カフェ潮の路」ロゴ
『潮の路』を作詞作曲されたソウル・フラワー・ユニオンの中川敬さんにもお知らせしたところ、快諾していただき、Twitterでクラウドファンディングの宣伝までしてくださいました。ありがたいことです。
ソウル・フラワー・ユニオン公式Twitterアカウントでも紹介してくれました
私たちの船出を助けてくれるのは、災害後のハイチやアチェなどで建物を建ててきた経験もある高柳鉄平さん率いる「建築集団 海賊」。
●建築集団 海賊ウェブサイト
http://www.kaizokun.com/
ハイチでシェルター建設のワークショップを行なう建築集団海賊の高柳さん
鉄平さんを「潮の路」につないでくれたのは、長年、影となり日向となり私たちの活動を支えてくれる大切な友人です。
たくさんの縁と偶然に導かれ、私たちはようやく小さな船で海に出ようとしています。(小林美穂子)