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ドキュメンタリー映画『それでも、種を採る人』をクラウドファンディングで実現!

ドキュメンタリー映画
『それでも、種を採る人』

議論が紛糾する「種苗法改正」問題。各種の関係者や専門家に取材しながら「種」に魅せられた人々の活動を追い、自分たち生活者がどうこの問題をとらえたらいいのかを考える一助とするためのドキュメンタリー映画、『それでも、種を採人る(仮題)』を2021年から制作し、2022年の公開を予定しています。ご支援のほどよろしくお願いします。

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このプロジェクトは、目標金額4,000,000円を達成し、2021年2月22日23:59に終了しました。

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0

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PRESENTER
mile

映像作家/映画監督。徳島県佐那河内村在住。 都市と農山村という2つの相反する視点からもたらされた独自の切り口や作風に定評がある。 自主映画のスタッフ、伝統工芸の職人見習いなどを経て、2010年に東京から徳島県神山町に移住し、四国を中心に広告を作りながら映像作品を制作。代表作は日本中の限界集落を数年に渡って探訪した『産土』や、6年の歳月を費やし或る老婆の人生を描いた『神山アローン』。同作では札幌国際短編映画祭でベストドキュメンタリー賞等を受賞した。2019年に初のフィクション映画『あわうた』を完成させ、現在海外の映画祭に出品中である。

残り4日に寄せて……長岡参

vol. 14 2021-02-19 0

ここ一年、まともに働いてこなかった。
平たく言えば、仕事がなかった。
尤も何もしなかったと云う訳ではない。
数人の口に糊をしないとなので、ナニガシかはしてきた筈だ。
だが自分は旧式な人間なのか、汗を掻かねば「仕事」だとみなせないようだ。
編集ばかりしていても、結局何もしてないと思ってしまう。
印象として、労働したという手触りが残らないのだ。
日に日に変わる子供の成長は喜ばしく、お手上げ状態だった親との関係もなんとか和解に近づいた。
だがどこかで拍子抜けしたような感がある。
加齢のせいか、以前よりも何かに心を揺さぶられる頻度が極端に減った。
「だいたいそう云う感じよね...」と、なんとなしに了解してしまう癖もおそらくついた。
極度に人を信用しすぎなくなった代わりに、極度に裏切られる事も減り、
幼児期に親の口から毎度聞いてきた性悪説に反論する気もなくなった。
人と話す回数も減ったせいか、雑多な情報を会話や文にねじ込む強度が下がったように思う。
そういうのを「鬱」と呼ぶのかとも思うが、どうして至って日常を平静に過ごしてはいる。
そして気がつくとまた一日が終わっている。
思えば2011年の大半も、そのように過ごしていた。

改めて言うまでもないことだが、この10年で社会の様相は大きく変わった。
変化についていけてないようにも思う。
映像に従事する者の母数が格段に増え、皆が当たり前のように映像を摂取し、扱う。
映像に乗り出した他業種の知人も、YouTuberになった知り合いもいる。
自分がやらなくても、もっとコスパもよく手近なところで人手はいくらでもある。
雑にまとめれば、だいたいそのような世界になった。

自分はといえば、矢張りあまり変わりばえもせぬまま惰眠を貪っている。
海外の映画祭に入賞しようが、それで大金が振り込まれる訳でもない。

結局自分は、「作品」というものをせっせと作るために外界を飛び回らなければ、「仕事」をしているという認識も、生きているという実感も、そもそもの生計の種も、おしなべて出てこないのだとここまでくれば了解せざるを得ない。

様々な現状肯定や日常賛美の定形文に反して、そうしなければ自己の存在価値を見出せない。

「なぜ自分にオリンピックの仕事がこないのか」とか、「補助金で映画が作れぬのか」とか、「劇場映画デビューの話がこないのか」とか、「とんでもないスポンサーが現れないのか」とか、「作ってもそれでどうやって資金を回収するのだ」とか、「配給はどうするのか」とか、そういう幾多の雑念の数々は、実は些末な事に過ぎないということに気づいた。それは「作家」だと自分を認識しているからこそ、初めて悩める悩みであるからなのだ。

僕は過大な評価が欲しかったわけでも、なりふり構わぬ承認欲求があるわけでも、人を蹴落として云々でも、アサガケヨウチ式に平身低頭して仕事を取ろうとしているわけでもなかった。おそらく初めからそうであったように、自分は自分にしか作れないものにしか興味がないのだ。

時折「あっちの水はうまいぞ」的にぶれも、誘惑にざわめきもするが、自分の創作物を好きだと言ってくれる人々や、なぜか我が事のように応援してくれる人々がいる。その限りにおいて私は、それでも「映画」を作るべきなのだと思う。

あまり頭が良い方でもないし、仕入れた情報を駆使してそれを商売の種にできる訳でもない。ただ「現場」においてそこで全存在をもって、何かを考えるということしかおそらく自分にはできない。

以上述べてきたことはほぼ無意味な前置きに等しいが、あと4日で終わる初めてのクラウド・ファウンディングの事を考えている。これまで478人の人がコレクターとなっていただいた。478名、それぞれの方々に感謝のメールを打った。こんな体たらくの自分に、なおも「社会の役に立て」と言われている気がする。

おそらくこの映画は、この社会の「出口」を探そうとしている人々にまつわる映画になる筈である。アングラなのかオルタナなのか、言葉をどうするは置いておいて、鬱屈する現実世界に別レイヤーを見出そうとする人々の冒険譚になるような気がする。

自分は四国の山奥に移住し、全国の限界集落と呼ばれるような場所を度々訪れ、古色蒼然としたものの中に、何らかの「出口」を見出そうとおそらくしていた。10年という月日が経ってみて、心境と現在地点とが「出口」近辺なのかどうかは分からないし、おそらく違う気がしている。だから私は炎上目的であったとしても「おまえらまだ東京に社畜してるの?」的言葉を吐く事ができないでいる。

自分は単純で真っ正直だと思うし近しい人々からもよく言われるので、おそらくその感情は嘘ではない。この映画が「出口はありませんでした」や、「出口だと思っていたら壁に囲まれていました」という報告になるのか、「壁の穴を見つけてきました」というものになるのかは分からない。だが僕なりにそれでも「出口」を探そうとはするだろう。見つかるかどうかはおいておいて。

長岡 参

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