撮影監督 トーマス・シュナイトさんインタビュー
vol. 13 2018-05-07 0
こんにちは、宣伝部のはなえです。
ゴールデンウィークも終わってしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて今回は、「リバースダイアリー」で撮影監督を務めたトーマス・シュナイトさんのインタビューをお届けします。
ここでしか読めない貴重なお話もたくさんありますので、是非お楽しみください!
Q. 「リバースダイアリー」は、「Wiz/Out」以来10年ぶりの園田監督作品への参加となります。再びタッグを組むことになった経緯について教えて頂けますか?
A. 園田監督から一緒に映画を製作したいという申し出があれば、迷うことなくいつでも出来る限りのことをしたいと考えています。園田監督がいつも私に共に作品を作り上げていく自由を与えてくれることを非常に光栄に感じています。園田監督は私のことをとても信頼してくれているので、私もその信頼に応えるべく全力で仕事に取り組みたいと思っています。
Q. 最も印象に残っているシーンはありますか?
A. ある登場人物がナイフで刺されるシーンです。撮影現場を通り掛かった通行人の方が、本当に人が刺されていると勘違いしてしまったんです!撮影用のカメラが目に入らなかったようですね。最後には映画の撮影だと分かってもらえたのですが、とても怖がらせてしまいました。
Q. 撮影する上で、最も大変だったことは何ですか?
A. 撮影時間が非常に限られていたことです。2,3時間で必要なシーンを全て撮り終え、撤収まで完了しなければならないこともしばしばでした。場所によっては事前に確認することが出来ず、その場で撮影の戦略を考えなければならないこともありました。でも、大変だった一方で、限られた時間で戦略を捻り出さねばならないという緊張感を楽しんでもいて、結果としてそのシーンの本質にユニークな形で焦点が当たった映像が撮れることで苦労が報われることも多かったです。
また、日本語が話せないことも撮影する上での難しさの一つでした。自分の選択した撮影方法に対して、他の人たちがちゃんと納得しているのか不安になったり。ただ、言葉が使えないことで、俳優の表情や目の動きと自分を視覚的に深く結びつけることが出来て、そこから俳優の魂を感じることが出来たのは良かったと思います。
Q. 4K撮影が「リバースダイアリー」の特徴の一つとなっています。4Kで撮影することにした理由は何でしょうか?また、4K撮影ならではの難しさはありましたか?
A. 4Kは本当に素晴らしい技術で、予算が許すなら使わない手はないと思います。我々製作陣はみんな出来る限りクオリティの高い作品を完成させたいと考えており、かつ、映画撮影当時4Kはインディーズ映画製作者にとっては比較的新しい技術だったので4K撮影をすれば上映のチャンスが高まると考え、4K撮影を行うことにしました。今では4K撮影作品を対象とした映画祭や映画祭のカテゴリーというものがあるんですよ。新しい技術に果敢に挑戦すると、そこからチャンスが広がっていくんですね。
「リバースダイアリー」の撮影は、4Kだから何か特別にこうしたということはなかったと思います。エフェクト重視の作品という訳でもなかったので、4K撮影によって得られたメリットというのは、クオリティの高い映像を撮れるフォーマットであるおかげで低予算ゆえに生じる課題の解決に役立ったということと、撮影後の作業をする上で映像に柔軟性を与えられたということになるかと思います。
それから、4Kで難しいのはピントを合わせることなんです。4Kはおそらくピントを合わせるのが最も難しいフォーマットで、特に広く開けた場所で撮影する時に難易度が上がります。実際の撮影では、優秀な撮影助手のおかげでピントが外れてしまうこともなく、彼がいてくれて助かりました。
Q. 園田監督は、映画作家としてどのように進化してきていると感じますか?
A. 園田監督の作品というのはどれも、人がそれ以上先は行き着けないほど非常に深い感情の在り処から語られる、複雑な個人の物語です。作品を重ねるごとに園田監督の人間の心に対する考えはより深いものになっています。人間の心を深く描くことは園田監督と私に共通するミッションなんです。
Q. 映画/TV業界で多くの方々と仕事をされてきたことと思いますが、他の方々と比べて、園田監督はどのような人物だと思われますか?
A.自分のキャリアを振り返ると、アメリカのテレビでの仕事が最もやりがいがあるのですが、その中でも共同製作が私は一番好きで、その一つひとつがユニークなんですね。ただ、私が園田監督と共同製作をする際に与えられていると感じる自由というのは、園田監督が目指す作品を作り上げる上で自分が不可欠な存在であると思わせてくれるような類のもので、園田監督は私が単なる現場スタッフではなく、共に創作活動をする仲間であるように接してくれるんです。
Q. 将来再び園田監督とタッグを組まれることを期待してよいでしょうか?
A. 私はずっと、カメラマンと監督の絆を大切なものとして考えてきました。有名なところだと、ウェス・アンダーソンとロバート・イェーマン、ウォン・カーウァイとクリストファー・ドイル、ポール・トーマス・アンダーソンとロバート・エルスウィットなど。園田監督は毎回私を撮影に呼んでくれるので、園田監督と私も同じような絆で結ばれているように感じています。この関係はずっと続いていくもので、今後もまた何度も園田監督の作品に参加するのだと思っています。
Q. 「リバースダイアリー」は海外での評価も高く、国際映画祭で数々の賞を受賞しています。他の日本映画とどのような違いがあるとお考えですか?
A. 今の日本映画の状況をあまり詳しくは理解出来ていないのですが、おそらく園田監督は他のどの現役映画監督よりも現代の黒澤、小津と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。不変の真実を探求する園田監督の作品には時代の超越性があります。そして、彼の作品においてはトレンドというものが究極的な主題としてではなく、文脈としてしか現れないのが特徴だと思います。
Q.「リバースダイアリー」は5月26日に日本で劇場公開されます。観に行こうか迷っている方々に向けて、メッセージをお願い致します。
A. 是非、「リバースダイアリー」を観に行ってください。園田監督のような才能あふれる映画作家の作品を観て、その才能の開花を目の当たりに出来るのはとても貴重なことだと思います。園田監督は観客を今までにないような魂の揺さぶりのある映画体験にいざなってくれる作家で、作品の持つ深さや奥行きは作品を重ねるごとに増しているように思います。
インタビュー、いかがだったでしょうか?
今後もインタビュー記事を続々配信していく予定ですので、お楽しみに。
さて、いよいよ「リバースダイアリー」のユーロスペースでの公開が5月26日(土)に迫ってきました。初日は監督・キャストによる舞台挨拶も予定しておりますので、是非お越し頂ければと思います。
また、クラウドファンドでは引き続き皆様からのご支援をお願いしております。先日ご報告致しました通り、国際フィルムマーケットへの参加を目指し、活動を続けて参ります。
残り4日。エンドクレジットへのお名前掲載もまだ間に合います。是非是非、最後のご支援をお願い致します!