「日本とアジアの森林を持続可能に」メールニュース vol.4
vol. 4 2020-05-22 0
「日本とアジアの森林を持続可能に―2つの映像作品の制作プロジェクト」ご支援者のみなさまへ
これまでに100名近くの方々から107万円を超えるご支援いただき、プロジェクトの目標額の70%にまで到達しました!
首都圏と北海道では緊急事態宣言が継続しており、全国的にも感染症拡大予防のために社会生活に広く影響が及んでいるなか、みなさまが暖かいご支援をくださっていることに、改めて深く感謝を申し上げます。
キャンペーン終了の6月5日まで残り2週間、目標の150万円の達成を目指して、引き続き支援を呼びかけてまいりますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします。
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1、『壊れゆく森から、持続する森へ』の制作状況について
内田聖子(PARC共同代表)
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日本の森林の課題と、対案としての自伐型林業の実践を描く『壊れゆく森から、持続する森へ』(仮)は、2020年1月より制作チームを立ち上げ、1月下旬から取材を進めてきています。しかし、3月に入って日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言も出された4月以降は、各地への取材も足止め状態となっています。
今回のコロナ感染拡大によって、これまでのグローバル化の中での経済や社会のあり方を大きく問い直すことが求められているように思います。海外から多くの物を迅速に運べるようにできたサプライチェーンは脆弱であることが明らかになり、また人口や経済の東京一極集中も、病院や保健所がこの間どんどん削減されてきたことも、決して持続可能ではないことを多くの人が改めて実感したのではないでしょうか。
ここから先、どのような社会にしていくのか、それを考えるにあたって、今回テーマで取り上げた「壊れゆく森から、持続する森へ」は様々なヒントを与えてくれます。自伐型林業の現場からは、単に林業という産業のあり方だけでなく、ライフスタイルや地域の変革、人と人とのつながりなど、豊かで持続可能な未来が見えてきます。昨年に作品を企画する時点では、コロナウイルスのことはまったく想定もできませんでしたが、現在の状況の中で得られた視点での気づきをぜひ作品にも盛り込んでいきたいと考えています。
関連して、本作品に協力いただいている自伐型林業推進協会では、6月21日に、イベント「森林大国日本─アフターコロナの社会を見据えて(仮)」をネットで開催する予定です。ぜひ皆様にも関心を持っていただければ幸いです。
詳しくは https://zibatsu.jp/info/event/200621-soukai
最後に、ご支援いただいている皆様には、新型コロナウイルスの影響から、制作が遅れていることをお詫びいたします。6月以降、取材が再開できることを一同願っているところですが、こうした事情をご理解いただけますようお願いいたします。
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2、熱帯林破壊を止めることが感染症予防に
~森林を破壊し、感染症をもたらすお金の流れとは?
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一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)のウェブサイトにて、国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のハナ・ハイネケンさんが熱帯林保全と感染症予防の関係性について提起し、日本の金融機関にも対応を求めています。
「新型コロナウイルスとつながる熱帯林破壊、メガバンクらの対応分かれる」(ハナ・ハイネケン)
http://rief-jp.org/blog/101941?ctid=33
国連環境計画(UNEP)では、今回の新型コロナウイルスを含む動物由来感染症の危機を拡大させている大きな要因の一つに「森林破壊」を挙げています。伐採と開発による生態系の破壊は、人間と野生生物の接触を増やし、感染症の危険を悪化させているのです。世界のなかでも急速な森林破壊の進んでいる地域の一つが、映画『ボルネオ事件』の舞台・ボルネオ島を含む東南アジアです。ハナさんは「日本の金融機関は投融資を通じて、東南アジアの熱帯林破壊を助長してきた」ことを指摘しています。
ハナさんの指摘では、パーム油や木材、紙パルプなど森林破壊につながるリスクのある産品部門について、日本のメガバンクがどのような方針を設けているのかが検証されています。RANの報告によると、東南アジアの熱帯林や泥炭地の破壊、人権侵害に関与している企業には、日本企業も多く含まれ、それだけに日本の金融機関の熱帯林破壊に対する責任は大きいのです。ハナさんは日本の金融機関のあいだで対応の強化が進んでいることに一定の評価を与えつつ、各機関により一層の対応強化と徹底的な実行を求めています。
熱帯林破壊が感染症の蔓延をもたらす危険は繰り返し指摘されてきました。新型コロナウイルスの感染が世界に広がる直前の2019年11月にも、『ナショナル ジオグラフィック』に、「深刻な感染症、森林破壊のせいで増加」と題した記事が掲載されていました。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/1126006...
また、米国の科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』の6月号に掲載された記事では、「森林破壊を止めることは、私たちが新たな脅威にさらされる危険を減らすだけでなく、ジカ・ウイルス、ニパ・ウイルス、マラリア、コレラ、HIVといった、熱帯林の生き物に由来する危険な病気の広がりを食い止めることにもつながる」と強調されています。
https://www.scientificamerican.com/article/stoppin... (英語)
新型コロナウイルスをめぐっては、これまで自明となっていたモノや人の移動が大幅に制約され、従来の消費行動に対する見直しも語られています。しかし、森林破壊という原因を認識し、その予防策を考えるとき、一見感染症と関わりが薄いお金の流れにこそ鋭い注意を向けなければならないことを、ハナさんは示唆しています。
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