インドの手仕事~泥藍染め編~
vol. 17 2015-04-03 0
インドにいる私たちをいつも魅了するのは、大自然と、その中で粛々と生きる人々の手仕事。ワルリ族の人々の中にセルフビルドの家を建てる文化が残っているように、伝統の手仕事をかろうじて残す地域もあります。プロジェクト終了後、毎回私たちは振り返りをしながらリサーチを行います。その地に残るアートや手仕事(おまけで郷土料理)を見つけ、NGOや職人を訪ね、直接話を聞かせてもらいます。そして、これだ!と思えるものを青熊雑貨店のインドの手仕事ブランド・ツォモリリで仕入れ、日本で販売。その収益をウォールアートプロジェクトの運営費として活用しています。
今回のノコプロジェクト2015後に訪ねたのは、インド西部にある小さな村で作られている泥藍染めを活かした製品を作るNGO。2回目の訪問でした。
泥藍染めを知ったきっかけは、インド全土の手仕事を一挙に紹介する一冊の分厚い本でした。その中にあった5㎝四方くらいの花柄のブロックプリント写真。他のブロックプリントにはない独特のかわいらしさに一目ぼれし、「一体、どこに存在するのだろうか」と探し出すことに。インターネットで探ると地名はノコプロジェクトをしているマハラシュトラ州にあるものの、泥藍染めの情報はなかなかそれらしきものが出てこない。ハンディクラフトのエキシビション経験豊かなワルリ画家のラジェーシュさんも、「うーん、名前は聞いたことがあるんだけど」と謎は解けない。付き合いの長いインドNGOの人にも何度も尋ね場所を探してもらうが、手がかりなし。「とりあえずその土地に行ってみて、そこから聞き込みを始めよう」となったところで、探していた地名は、インド国内にいくつかあり、泥藍染めがあるのは、北部のラジャスタン州だというこうとが分かりました。危うく全く見当違いの場所にいってしまいそうだったのです。最終的に地域の女性たち、職人たちと泥藍染めの生産をしているをしているNGOが見つかりました。しかし、ウェブサイトに表示されている住所を訪ねるも、生産所は存在せず。周囲の人々に尋ねて歩きながらようやく事務所に辿り着きました。2枚の写真から、ついに。
泥藍染めの現場を見学させてもらいました。地域特有の泥を触媒にして手彫りの木版プリントを施した後、藍で染色。手洗いの回数で色味を調整します。数回洗うと固まった泥が落ち、微かに染まる部分を残しつつ木版の白い模様が浮かび上がります。この伝統的な染の手法を活かしながら、今を生きるデザイナーが木版の模様、布地のパターンをアレンジ。生産には、地域の女性が裁縫を始めとした過程に関わり、女性たちの雇用を生み出しています。
ストックされていたアイテムの泥藍染めの風合い、藍染の色の種類の豊かさに、代表おおくにの創造力はかき立てられました。こんなものを作ることはできませんか?と藍染ボタンのネックレスや、既製品を日本の人々に合うようにアレンジをお願いすると、「分かりました。早速取り掛かります。明日また来てください」と、その場で決定。翌日、本当にものになっていた時には驚きました。微調整を行い、こちらの想像通りのものが出来上がりました。ここまでが一回目に訪れた時の話。二回目の今回は、代表の女性から、「新しいデザインで染めた生地ができたのだけれど、これはどう使えるでしょうか」と相談され、おおくにが、「ドレスワンピースなんてどうでしょう」と答えると、パタンナーを呼び寄せ、その場であれやこれやと相談し、採寸、調整。またしても翌日には形になっていました。この柔軟さがインドのよいところ。春、夏、これからの季節にふさわしい、爽やかなアイテムたちの完成です。
4月17日、18日、「ツォモリリ夏の展示会~時がはぐくんだアイテムたち~」が開催されます。ストール、ネックレス、Tシャツ、ワンピースドレスなど、泥藍染めの本領を発揮したアイテムたちを直接手にとってご覧ください。
<ツォモリリ夏の展示会~時がはぐくんだアイテムたち~>
4月17日(金)
時間:午後2時~午後5時
場所:Fog 2nd floor 東京都世田谷区代田5-35-1-2F
下北沢駅西口より徒歩3分。
http://foglinenwork.com/jp/store.php
4月18日(土)
時間:午前11時~午後5時
場所:LIKE LIKE KITCHEN 渋谷区富ヶ谷2-21−8 1F
紹介するアイテムの写真など、最新情報はfacebookのイベントページよりご覧ください。
https://www.facebook.com/events/1413876002254436/
Text by okazu
Photo by akko