詩人・柴田望さんから応援メッセージをいただきました
vol. 6 2023-12-26 0
詩誌「フラジャイル」主宰の詩人・柴田望さんより、本プロジェクトに応援メッセージをいただきました!
「雨」とは何か。砲弾の「雨」が民間人を襲っている。あらゆる言語による兵器化された情報の「雨」に絶えず曝されている。一時的に止んで太陽が差す「合間」には、何が起こるのか。
Just like any of us who waited for
a lull in the rain to go on our errands, (「雨の合間」)「ナメクジとカタツムリ」が「繁みから這い出てくる」。じっと待っていた生命の動きが「濡れそぼった繁みから這い出てくる」。雨が止んだ沈黙は無音ではなく、土の中から発芽される命の微かな動きに耳を傾けるとき。自転車に踏みつぶされたナメクジの「微かなスジの細部」は「黒いダリアの押し花みたい」。命は美しい。膨大な死によって生は支えられている。それを忘れてはならない。雨の合間の沈黙は死に耳を傾けるとき。
詩の想像力が、新聞やテレビで報道される大きな声だけではなく、公の場では注目されない、幽かな声、微かな命の営み、見過ごされる死に届く。「ページをめくる人」、「こんなにも濃い青」、「十月の風」、「イェイツ姉妹」…沈黙に耳を傾け、過去との対話を可能にする。武力ではない人類の対話の力、詩を創造する力が、希望を感じさせてくれる。ぜひ多くの方に、時を止めて、お読み戴きたい詩集です。——柴田望 (詩誌「フラジャイル」)
柴田さんは、津川エリコさんが思春期を過ごした北海道・旭川市を拠点に活動する気鋭の詩人。詩集に『顔』(北海道詩人協会賞受賞)など。
応援ありがとうございます!!
詩誌「フラジャイル」の公式ブログはこちら https://fragile-seiga.hatenablog.com/