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番頭日誌 第十八話「困ったサンは背中を押されて」
vol. 18 2023-11-06 0
毎度お世話になっております。
京丹後TRAILERの番頭でございます。
クラファン開始から【50日目】。
現在、【193名】のコレクター様からいただいたご支援額【¥2,221,000】。
目標達成率【277%】。
皆さまからのあたたかいご支援、本当にありがとうございます。
クラファン期間も、いよいよ残り5日間となりました。
あと1週間を切りました。
最後まで応援のほど、よろしくお願い申し上げます。
さて、番頭日誌も残すところあと少しでございます。
私は地元のホテルに調理師として勤務して5年ほど経っていました。
その間に、娘と息子が産まれてきてくれて、私は親になりました。
妻には本当に感謝しています。
暮らし方も変化しました。
そんな日々のなか、あいつはやってきました。
新型コロナウィルス感染症、COVID-19の脅威です。
まさか、自分が生きている間に、パンデミックを経験することになるとは思っていませんでした。
そこからの自粛生活の数年間、私たちは「密」を奪われました。
私の仕事、飲食店ももちろんそうでした。
音楽もそうですね、ライブハウスで遊べなくなりました。
映画館もそうです、気軽に映画を観にいけなくなりました。
当たり前だと思っていた生活が大きく変わりました。
まさかは、まさかではなかった。
当たり前は、当たり前ではなかった。
私は、それを学びました。
人それぞれ、みんな考え方が違うということは大前提、そのうえで楽しんだり、認めたり、許したりし合うべき「違い」が、「分断」という言葉で隔てられることもよく見かけました。
誰もが正解を持っていない難問に、どう接していいかわからないことばかりでした。
私は、そこに他者への想像力があるか、自分さえよければになっていないか、悪意を含んでいないか、そのことを出来るだけ自分のなかで確認することを心がけたいと思っていました。
判断を後で後悔することもありましたが、暗中模索、世の中の流れのなかで、ひとつひとつ勉強していくしかない時期でありました。
そして、自然に、自分と向き合う時間が多くなる時期でもありました。
色々な制限のなかで空いた時間のなか、自分と対話する時間も増えました。
私は、自分の過去を省みながら、これからどう生きていったらいいのだろうかと考えていました。
自分と世の中の間で、目まぐるしい変化のなかで、自分は何をすべきだろうかということを考えていました。
自分の仕事は何のだろうということをずっと考えていました。
もちろん、簡単に答えなど出るわけもなく、同じような状態の世の中で、悶々と考え続けていました。
そんなとき、監督の新作映画が公開されました。
となり町の豊岡劇場さんが上映ラインナップに加えてくださったので、観に行きました。
その映画のなかの言葉を、またしても私は全身で浴びてしまいました。
「変われ」
私は、会社を辞めることにしました。
そんなある日の早朝、友達の“I”からLINEにメッセージが入りました。
「ちょっと相談のってくれません？」
なんだか、そのときはモーレツに嫌な予感がしたので、すぐに詳細を電話で聞いたりしないでおこうと思って、適当な相槌を返信し、1日泳がしてみました。
そして、また次の日の早朝。
「まだねてます？」
というメッセージのあと、返信が待ちきれなかったのか、Iから電話がかかってきました。
聞けば、昨日からずっと寝ないで考え続けていることがあると言います。
今から思えば、あの時が瞬間最大風速。
ものすごい勢いで、Iのなかに急速に溜まっていたアイデアと動機を私は受け取りました。
そして、嫌な予感は見事に的中。
そこから、Iの企画にどっぷりと付き合いました。
めちゃくちゃ手伝いました。
ただし、この企画のはなしを、事細かくお話しすることはできません。
本来ならば、全体に向けて公開することを目的に制作を進めていた企画でしたが、最終的に「作品を公開しない」という決断をIがしたからです。
ですが、もう時効だとも思いますので、少しだけその企画のはなしをさせていただこうかと思います。
Iには確認はとっておりません。
もしIが何か言ってきたら、これはあの企画にかけた想いと時間を解脱させるための行為だ！やっとだ！と伝えようと思います。ワハハ。
Iはバンドマンです。
バンドマンたちが活動していた場所は、当時、コロナの影響により大きく制限を受けていました。
みんなが迷いながら、各々の考え方のもと、色んな判断で、方法で、それぞれの活動を続けておられました。
そんななか、バンドの活動も少なくなり、仕事も少なくなり、急に余裕が出来てしまった時間のなかで、ふと「バンドってなんだっけ？」とIは思ってしまったそうです。
そして、その疑問に取り憑かれてしまったようになってしまったそうです。
「助けてほしい」
Iはそう思ったそうです。
そして、Iはバンドの先輩や友達、ライブハウスの先輩たちに会いに行って、話を聞いてみたいと思ったそうです。
そして、できることならば、その様子を動画で撮影し、編集したものをひとつの物語にして公開してみたい、という相談なのでした。
「どう思いますか？」とIは私に聞きました。
「絶対に失敗すると思うけど、行ってこい」と私は答えました。ワハハ。
そして、2021年の5月1日から10日までの10日間、3度目の緊急事態宣言下、Iは世の中の流れと逆行するように、ひとりで色んな人に会いに行く旅に出ました。
Iが使えそうな機材の選定、機材レンタル業者のリサーチから始まり、構成、編集と私はIのお手伝いをしました。
私にとっては、Iが撮影してきた方々は、錚々たる顔ぶれの方々でした。
Iは物語をつくることに苦労し、諦めそうになることもあったとは思いますが、私は事あるごとにIの覚悟を問い続けました。
普段なら、友達との間には持ち込まない方法を用いることもありました。
とにかくIの覚悟に問いかけ続けました。
これは必ず最後まで走らなければいけないとIに言い続けました。
この制作のときだけは、私はIを「監督」と呼びました。
そして、紆余曲折ありながらも、作品は完成しました。
ですが、最終的には「作品を公開しない」という決断をIはしました。
詳しくは語りません。
ただ、それは決して後ろ向きな決断ではなかったと、私は思います。
最後の最後で、Iは、自分以外の人の立場に自分の想像力を立たせたのだ、と私は思いました。
それは、「監督」の仕事だったと思います。
あのときの挑戦と決断を失敗とは思わないでほしい、と思います。
だけど、大いに失敗したとも思ってほしい、と思います。
Iには、その両方を行ったり来たりしてほしいと思います。
そして、2021年の12月。
不特定多数の人に向けての公開はなくなりましたが、届けるべき特定の人たちにお届けして、大晦日の夜に作品の限定公開を終了しました。
いま振り返って観てみたら、もう笑える頃かもしれないな。
監督が次に遊びにきたときは、いっしょに観てみるのもいいな。
そう思います。
Iは、今回クラファンが始まったときも、「番頭さん！また面白いこと（お金が稼げないことw）に参加してて最高ですね！嬉しくなりましたわ！」と連絡してきました。
支援もしてくれました。
“また”の内の複数のことはお前が担ってきただろ！と思いながらも、嬉しかったです。
長くバンドを続けてきた奴に、そう言ってもらえると嬉しいです。
それを続けてきたからこそ今がある、それを体現してくれている友達がいて、私はラッキーです。
結局、コロナに背中を押されるような形で、私はこの世界から足を踏み外してしまったのでしょうか。
正社員として会社に属さないことを選択し、もちろん不安はありますが、答え合わせはまだまだ先です。
家族や先輩や友達に色んな話を聞かせてもらいつつ、私は私の仕事を探し、働いていきたいと思います。
"素晴らしい場所で足を踏み外して
ふさわしい世界が見つかるかな"
この歌を口ずさんで、私は今日も行くのです。
クラファン期間残り【5日】。
ストレッチゴールの目標達成まで、あと【¥179,000】。
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