二小校庭(緑道)に本植した桜の鑑賞会を開催します!
vol. 40 2025-03-23 0
厳しい寒さが長く続きましたが、ようやく春らしい陽気になってきました。桜の蕾もふくらみ、各地で開花が待たれていますが、皆さま、お変わりなくお過ごしでしょうか。
二小校庭(というより併設の緑道)に本植した桜「サンニュー」「七星」も、里親さんの元へ引っ越した樹木も、2度目の春を迎えています。みんなが元気というわけではありませんが、それぞれの場所で、必死でいのちをつなぐ営みを続けています。
2月8日、サンニューと七星の養生作業を行いました。かつては校庭で子どもたちの卒業、入学を祝った桜ですが、現在は公共緑道となった場所で既存の桜やアカマツ、新たに植えられた若木とともに新たな樹生を始めています。
奥に見えるのが七星。大きな八重桜に抱かれるように本植されました
新しい校舎が建ち、仮移植帯だった場所が公共緑道となったその場所は、あまりに以前とは違う風景で、職人さんもボランティアの皆さんも、少なからずショックを受けていらっしゃいました。この冬、極端に雨が少なかったこともあって、新たに植えられた椿の半分近くが枯れていたり、クチナシなどの低木群も乾いて葉が縮れていたり……。既存の桜やアカマツも呼吸が苦しそうでした。
仮移植していた頃はとても元気だったアカマツ。その後の工事で大きく根を切られ、いまは幹肌が乾き、茶色くなった葉が目立ちます
新しく植えられたツバキは半分近くが枯れていました
養生は、矢野さんはじめ職人さんたちに教えてもらいながら、2本の桜だけでなく、それらの樹木がみんな元気になるようにと願いを込めて行ないました。集まってくださった親子連れ、二小保護者、近隣の方々、大地の再生ボランティアの方々が、互いに協力しながら固く締まった地面にモグラ穴をあけたり、コンクリート際に溝を掘ったり、水脈をつくったりする作業はまさしく「結(ゆい)」。子どもたちも大人も性別問わず入り混じってスクラムを組むことで、作業は足し算でなく掛け算の力を発揮します。
既存の桜の奥に見えるのがサンニュー。ガードするように並べられた木杭が呼吸を妨げているため、緩める作業をみんなで行いました
サンニューの周りに掘った水脈。溝を堀り、炭と小枝、あらふ(枝葉をチップにしたもの)を入れたこの小さな脈が樹木の呼吸をつないでくれます
三つに幹が分かれた「サンニュー」。ハードな移植、環境の変化に耐え、必死に息をしています
数日後、水脈を通した場所は既存の樹木も新たな若木も樹勢を取り戻し、サンニューも開花に向けて準備を整えているように見えました。仮移植帯の樹木の中で一番元気だった七星は、他の樹木が次々と引っ越していき、工事の関係で根鉢の周囲が剥き出しになったことで急に弱ってしまい、注意深く本植を行ったものの、まだ苦しそうな状態が続いています。大きな八重桜に抱かれるようにして必死で息をしているその姿は、いのちそのものの有り様を私たちに伝え、人も樹木も深く息ができること、空気と水の循環が大事だということを無言で教えてくれます。
さて、お知らせです。来る3月29日(土)9時から、本植した2本の桜と既存の桜を鑑賞する会を開くことになりました。国立市教育委員会との共催で、11時まで短い時間ではありますが、私たちプロジェクトからこの間の経緯をご報告し、ご質問にもお答えしながら、いのちをつないだ桜たちをみんなで観て、味わう時間にしたいと思っています。
QRコードはくにたちみらいの杜のHPのリンクです。ページを開くと一番最初に出てくるのがかつてのサンニューの満開の姿です
なお、この緑道はいつでもどなたでも入れます。この日時以外にもぜひ観にいってくだされば嬉しいです。
今後も養生は続いていきます。正直、新たにできた緑道は、かつての二小の桜並木、2023年5月から36本の樹木を仮移植した杜とは違って、コンクリートで囲まれ、土は固く、生きものが呼吸しやすい環境とは程遠いです。それでも、そこにはすでにたくさんの樹木がいます。
2本の桜だけでなく、この場所で生きることになったものたちが呼吸しやすい環境になるように、私たちは子どもたちとともに養生を続けていきます。それこそが環境教育であり、生きる力を伸ばす教育であり、子どもに豊かな緑を残していく大人の使命だと確信しています。
最後になりましたが、3月26日にはMahora稲穂山に引き取られた2本の桜とマテバシイの養生作業が「大地の再生講座@Mahora稲穂山」として行われます。二小の子どもたち、プロジェクト・メンバー有志も駆けつけますので、お近くの方は是非(参加費が必要ですが、矢野さんから直接大地の再生の視点と技術とともに桜の養生の仕方を学べる機会です)。
どうか、今後も引き続き見守り、応援していただければ幸いです。
2025.3.23 ~つづく つながる~くにたちみらいの杜プロジェクト一同
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