二小校庭への本移植が終わりました! 私たちの活動は続いていきます!
vol. 39 2024-10-28 0
まずは、1年半に渡りこのプロジェクトを応援してくださった皆様に心からの感謝を申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました!!
10月13日(日)、14(祝)の二小への本移植の様子をお伝えさせてください。
校舎の改築工事に伴い、伐採予定だった国立第二小学校の樹木約40本を緊急避難(仮移植)させる交渉を行なったのが2023年4月20日。改築工事の施工をされる会社の方が「いいことですからね!」と校内に仮移植することを承諾してくださったおかげで、私たちのプロジェクトは動き出しました。
5月1日に教育委員会と協定を結び、5月3日から6日にかけての4日間、大地の再生ネットワークの手で緊急避難(仮移植)工事を行い、追加で伐採が決まった6本の樹木を5月13日に追加工事で救出しました。
それから1年半。本当にいろいろなことがありました。
二度にわたって議会に陳情が出され、二度目はプロジェクトの即刻中止を求める陳情でした。近隣の方から「仮移植樹木の安全性に疑問があるから撤去せよ」という意見書も出されました。
そんな中、プロジェクトを応援してくださる方々の声も集まり、その方々からの意見書も何通も出されました。その中には子どもたちから声もありました。 そして、クラファンで支援してくださった皆さまに加え、今年2月には「二小樹木保存プロジェクトを応援する会」という市民グループも発足し、二小本移植費用を集めてくださいました。
この間、いのちを繋いだ木々をできるだけたくさん校庭に戻したいと教育委員会と20回を超える協議を重ねました。最終的な詰めの段階では「せめて3本を!」と子どもたちも協議の場に同席しました。残念ながら、子どもたちの声も届かず、見解は当初から示されていた「2箇所2本程度」の見解が変わることはありませんでした。
一番の理由は、「すでに伐採後の植栽計画が出来ており、議会の承認も得ている。それを覆すわけにはいかない」ということだったと思っています。
私たちとしては、当事者である子どもたちの声を叶えられなかったことが、大人として一番辛く胸が張り裂ける想いです。
二小校庭から緊急避難させた樹木は46本。そのうち二小校庭に仮移植したのが36本(残り10本は上野原の「杜の学校」の農地へ)。36本のうち、校庭に戻せない26本が13の里親さん(15箇所)の元へ引っ越しました。
いのちをつなげなかった「関山」(「ガチャガチャの木」として子どもたちに愛されました)とヒマラヤスギは、「くにたち桜組」の協力で別のかたちで二小に戻ってくるべく現在保管中です。細い桜と桃は枯れてしまいましたが、その他の枯死判定された桜3本は上野原の農場に引き取られ、新芽が吹いてきているとのことです。そしてもう1本、国立の「やぼろじ」に行く予定だった八重桜は、「普賢象」と入れ替えになったことで、上野原で今すくすくと育っています。
二小に本移植を許された2本のうち、1本は正門入ってすぐ左側、幹が三つに分かれたソメイヨシノ。他のソメイヨシノより樹齢が若く、大きく伸ばした枝と見事な花で卒業式、入学式を彩ってくれた木です。子どもたちはこの桜を、やはり幹が三つに分かれ、まるで三つの頭を持つ龍のように見えたことから「三龍(サンリュウ)」と名付けられた大島桜の兄弟分として「サンニュー」と名付けていました。
もう1本は「七星(ななほし)」。ジャングルジムのそばにあった幹が二つに分かれたソメイヨシノです。
わずか2本になりましたが、10月13日、14日の両日、遂に二小校庭への本移植が実現することになりました。二小の改築工事も佳境で、外構工事の真っ只中。工事ヤードに入ることも難しい中、建設会社さんが譲歩してくださいました。ただ、ヤードに入れる人数には制限があり、皆さんに観に来ていただくことが叶わなかったのは残念です。
ヤードに入ると、これまでとはガラリと違う風景が広がっていました。あちらこちらに大きな穴が掘られ、アカマツのすぐそばにも。
このアカマツは周辺全体に大きな根を張り巡らせて仮移植樹木の呼吸を支え、通した「水脈」で自身も元気になっていた木。こんなに根を切られたら、傷んでしまうことは必至。この穴をコンクリートを固めて水脈を断ち切ることのないよう、教育委員会に強く求めました。
ショックだったのはこれだけではありません。存置の予定でずっと守られてきたヒマラヤスギをはじめ6本の高木のうち2本が伐採されていたのです。
教育委員会の担当者に理由を尋ねると「工事の支障になる」と言われ、やむなく伐採を許可したとのこと。。全身から力が抜けました。
伐採された2本は、コブシとヒマラヤスギ。どちらも仮移植樹木の呼吸を地中深くで支えてくれた立派な木で、アカマツと同じく、水脈が通ったことでコブシは胴吹きし、たくさんの葉を伸ばしていました。
2023年6月の風景。右の胴吹きしている高木がコブシ
春先には白い花を咲かせて新校舎をお祝いしてくれたでしょうに……。胸がつぶれそうでした。
気持ちを取り直して、、
レベルを他と揃えるためにサンニューの大きな根を持ち上げると、そこには白い菌糸がびっしり生えており、本当に美しく、その1本1本がキラキラと生命の光を湛えているように見えました。
七星は仮移植した樹木の中でもひときわ元気でしたが、他の樹木がどんどん引っ越して光や風の環境が変わり、さらに根の近くを大きく掘られたことで、この夏急激に弱り始めていました。七星を元気にすべく、本移植場所の周辺、既存の桜の周囲には水脈を巡らし、呼吸しやすいように、慎重に植え付け作業が行われました。
計画に沿った外構工事の支障にならないよう、ごく限られた範囲で認められた本移植。わずか2本だからこそ、枯らすわけにはいかない。大地の再生ネットワークの矢野智徳さんも押田大助さんも杜の学校スタッフも職人さんも、みなさん必死でした。とはいえ、これまでのように十分な水脈を通すわけにもいかない植え付け工事は、2本の桜にとっては相当ハードなものだったことでしょう。
長きにわたってお世話になった職人さん、ボランティアのみなさま
最後の日は暗くなるまでかかりました
いったんの区切りにはなりましたが、プロジェクトがここで終わるわけではありません。つないだいのちを守り育てていかなければいけないからです。
二小校庭に本移植された「サンニュー」「七星」はもちろんのこと、東京「Morc阿佐ヶ谷」、秩父「Mahora稲穂山」、大井、洗足、市原「うさぎ幼稚園」、伊豆「セキデンファーム」、東京「根津育英会武蔵学園」、茨城「観喜の郷(よろこびのさと)」、世田谷「たまよんガーデン・コミュニティ」、埼玉の集合住宅、館山の個人邸、日光「幾何楽堂(きかがくどう)」、日光「NIKO NIKO 日光の家」(個人邸)、長野「大日向小学校」、国立「やぼろじ」という新たな里親さんの元で、二小の樹木が大事に守られながら育っていくように、私たちはこれからも見守り、育てていきます。
奇しくも今日、明治神宮外苑の樹木伐採が始まってしまいました。人間の都合、計画が何よりも優先され、他の生きものへの共感や慈しみが圧倒的に足りない人間社会に深い悲しみと憤りを持って、私たちは活動を続けていきます。樹木は、人間と違って他のいのちを生かし育む「いのち」であり、その恩恵を一番被っているのは私たちであることを、誰もが当たり前に実感する社会になることを強く願って。子どもたちに胸を張って「やるだけのことはやったよ」と言える大人であり続けるために。
2024.10.28 プロジェクト・メンバー一同
- 前の記事へ
- 次の記事へ