里親さんへの引っ越し第6弾!〜船長さんの桜は日光へ!〜
vol. 36 2024-06-17 0
里親さんへの引っ越し作業、いよいよ最後のご報告です。二小の校庭に本移植する候補の木を残して、5月26日、仮移植帯にいた桜の最後の一本が里親さんの元へ旅立ちました。
今回引っ越すのは、二小グラウンドの南側の真ん中にあった最も大きい、15mはあった桜で、仮移植帯でも南側にいたソメイヨシノ(103番)。この桜はゴールデンウィーク4日間の救出作業で一番最後、「もう間に合わない」と誰もが思った中で奇跡的に救出された木でした。
タイムリミットが迫る中、幹周りも、根も大きいため、掘り取りは無理だと思われたのですが、残していくことは伐採されてチップになることを意味します。最後まであきらめない矢野さんの気迫に圧されてみんな集中して作業に臨むと、驚くほど早く掘り取れたのでした。
「行きます! とでも言うように、抵抗なく持ち上がった」と矢野さん。全員が救命ボートに乗るのを見届けたかのように最後に救出されたので、「リーダー」とも「船長さん」とも呼ばれるようになりました。15mもあった幹を5m未満に伐られ、枝もほとんど残らない状態になってしまいましたが、どの木よりも早く新芽を吹き、私たちを励ましてくれた桜でもありました。
向かう先は日光。4月21日、幾何楽堂さんへの移植の時に来てくださり、「私も里親になりたいです」と申し出てくださった方の元でした。その時は行ける木があるかどうか、はっきりわかりませんでしたが、最後のピースがハマるように、「船長さん」が行くことになったのでした。
ラフタークレーンで吊ると、ミシミシと音を立てて、根が地面から持ち上がりました。何人もの職人さん、ボランティアさんが総出で支え、緑化テープで根を巻いていきます。
持ち上がった根の下には白い根がびっしりと生えていました。無理やり引き剥がしてしまったようで申し訳ない思いが募ります。
こんなにずっしりと重心が下にあるのに、一部の方から「根が小さいから危ない」と言われ、二小校庭に戻ることは叶わなかった桜。ずっとみんなを見守り、たくさんのいのちを護り育ててくれました。
いよいよ出発です。
と思いきや、根が大きすぎて7tユニックの幅(2.2m)に収まらないことが判明。泣く泣く根をさらに小さく伐ることに。
長い時間がかかって、ようやく積み込みが完了しました。
なんと、ヤモリがくっついていました! あっという間に見えないところへ。
桜が旅立った跡を整地します。ふかふかの土は気持ちよく、足の裏が深呼吸できるようです。
埼玉の重機リース会社の駐車場で一泊して、翌日、日光へやって来ました! 職人さん、スタッフは夜移動して、里親さんのお家に泊めてもらいました。
「完璧な朝ごはん」をいただいて、さあ、8時から作業です。
造成して間もない敷地なので、水脈整備が重要。敷地の周りをぐるりと掘っていきます。
植える場所はお宅の正面に決定。やはり、大きい!
落とした幹、大枝を根にしがらませていきます。
さらに根杭を打って安定させます。
ぐるりと張り巡らせた水脈に炭、コルゲート管、枝葉をしがらませていきます。
用意してくださった心入れのお昼ごはんで午後の英気を養います。
いったんコモを外しました。1年以上ぶりに見る幹肌です。
夏の暑さにも、冬の寒さにも耐えるように、もう一度コモを巻いていきます。
昨年建てられたばかりの新しいお家に引っ越してきた「船長さんの桜」。ここはゆくゆく海外からのお客様を受け入れるゲストハウス「NIKO NIKO 日光の家」(仮)にしたいと里親さん。秋には新しい家族も誕生するそうです。
全6回の里親さんへの本移植作業はもちろん、昨年の仮移植作業もほぼ皆勤で駆けつけてくださった職人さんも、スタッフの皆さんも、縁結びしてくださった日光幾何楽堂の小坂さんも、里親さんご家族も、矢野さんも、会心の笑顔。不思議に桜も笑っているように見えました。
この後、「あ、ヤモリ!」と里親さん。ヤモリはその名の通り「家の守り神」。一緒にご家族の成長を見守りながら、この桜が第二の樹生を強く生きていってくれますように。
というわけで、残るは二小校庭への本移植! 6月17日現在、まだ決まっていない状況ですが、計画書は出しています。応援してくださったみなさん、二小の子どもたちの会心の笑顔に会えるように、引き続き、協議を進めていきます!
ここで宣伝を一つ。七夕の日に「プロジェクトを応援する会」さんがチャリティーイベント第2弾を開催してくださいます。
金聖雄監督の最新作、くにたち初上映です。史上最強のチャーミングな笑顔に、是非逢いにきてください。プロジェクトのダイジェスト映像「この奇蹟(いのち)を根づかせたい」最新版も同時上映。7月7日、くにたち市民芸術小ホールでお逢いできるのを楽しみにしています!
2024.6.17 プロジェクト・メンバー一同