里親さんへの引っ越し第5弾!〜長野県佐久穂町大日向小学校編〜
vol. 35 2024-06-16 0
引き続いて、里親さんへの引っ越し作業、第5弾のご報告です。
4月28日〜29日、長野県南佐久郡佐久穂町の大日向小学校へ、5tを超える大きな桜(ソメイヨシノ/88番)が引っ越しをしました。
大日向小学校は日本で初めてイエナプラン教育を導入した学校。建学の精神の最初に、こうあります。
私たちの考える「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界」とは、すべての人が「個」として大切にされ、それぞれの違いを認め合い、互いに協働することを通して世界平和に貢献する、自由と責任のある共同体です。
この目的を達成するために、私たちは学校を設立し、学校そのものが理想の共同体になることを目指します。
実は、大日向小学校には、できたばかりの大日向小学校に入学するために国立から引っ越された生徒さんがいらして(今年中学に上られました)、そのご家族とプロジェクトのメンバー、「国立二小樹木保存プロジェクトを応援する会」のメンバーが親交があり、里親の話を前向きに進めてきました。
お隣の佐久市には、やはり応援する会のメンバーと親交の深い梨の木舎の羽田ゆみ子さんがいらして、国立二小の桜を是非迎えたい、と積極的に動いてくださいました。
こちらが3月5日に初めて伺った時の写真。雪でした。それから大日向小の理事会や保護者の方の話し合いにかけてくださり、桜をはじめ大きな木はすでに校庭にあるけれど、桜のいのちをつなぐことに共感してくださり、さらにその移植や養生を子どもたちの学びにしてくことに賛同してくださって、受け入れの決定をしてくださいました。
小学校の校庭から小学校の校庭へ。それは私たちプロジェクトにとっても、とても嬉しい引っ越しでした。
引っ越しする桜(ソメイヨシノ/88番)は根が本当に立派で、5t以上ありました。
子どもたちも作業の手伝いと見送りに集まりました。
積み込みを終えて、長野へ出発。
青空が美しい朝、小学校の子どもたちや保護者さん、先生、地域の方、そして職人さんが集まってくださいました。統合で廃校になった公立小学校を買い取った学校なので、佇まいは昔の小学校のままです。
京都、滋賀、岐阜、埼玉、静岡からも職人さん、ボランティアさんが大集結。ゆとりがあるので、この日は周辺環境の「見立て」からスタートしました。
とても恵まれた環境にある学校ですが、実は周辺道路ができたことで斜面の桜は傷んでいました。
裏山から建物を守るために造られたコンクリート擁壁が、実は空気と水の流れを遮断していると矢野さん。参加されていた学校スタッフの方にかつての卒業生がいらして、その頃はこの半分くらいの石塀しかなく、気持ちの良い環境が保たれていた、と仰いました。
広い敷地のどこに桜を植えるのがいいか、じっくり観てまわります。
雨が降ると水がなかなかはけないというグラウンドの隅から溝(水脈)を掘り出した矢野さん。
植え場所が決まりました。
桜を大事に吊って下ろします。
炭、コルゲート管で空気と水が循環する環境をつくります。
慎重に、重心バランスを見ながら据え付けます。
桜一本の植えつけですが、何人もの人が関わる結作業。同時に、この桜がここに植えつけられることで周囲の環境が再生されます。
一見、関係なさそうなところにも水脈を掘っていく矢野さん。
グラウンドの周りにぐるりと「脈」が張り巡らされます。
正門入ってすぐの枝垂れ桜の下、コンクリートのU字溝の際にも。
資材が足りなくなったので近くのイチョウを剪定して資材として使います。
経験を積んだ「大地の再生」職人さんたちによる結作業で、しっかり植えつけられました。
この日は国立二小の子どもたちもやってきて作業に参加。桜を真ん中に、ここから新たな人と人、学校同士の「脈」が育まれていくことを願わずにはいられません。
2024.6.15 プロジェクト・メンバー一同