奇跡の救出劇から約一年! 花を咲かせ、新緑を伸ばす樹木たち(3-3)
vol. 33 2024-04-19 0
いよいよ4月13〜14日、第3弾の引っ越し作業日。だんだん要領が掴めてきたとはいえ、一本一本、木は違い、現場も異なるため、計画通りにはいきません。第1弾では5本、第2弾では7本、第3弾は10本動かすことが予定されていました。果たして、予定通りに進むのか。職人さんもボランティアさんも私たちプロジェクトも真剣です。
救出のために幹も枝も大きく伐られ、ハンディを負った木々ですが、既存木とも一緒にスクラムを組み、お互いが元気になって生き抜いてくれました。この風景もこれが見納めです。
掘り取ってみたら、根がしがらんでいた八重桜とモミジ。朝日新聞デジタルの記事を見て「木を助けたい」とご連絡をくださった武蔵学園さんに、一緒に引き取ってもらえることに。
先端に元気な芽を伸ばし、みんなを励ましていた八重桜。新しい場所でも元気でね。
既存の桜が大きくなって花もたくさん咲かせているように見えます。
二小に残れるかもしれない普賢象。こんなに見事に花を咲かせて。
桜が応援してくれているような作業日和でした。
大島も出発の準備を始めました。
この桜も含め、4本が武蔵学園さんに行きます。
中学、高校、大学がある武蔵学園さんは練馬区江古田にある歴史ある学校。2箇所に2本ずつ植え付けます。
やはり作業は夜に……。
植え付けが終わったのは深夜0時を回っていました。片付けを終えて次の現場(里親)、茨城県桜川市に向かいます。長時間の作業(計9時間!)におつき合いいただくことになった武蔵学園施設部の部長さん、課長さん、お世話になりました(後日、お詫びをしたら「凄い人たちですね! 女の方も多いでしょう? 大丈夫なんですか? いやぁ、凄い」と仰ってくださいました)。
桜川市で里親を引き受けてくださったのは真壁町の市村香さん。桜川市の市議さんでもあり、立派な茅葺の家は200年前に宮大工さんの手で建てられたものだとか。そこに巨大なラフタークレーンが。
手付かずだった森を地域に開いて、自然、交流、教育、福祉、防災の拠点にしていく「観喜(よろこび)の郷(さと)」。やってきたのは幹周り349cmの大島です。
水脈を丁寧につくって植え付けていきます。
みんなの力でこの地にやってきて、あたたかく迎え入れられ、無事立ち上がりました。
こんな御祝いも重なって。
「来年花が咲いたら桜の塩漬けをつくって待ってるから、子どもたち、遊びにきてね」と市村さん。
ふかふかの大地には驚かされるほど。ここでまた健やかに育ってくれることを祈ります。
さて、こちらは同じ4月14日の国立第二小学校。深夜1時まで武蔵学園で植え付けをやっていたスタッフも朝から作業を始めます。
枯死判定の桜を3本、上野原の農場に運び、最後のいのちをつなぎます。
“重いしょうがいがあっても、多摩川とともに普通に暮らし、つながり、生きる”「たまよんガーデン・コミュニティ」に秋に行く桜は、埼玉県寄居町の中央園芸さんに仮移植されました。
さて、明日4月20〜21日は第4弾の引っ越し作業!
樹木と人の物語は、草の根のように四方八方に伸びながら、たくさんの「結」を紡いで続いていきます。