登壇者紹介:貴志 英生 Hideo Kishi
vol. 13 2015-06-15 0
お二人めの登壇者を紹介
昨年の見える事例検討会全国フォーラム in 福井を主催され、定例検討会を開催して福井で見え検をリードしている方です。精神科医師としての顔、世界の子供たちへのボランティア活動家としての顔、マインドマップインストラクターとしての顔を持ちます。
プロフィール
貴志 英生(きし ひでお):福井県福井市出身。1988年兵庫医科大学卒業後、福井医科大学(現福井大学)精神医学教室入局。1993年伯父の急逝により診療所を継承開院。
○かかりつけ医:小児から老人まで、地域医療に携わりながら訪問診療も実施。
○精神保健指定医:福井県精神科診療所協会設立準備会代表。
○認知症サポート医:「福井見える事例検討会」を2ヶ月に1回主催。福井市認知症初期集中支援チームメンバー。
○認定産業医:メンタルヘルス産業医として活動中。
○特別養護老人ホーム、身体障害者施設、自立支援施設の嘱託医。
○TLI(ThinkBuzan公認マインドマッピングインストラクター)
○ボランティア活動:西太平洋地域を中心に海外でポリオワクチン投与なども行っている。これまで、ラオス、フィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジー、キリバス、サモアなどを訪問。
全国フォーラムに向けた意気込み
昨年11月に第3回全国フォーラムを福井で開催させていただきました。その際、全国フォーラムのタスキを桐生にお渡しすることができて大変嬉しく思っています。
認知症を取り巻く医療に関して最近考えることがあります。認知症の進行を遅らせる治療薬が4剤になり、薬物療法の幅が広がってきました。ただ、抗認知症薬が処方されると「一丁上がり」と安心してしまう空気を感じます。介護や福祉関係者までもが投薬されていることで安心する雰囲気には違和感を感じます。
認知症の方の問題とされる行動には、了解可能なものも多く見られます。BPSDとは健常者が都合よくつけた言葉であって、その問題の成り立ちを理解することで認知症の方の心に触れることにも繋がると思います。精神科医としては、認知症の人の寂しさ、不安、混乱に目を向けて、寄り添っていくことの大切さを伝えたいと思います。
現状の認知症治療は、多職種が連携して地域で支えることではないでしょうか。「見える事例検討会」は、認知症治療の根底をなす考え方を学ぶことができる手法と思います。そして、検討会を通して地域の人とつながることの心地よさも味わうことができる素敵な場です。それは、素敵で楽しいからこそ継続できるのでしょう。その魅力を全国に発信したいと考えています。