ラスト7日!『刺青師一代』プロジェクト担当から応援コメントです
vol. 11 2024-12-07 0
今回のプロジェクトの統括を担当した國澤と申します。
凡天劇画会最後のクラファン締切りまで残り7日と迫りました。13日の金曜日の23:59で終了なので今週が最後の週末となります。
コレクターも180人を超え達成率も120%を超えています。停滞期を迎えることなく順調に推移しておりますが、単行本支援者全員への追加特典など皆様への還元の追い風になればと筆をとった次第です。
今回のカバーデザインのモチーフになっている芸文コミックスは『猪の鹿お蝶』に続き2回目となります。収録作の掲載誌的にも必然性のあるセレクトです。前回採用しなかった芸文ペーパーバック+ダストジャケット仕様は、コスト的にも凡天劇画会で最後にクラファンで作るこのタイミングでしか作れないと思ったからです。
芸文コミックスへの想いは、2回目のクラファン『猪の鹿お蝶』の時に書きました。
https://motion-gallery.net/projects/ochou-comics/u...
その試案の中には、黒田みのる『呪いの家』、平田弘史『愛憎父子挽歌』、原作:石堂淑朗/画:ミッキー・レッド『まくり狂瀾』の3タイトルだけに採用されたペーパーバック仕様にして、『愛憎父子挽歌』『まくり狂瀾』のように同デザインのカバーを巻くということも考えてました。これは数あるコミックスの中でも芸文でしか採用されていない仕様です。ボツにした理由はコスト面やマニアックに走りすぎているという理由ではなく、初期の芸文のペーパーバック仕様を『お蝶』のページ数で再現すると違和感があると感じたからです。一応そんなことも考えて紙の単行本と向き合ったので、手に持った時の感触も「中期~後期芸文」に近いものを提供できるのではないかと思っています。
芸文コミックスには一際思い入れがあります。
太田出版のQJマンガ選書『悪魔くん』(だったと思う)に挟み込まれている月報の「売ります買います」欄に、「『まくり狂瀾』3000円で売ってください」という私の投稿が載っています。インターネット普及以前ってコレクターにひっかからないものは本当に探せなかったので、言い値で買うしかありませんでした。
今では駿河屋で100円買取。カバー無しならまんだらけでも似たような感じです。
1990年初頭の絶版マンガブームの頃は、インターネット普及前でどんなコミックスが発売されているのかもはっきりしていなかったし、ヤフオクはもちろんないので古書価格は古書店主導、本当にお金を溶かすための沼でしたが、掘れば掘るだけ誰も知らないものが出てくるのではないかという空気がありました。
でもその反面、コレクターが集めているものや価値感は現在よりも画一的だったように思います。
10代でお金もなかったので既存のコレクターが買わないもので勝負するしかないと開き直って特価コーナーを漁りながら試行錯誤の末にたどり着いたのが「芸文コミックス」でした。
如何わしい色使い、知らない作品ばかりの刊行案内に痺れ、当時のパッケージも含めた「劇画」というものに惹かれました。旭丘光志『仮想敵機を撃て』読みながらこれが自分のコレクションスタイルになるかもしれないとリスト作りをはじめたころに『マンガ地獄変』の発売で確信に変わり、コレクション熱に一気に火が付きました。
それからホームページを作ったり、古本の仕事に就いたりと、現在まで本との付き合い方は変わりましたがコレクションスタイルは変わっていません。
20代前半を1960~80年代の劇画雑誌の調査に充てたおかげで自分なりにパースペクティブを掴めていたから、凡天太郎作品と深く関われたと思っていますし、そのあたりもすべて「芸文コミックス」が入り口になったおかげです。
文中にあるQJマンガ選書の月報は「地獄くん」でした。
もう30年も近く昔なんですね…
芸文コミックスはQJマンガ選書やマンガ地獄変などの発掘ムーブメント以降もひばり黒枠やJOYコミックスのように急激に高騰するタイトルはありませんでした。
でも、こんなに芸文のケバケバしいカバーデザインに惹かれるのは何故だろうという気持ちは今も変わらず、植地さんとのデザインミーティングの際にも「どうすれば芸文になるか?」というところから再定義することから始めたのです…
ここから先は植地さんに筆を取っていただくとしましょう。
【つづく】