残り6日!『刺青師一代』カバーデザイン担当の植地毅氏からのコメントが到着!
vol. 12 2024-12-08 0
凡天劇画会にて単行本カバー装丁デザイン担当の植地と申します。今回も再び劇画会からの依頼により『刺青師一代』のカバーを制作したので、その険しいデザイン作業の道程について解説したいと思います。
今回の装丁デザインは凡天劇画会がクラファンにて刊行する最後の大ネタとなる『刺青師一代』。凡天先生の描く男度120%・刺青度200%の濃密な作品群を集結させた初の単行本化となります。この濃ゆい世界観をデザインに落とし込むべく劇画会からのオーダーは、『猪の鹿お蝶』(2022年) の装丁の元ネタとなった芸文社コミックスのオマージュを更に進化させたものです。
元ネタの詳細については前回更新された國澤氏のコメントを読んでもらうとして、デザインの実作業は困難を極めました。
まず、表紙のために劇画会が用意したメインビジュアルは、凡天先生の筆による『漫画パック』の表紙イラスト。当然ながら原画は紛失しており、作業は雑誌本体からのスキャンデータ加工の一択です。しかし、背景となる昇り龍には様々なキャッチコピーやタイトルの文字が被っており、レタッチで修正できる限度を超えてます。まずここが第一関門となったので、別の代替できそうな背景画を思案し、凡天先生自身が刺青師だったことに着目。「漫画の原稿は残ってなくても刺青の下絵なら残存しているはず!」と考えて劇画会にリクエスト。結果、見事に理想的なカラーの刺青下絵が複数点発掘されました。これで背景の問題はなんとか解決…ですが、まだ課題はありました。
それはズバリ『刺青師一代』のメインとなる題字のロゴ。凡天作品の多くは題字のロゴデザインが簡素なものが大半を占めており、過去の劇画会刊行物では劇画会のスタッフが改めて書き下ろした題字ロゴ(『女刺青師ルリ』など)を使用しました。しかし今回は珍しく凡天先生自らが描いた題字が存在したので、これを使わない手は無いという決断に至りますが、実はタイトル題字の5割くらいが人物の絵に隠れていました。
そこで、ロゴの見えない部分を想像しながら新しいタイトルロゴを描くという、化石発掘と骨格復元の如き作業に取り組み、幾つかの下書きを経て、なんとか自然な凡天タッチを再現。今回最も苦心したのは、デザインの構成よりもこの題字ロゴの再現作業でしたね。
ロゴが仕上がれば、残りの作業は全体の構成のみ。今回もグラフィック・デザイナーとして各方面で活躍されている勅使河原氏に助力を求め、複雑なデザイン組みを手伝ってもらいました。
『刺青師一代』は、コメントで國澤氏も触れている通り芸文社の単行本でしか見られない珍しい仕様の再現に挑戦。帯のデザイン構成も過去イチ凝ったものに仕上がっており、手に取ってもらえれば「読んでヨシ・並べてヨシ・眺めてヨシ」の三拍子揃った出来映えを実感してもらえると自負しています。
また、これまでは過去の装丁カバーに施された古い技術を再現したものが多かったのですが、『刺青師一代』では現代だからこそ可能なコラージュ技法を取り入れてました。特にカバー裏表紙の刺青道具の配置は、70年代の技術では難しいボカシのアウトラインを採用。ただ単に過去の仕事をなぞるのではなく、21世紀の令和時代ならではの技術・表現を取り入れることで、単なる再現では留まらない「新作ビンテージ」という、一見矛盾した魅力を持つ特異な装丁が仕上がりました。
凡天劇画会立ち上げから12年…いよいよ凡天ワールドの総本山となる作品の刊行に胸が高鳴りまくりです。
最後に、皆さんのご支援に感謝すると共に、総決算クラファンとなるこの祭に、一人でも多くの劇画ファン、そして刺青ファンの方々に参加していただきたいと願うばかりです。
植地 毅 (デザイナー/ライター)
支援者限定公開で未単行本化の凡天作品を公開中!
凡天太郎『蒸発』/土曜出版社「土曜漫画 臨時増刊」昭和43年4月19日号 掲載作品https://motion-gallery.net/projects/horishi-ichidai/updates/53419
凡天太郎『拷問』双葉社「増刊 推理ストーリー」昭和43年6月15日号掲載 https://motion-gallery.net/projects/horishi-ichidai/updates/53597
さらに!
100%達成以降、80万→90万→100万円と達成金額が増えるごとに特典を追加となります
目標額は達成していますが、安易にストレッチゴールを設定するよりも、
拡散などご協力いただいた分、皆様に還元したいという思いから
10万円ごとに追加特典用意してます!一律で単行本の冊数分の追加です!
支援者が増えるほど、リターンに+αで還元される仕組みです。
現在80万円突破しているので、こちらの透明ステッカー(85×54mm)が単行本1冊につき1枚追加となっています!
- まもなく到達する90万円突破→単行本1冊につきマグネットステッカー(90×70mm)を1枚追加
- 100万円突破→単行本1冊につきレンチキュラーカード(3Dデプス、名刺サイズ)を1枚追加
もし100万円を突破した場合は、単行本1冊にステッカー・マグネット・レンチキュラーの3点が付属となります。これと早割を合わせればかなりお得になるのではないかと…
残り6日間!引き続きよろしくお願いいたします。