編集だより Vol.7
vol. 10 2020-04-17 0
4月12日の夜、クラウドファンディングが目標金額を超えました。
コレクターの方々をはじめ、応援してくださっている皆様に、心より感謝申し上げます。
本の完成を楽しみにしてくださる方がこんなに多くいらっしゃるということに、なにより元気づけらています。
さて、先頃このアップデートでご紹介した「ブルース・リー 4Kリマスター復活祭2020」が公開延期になりました。
中止ではないのが救いです。応援の気持ちを込めて、あらためてブルース・リーのポスターにちなんだ話を書きたいと思います。
まず、『ドラゴン怒りの鉄拳』(1974年日本公開)のポスターをご覧ください。
飛び蹴りするリーの軌道に沿って、シューッという線が引かれています。
こういう線のことを何と呼ぶのでしょう。漫画などで動きを表すために描かれる線に似ていますね。
見るからに、人の手で描いた線です。
次に、『黒帯ドラゴン』(1974年日本公開)のポスターをご覧ください。
ここでも同じような線が見られますが、なにかちょっと違う感じがしませんか?
リーの飛び蹴りのような具体的な動きを表しているというよりは、作品全体に横溢するスピード感を表現しているように見えます。
あるいは、デザインのいち要素として、線を描いたのかもしれない。
この頃の檜垣紀六さんのポスターには、こういった「線」がときどき描かれています。
映画の「動き」や「スピード感」という、時間をともなう要素を、ポスターという静止画でいかに表現するか。
その工夫の結果が、こういった「線」となって現れたのではないか。
わたしはそんなふうに考えています。
応用編として、さらに2つのポスターをご覧ください。
『フリービーとビーン/大乱戦』(1974年日本公開)と『続・シンジケート』(1975年日本公開)です。
ご覧のとおり、ここでは車の動きやスピード感を表すために「線」が描かれています。
興味深いのは、ここで紹介した4つのポスターが、ほぼ同時期のものであること。
単純に、1970年代にカンフーとカー・アクションが流行っていたから?
時代が映画に「動き」や「スピード感」を求めていた、というのは深読みでしょうか。
いずれにしても、一見当たり前のように見えるこの「線」も、手作業の時代ならではの映画ポスターの特徴のひとつといえるでしょう。
(編者・桜井)
たくさんのご支援をいただき、ついに目標金額400万円に対して達成率104%となりました!
本当に、本当に、ありがとうございます。
クラウドファンディング終了まで残り57日。
よりたくさんの檜垣作品を収録できるよう、そしてより良い造本となるよう、最後までがんばります。
皆さま、引き続き応援よろしくお願いします!