犬丸のキャラクターデザインについて
vol. 12 2022-07-22 0
今日は犬丸のキャラクターデザインについて、監督の川村×共同監督/キャラクターデザインを務めているドワーフの小川のインタビューをお届けします!
川村:
犬丸は甚五郎に比べると完全オリジナルキャラクターなので、結構造形に悩みましたよね。ともかく主人公の甚五郎と対になるような、めちゃくちゃ濃いヴィランキャラにできないなかと。バットマンに対するジョーカーみたいなキャラが欲しかった。で、どうやって一眼で癖があって「悪人」とわかるキャラにできるかなと考えた時、江戸時代に実際にあったという「入墨刑」を思い出しました。罪人の証拠として捕まるたびに入墨を増やしていくという制度だったらしいのですが、広島の入れ墨が特にやばくて、初犯時は顔に「一」を彫られ、再犯時はそこに「ノ」が加えられて、3度目に犯罪を犯すと2画追加されて「犬」の字を入れられるという。超インパクト強いですよね。で、これは面白いなと思って、ともかく「顔にでっかく犬って書かれてる悪いやつ」でデザイン考えて欲しい!とか、そんな無茶振りを小川さんにしたのを覚えてます(笑)。
小川:
あと「小さいおじさん」っていうキーワード(笑)
川村:
あ、そうそう!甚五郎が正義の大男だから、逆になんか凄い悪くて、権力があるけど小者感ある感じだと面白いなと思ったんだった。でもそのくらいのオリエンをもとに、隈取りっぽくでっかく「犬」が顔面に入ったキャラをデザインしてくれたのはもう天才だなと思いましたね。歌舞伎半分、刺青半分という感じで、めちゃくちゃ強いキャラを生み出してくれた。結局一番最初に描いてくれたスケッチ(下記写真左上)に最終形は一番近くなりましたよね。
小川:
そうですね、スケッチの中でも本当に一番最初に描いたものですね。
川村:
すごいですよね。HIP HOP系のブリンブリンな衣装のリファレンスとか、ゴッドファザー感のある写真とか、小さいおじさん、犬の頭ついた杖とか、いろんなイメージリファレンスを送って、そしたらこれが出てきたからなぁ。本当に素晴らしい。
小川:
甚五郎よりも犬丸の方が遊べるなと思って、最初のアイディアの段階で方向性違いをいろいろ出して探ることもできましたね。
川村:
それが見れたのはよかったですよね。それぞれちゃんと個性が出てるからいいですよね。
でも見ていくと、頭身がリアルになればなるほど個性が失われちゃって、デフォルメされてる方がいいねってみんな思えましたよね。
(小川スケッチを見ながら)あ、、、大昔は虎*がいたよね。。僕は忘れないぞ、あいつのこと。。。
注:虎...
当初川村が描いたコンテには、甚五郎の作品と言われている「野嵐の虎」をベースとした虎のキャラクターが犬丸のペットとして出てくる予定でした。しかし、予算や工数の都合上、虎は泣く泣くカットすることになったのです。。。この話はまた別の機会に書かせていただきます!!!(号泣)
川村:
このスケッチは超秀逸だったんだよねー。。。
犬丸は、巨大な虎っていう武器というかペットを連れてて、虎柄の服を着てる小さいおっさんにしようって話になったんだよね。それで、パイロットフィルムの後半で甚五郎と虎が戦うみたいなストーリーにしてたんだけど、この虎のパペットは誰が作んねん!って話になって、泣く泣くね、、、、
小川:
甚五郎や犬丸は、いずれ八代さんが八代化すると思って人形っぽく描いてないんですけど、虎に関しては、人形の造形としてこういうのをやりたいっていうアイディアを詰め込みましたね。
虎は、あえて毛が生えてない形の方がカッコいいんじゃないかなと思ったのがひとつ。造形的には、西洋の甲冑みたいにプレートが重なって造形ができてるイメージなんですけど、黄色いパーツが組み合って虎の形を作っていて、虎の柄の黒い部分は黒い色のパーツなのではなく、黄色いパーツの重なりで影ができて陰影が生まれてたらすごいカッコよくなるなと思って、この絵を描きましたね。
川村:
いやーいいっすよね、もう見た目で十分超かっこよくて。でもこの虎を作るならば、やっぱり八代さんにお願いしないと世界観は合わなくなっちゃうし、しかし甚五郎2体プラス虎では工数が多すぎて、とてもじゃないけど八代さんが死んでしまうなと、、、、
小川:
この虎のデザインを描いて、自分でも「本当にこれできるのかな?」って思いましたね。四つ足動物はアニメさせるのが難しいというのもありますけど、木彫でプレートの重なりを作るというのも、その中に関節を仕込むというのも難易度高すぎだなと思って。。でもいつか、この虎は作りたいし出したい!
川村:
本編では絶対出したい!「野嵐の虎」だから、絶対出さないといけない。
今回のパイロットフィルムのオチになるからまだ言えないけど、虎の代わりに考えたラストの展開は、結果これでよかったと思えるものにはなったと思う。造形的には、虎を作ろうっていうのと同じくらい無茶を言ってしまったものの、ラストの造形を担当した武内さんの素晴らしい頑張りで、めちゃくちゃいい仕上がりにしてもらえて。最初に描いたスケッチに結構忠実に再現できてるよね!
(この仕上がりは完成をお楽しみに!)