甚五郎のキャラクターデザインについて
vol. 6 2022-07-11 0
今日はキャラデザについて、監督の川村×共同監督/キャラクターデザインを務めているドワーフの小川のインタビューをお届けします!
川村:
甚五郎のキャラクターをどうやって作り上げて行ったかについてなんですが、キャラについては、最初僕もポンチ絵的なものは描いてみたりしたんだけど、最終的には「義手」「カッコ良すぎないキャラ」というキーワードを伝えて、まずは小川さんに描いてもらったんですよね。
小川:
シナリオも読んだ上で、「巨漢」っていうのが頭に浮かびました。甚五郎は人間だけど、今回は人形なので、デフォルメをきかせたものにしようと思ってました。顔は後々変えることもできるので、まずは体型の印象を最初に考えましたね。
(小川による最初のキャラデザイン)
川村:
シルエットで見た時に特徴的ですよね。義手も効いてるんだけど、一目で見て強そう。この最初のスケッチはゴツいっていうか四角感があったけど、最終的にはこのゴツさと普通のキャラの中間くらいに落ち着いていったかんじがしますよね。
小川:
木で作るというのもあったし、あんまり人っぽくなくてもいいのかなぁって思ってましたね。
川村:
でも最初のキャラデザを見た松本Pから「イケメン感が足りない!」って言われて、次はちょっとイケメンの絵を描いてもらったんだけど、逆になんか普通になっちゃったな...ってリアクションがみんなから出たよね(笑)。
(イケメンにしてみたら、普通になってしまった2回目のスケッチ)
川村:
デフォルメもそうなんだけど、どこまでリアルさを残してどこまでファンタジーさを許容するか、物語上もキャラクターデザイン上も、常に鬩ぎ合ってましたよね。
その流れで、甚五郎はもう少し年を取らせようっていう話になって、あとはどう癖づけようかって話しながら、デザインの方向性をちょっとずつ絞っていったよね。
小川:
キャラクターの癖付けをするにあたって、何の要素だろうって結構悩んだけど、メガネを描いてみた時に、これだなって思いましたね。
(江戸時代にもメガネはあったということで、満場一致でこのデザインに)
川村:
メガネ、よかったですよね!ただの凶暴な肉体野郎じゃなくて、知的感もプラスできた。
これをベースに「八代化*」してみようって話になって、八代さんにパスしていったね。でもスターティングポイントとしてこれがあったから八代さんもわかりやすかったって言ってくれてた。後ろ姿がカッコ良かったから、そこから着想して骨格も作ってくれてたり、衣装もたなびくようなものを作ってくれたりね。
注:八代化...どんなデザインも八代に渡して木彫りになると、渋い仕上がりになるという意味で、現場で多用されていました(笑)
小川:
最終的な印象として「四角い背中」っていうイメージが、今の人形にも残って良かったなと思ってます。
小川:
僕のデザインの癖でもありますけど、「上体がでかくて、足は短くて細くて華奢」というのがたまたま八代さんの癖でもあったのか、デザイン的な紆余曲折はあったけど、最終的には最初に描いた体型に近くなったな、と思っています。
普段、人形になる前提のキャラクターのデザインは、割と人形として描くんですよ。デフォルメの具合も、そのまま立体化することを見越して描くんですけど、今回はそれを考えずに描きましたね。八代さんの手に渡ると八代化されていずれ変わると思うから、今の絵の段階で納得できる甚五郎を描いて渡しましたね。普段の人形のデザインを描くんだったら、こんなにキャラっぽく描かないし。
川村:
そうだよね。人形にする時にどうするかはわからないけど、あくまでイメージイラストというか。
小川:
最終形に近いメガネをかけてる甚五郎も、本来だと造形の人にデザインを渡す時はもっとシンプルに描いて渡すし。
川村:
なるほどね。僕もあんまり気にせず自由に考えて小川さんに振るし、小川さんは人形化について気にせずに八代さんに振るし、八代さんは八代さんで動かすことを気にせず作って稲積さんに振るし。それぞれの分野の人が、一番よいと思うことを考えて気にせずバトンを渡すとさらによくなっていくっていうのがありましたよね。それが全体を通してよかったなと思っています。
小川:
普通キャラクターのデザインを描くと、例えば横顔はどうなってるかとか聞かれて都度描いたりするんですけど、今回はそういうやりとりはなく、雰囲気で伝えてお互い形にしていくっていう。それで全然大丈夫なのが面白いし、どうなるかわからないのが面白かったですね。
(続く)