「ふとんP」で取り組んでいること【2】 ~2015年の活動報告より~
vol. 2 2016-12-26 0
●【1】はこちら→ https://motion-gallery.net/projects/futon-toshikoshi2016/updates/14075
●【3】はこちら→ https://motion-gallery.net/projects/futon-toshikoshi2016/updates/14077
■一人ひとりと、つながれるように
大西連:ふとんで年越しプロジェクトの特徴として、「相談依頼を受けたら断らない」、そして「できるベストを尽くす」ということがあります。
財政規模や受け入れ体制などの限界はありますが、相談者一人ひとりと、ちゃんとつながれるようにしたい。相談支援をおこなうだけでなく、大晦日に紅白を観たり、お正月にお餅を食べたり・・・そういうこともできるようしたいと思っています。
そのような個別的な関わりから、以下のような「支援の前提」が必要だと実感を強めています。
- 個室シェルターの整備や、早期のアパート入居に向けた支援を充実させること
- 年末年始や夜間休日などを含む、通年の生活保障
- さまざまな事情の方が相談できるよう、時間外の窓口を設けたり、相談員がアウトリーチに出向くなどの工夫
- 「就労自立」をゴールにしない支援。住まいや医療、教育等の支援を優先すること
ふとんPは、専門職を含め、全員ボランティアで運営しています。それでも毎年、これだけの人々を支えることができています。
もし、同じような施策を国が整備し、全国各地で実施されれば、もっと多くの方達を支えられるはずです。
既存の制度について言えば、生活保護の申請者が行政窓口で追い返されることは減ってきています。その一方、ふとんPを通じて、「支援制度につながったのに、支援から途切れて路上に出てきた」という方と出会うことが多いです。これも支援側の課題だと感じています。
■提言活動も続けています
大西:このような問題認識から、ふとんで年越しプロジェクトでは発足当初より、国(厚労省)に対する提言活動もおこなってきました。
一貫して求めている内容は、次の4点です。
- 年末年始の閉庁期間も、各自治体に生活保護の申請窓口を設け、必要な対応をおこなうこと
- 閉庁期間も、生活に困っている人や生活保護の申請者に対し、宿泊場所や食事の提供などの支援をおこなうこと
- 必要とする人に届くよう、情報発信や広報をおこない、支援策の利用を促すこと
- これらの施策が適切におこなわれるよう、各自治体に周知徹底すること
ここ数年間の進展として、年末年始の「閉庁期間まで」に、必要な方が相談支援につながれる対応をするよう、政府が自治体に通知を出すようになりました。
また、「閉庁期間中」にも、生活保護の申請が原則として可能となりました。
実際に、ふとんPにつながった相談者の中にも、年末年始に生活保護の申請手続きをおこない、受理された方もいるので、これは提言活動の成果だと思います。
ただ、各自治体による支援策については、国は「特に把握していない」という回答です。
また、「国としては、年末年始に宿泊場所や食事の提供はしない」との応答を続けています。
ふとんPの提言を受けた厚労省は、「(国の委託事業である電話相談の)よりそいホットラインが年末年始も稼働している」と答えていますが、実際には、2013年のプロジェクト初回から3年連続で、よりそいホットラインからふとんPに対して、支援要請が寄せられています。
ふとんで年越しプロジェクトでは、国ができていないこと、ニーズはあるけれどやろうとしていないことを、個人の皆さまからご寄付をいただきながら、実施している状況です。
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