人生はベジタブルジャーニーだよ〜藤井龍作品より〜
vol. 27 2014-08-29 0
この季節、ヒマラヤの麓、ラダックの村々には雪解け水の小さな川が流れている。
この雪解け水の川を村のみんなで上手にシェアしている。
「明日は水が来る日だから、一日中畑で仕事をしているよ」
そんな声が聴こえてくることからもわかるように、
水路をコントロールして(シャベルで方法を変えるだけとかだったりする)、
今日はこの流れ、明日はこの流れ、と決めて、
水をみんなで大切に使っている。
友人のアングモさんは、水がやってくる日に、クルミや藍を素材に染め物もしている。
さて、そんなラダックの水の流れに着目して作品にしたのが、
藤井龍だ。
ロードムービーならぬ、リバームービーを作りたいと思っているんです、と。
リバームービーの主人公は、いろんな色と形のベジタブルたち。
見ていると・・・
案外、ナスは不器用で、
ちょっと浅瀬だったりすると立ち止まってしまったりする。
大きなウリもよく逡巡している。
人々が洗濯したり、食器を洗ったりする小川を
旅していたと思ったら、子どもたちの水浴びにでくわしたり。
インダスリバーのような大きな流れに出たり。
ビジタブルたちは、なんとなくいっしょに流れているけど、
それぞれに、考えもあって、ゆっくりしたり、沈思黙考したりする。
チームリーダーをしていた私は、
この映像を観たとき、
このプロジェクトに集った私たちみたい、と思った。
一緒に進んでいるようで、
実は全然そうじゃなくて、それぞれの想いがある。
立ち止まったり、
振り向いたり、
疑問を感じたり、
本当にそういうことがたくさんあった。
私自身がそうだった。
高山病で下山した子たちを、さて、
日本に返すべきか、下山したまま待たせるのか、
迷った挙げ句に、
いっしょに、再び、登ったり。
あー、いっぱいいろんなことがあったな。
ベジタブルジャーニー、報告会などで機会があれば、
ぜひ見てもらいたい傑作だ。
photo by Serge
text by akko