進捗のご報告 vol.05 映画館としてのギリギリを攻める
vol. 5 2017-07-12 0
皆さま、こんにちは。
先週はものすごい集中豪雨が続いたかと思うと、一気に気温が上がり、猛暑日となっています。皆さんも、体調を崩さないように、お過ごしくださいね。
さて、京都の街は祇園祭モードに突入していますね。今週末は先祭りのクライマックスで、多くの人手が予想されます。
そんななか、立誠シネマもラスト興行月間が中盤に差し掛かって来ています。また、残り少ない立誠小学校内でのシネマカレッジ京都の授業も続いています。
写真は「俳優コース・脚本分析クラス」の先週末の様子。ここでは、題材となる戯曲を細かく分析し、俳優がどのように演技のアプローチに昇華していくかを学んでいきます。
その頃一方、出町座(仮)の準備も進んでいます。
防音シートで覆われた建物に、簡易ながらもご自由におとりくださいチラシを設置しました。貼っている最中も通りがかりの方が「それ、ちょうだいな」と声をかけてくれたり。皆さんご関心はもちろん「んで、いつ出来るん?」です。ですよね〜。しかし「オープン日が確定するまでもうちょっとですね」とお答えしています。そう、いつになるかがなかなか見えてこない…けども、じりじりと進んでおります。
今回は、防音シートに閉ざされたその奥で、建物内ではこのようなことをしております。というのをちょっとご紹介します。
映画館として映画をどのように観ていただくか?スクリーンにお客さんがどう対面するかが基本になります。つまり、物理的にはスクリーンと映写機を中央線に、その間に客席をどうレイアウトするかということです。その実地検討の様子です。
現状はまだ建物内は解体が終わって、裸の状態。壁がコンクリートむき出しで生々しいですね。夏だけど、ひんやりしてます。そこに機材を持ち込んで、プロジェクターで光を投影。テストパターン(網線)を映します。見た感じ、ブレードランナーぽいですね。
まだ裸の状態での仮設のテストなので、こんな感じです。デジタル機材はホコリが天敵なので、現状のホコリ天国な状態ではなるべく長く機材を置きたくない…のですが、このシミュレーションはやらねばなりません。
客席ひな壇とイスの配列を、図面で想定していた数値で仮につくってみます。鉄骨材と木板、パイプ椅子。実際の仕上がりは固定の映画館用の座席になりますので、ご安心を。
お世辞にも広いとは言えない空間を、いかに有効に使って、いかにいい状態で映画を観て頂けるか。客席数はいくつになるのか。有事の際のために、しっかり避難経路が取れているか。
いくつかのパターンをシミュレーションしてみます。
前の席の人のアタマでスクリーンが隠れないように…外国映画だったら字幕が下に出るから、それが無理なく視えるかしら…座る人の座高によっても変わりますから、いろんな身長の人が代わりばんこに座ってみたりします。
想定していた図面のレイアウトはもとより、90度回転したレイアウトも試します。実は最初期のプランでは、10度くらい斜めに角度を付けたレイアウトもありました(結果、その案は採用にはなりませんでしたが)。
数値上と実際はやはり別物で、実際やってみると「ああ、こうなるんだな」とすぐに分かりますし、そこで見つかる新たな問題点や「気づき」も生まれます。
この時も、大きな気づきがありました。なるほどな…そうなるか…ということを踏まえ、またプランを練ります。こうしたシミュレーションは時間をかけて何回も出来ればよいのですが、なかなかそうも行きません。電気配線、給排気、映写機材・音響機材、日々のオペレーション、緊急時の対策、そして何よりここで映画を観て頂くことがよき体験になるかどうか…。時間にも空間にも限りはあり、ギリギリの地点を目指します。こればっかりやっているわけではないですが、日々ちょっとずつ変化していく状況を踏まえて、到達点を探ります。
私たちが今やっていることはそんなことです。
少しでも早くオープンしたい気持ちと、時間をかけてよりよい地点を目指すこと。
そのせめぎ合いの果てに、無事皆さんにお越し頂ける日を迎えられるよう、励んでおります。
がんばります。
★めまい(Vertigo)
本プロジェクトはあと51日。
まだまだ関わって頂ける方を募っています。
引き続き、よろしくお願い致します。
シマフィルム
田中・拝