中間状態に耐えるちから、と、突然やってくる
vol. 5 2020-04-20 0
ネガティブ・ケイパビリティ。
不確実なものや未解決のものを受容する能力を記述したことばだそう。
詩人のジョン・キーツが1817年に弟にあてた手紙のなかに
そのくだりがあったそうだ。
いまのこの状況はまさに、そうだ。
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ここまで書いて、電話が鳴った。
新今宮駅前の不動産をあつかうS氏からで
「いま、男性49才、今日泊まるところをさがしている。
いまから、ココルームに連れていっていいか」と言われる。
「お金は?」
「ないみたい。ともかく行きます」
ものの数分もしないうちに、到着。
玄関先のところに椅子をだし
マスクをさしだし、いちおう熱をはかってもらう。
37.2ど。
スタッフたちに緊張がはしる。
「お腹はすいていますか?」と聞くと、
「すいてる」というので、「じゃあ、用意しますね、アレルギーは?」
スタッフのひとりはご飯の準備をし、もうひとりは聞き取りをし
わたしは保健所に電話するという、連携プレー。
やっと保健所につながり、本人にも聞き取ると
「この状態ではPCR検査はできませんから、
ともかく安静に、できれば部屋から出ないようにしてください」と。
濃厚接触者と接触があり、37.5どが4日以上つづいた場合のみ
保健所でPDR検査をする。
この人の場合は、濃厚接触者との接触がないということなので、
もし37.5どが4日以上つづいても、まずは病院にいき、
お医者さんがPCR検査が必要と言ったら、検査になるらしい。
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さて、クラウドファンディングの特典ー恩送りごはんとベッド券を
さっそくつかうことになるんだな、と思う。
その場で釜ヶ崎の諸団体とも連絡をとり
ひとまづ、地域の無料の宿泊所が使えることになった。
翌朝は、地域の無料低額診療所の仕組みの病院へ
相談員が連れて行ってくれることに。
今夜は、恩送りご飯券のみ、使用。
その方には「どうぞ、気を使わないでください。
親切な方が、先払いしてくれているご飯ですから。
元気になったら、またきてください」と見送った。
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ネガティブ・ケイパビリティのちからって
結局は、日頃から人をおもいやる気持ちをもっていることに起因するんじゃないかな。
もっとも貧しく、なにも持たない人が、生きていける、と
ともにそういう場をつくろうと
みんなが協力しているすがたがあると
白黒とか、あーだこーだの屁理屈じゃなく
シンプルに、不確実なところから希望はうまれる、って信じられるもの。