カラス アパラタスで連日公演を開催!
vol. 2 2013-08-28 0
8月9日のオープン以来、カラス アパラタスでは連日のように公演活動を展開しています。
8月11日から19日の間は、バッハの平均率クラヴィーア曲集による公演「平均率、バッハより」と、ジミヘンやクリームからジェームス・ブラウン、アズナブールから戸川純、スクリャービンという無分別きわまりない選曲による公演「真夏の夜の犬」が、勅使川原三郎と佐東利穂子のデュエットによって交互に上演されました。バッハでの求心的なダンスと、「真夏の夜の犬」での踊ることの純粋な喜びにあふれたダンスが鮮明に対比され、ダンスという表現領域がいかに豊かな可能性を持っているのかということを今さらながら目の当たりにした公演でした。
それに続いて、23日からは「日々アップデイトするダンス」シリーズの第2弾として、まもなく東京芸術劇場で公演する「第2の秋」(9月6日〜8日)に向けてのさまざまな実験や探求を、「終わらない季節、終わらない音楽」というタイトルで作品として公開する試みを続けています。その試みの中で、アパラタスでは、通常の劇場では起こり得ないスリリングな冒険が日々繰り広げられています!
その一端をご紹介しますと、初日の23日は佐東利穂子がソロで踊り、翌日の公演は前日とそっくり同じ照明・音楽プランで、昼は勅使川原三郎がソロを、そして夜は勅使川原と佐東がデュエットを踊りました。そして、この3つの公演は、まったく別の作品といってもおかしくないくらいに異なった印象の作品になりました。
このことは、ひとつの作品がダンサーの身体によって、いかに多様に生きられうるのかということを示すとともに、「日々アップデイトするダンス」というコンセプトの真骨頂を示すものでもありました。これは、アーティストの創作現場とホールが直結しているアパラタスだからこそはじめて可能になったことです。
ひとりのアーティストのプライベートな空間であるアパラタスが、社会に開かれ人々との接点を持つことによって、今まさに生まれたばかりの表現に出会っていただける。そのことの価値は、もうしばらくするとさらに明らかになってくることでしょう。
公演では、あいかわらず、照明はわずか8灯しか使用していません。舞台装置もなにひとつありません。にもかかわらず、ダンスでしか表現しえないであろう虚と実のはざまの夢幻的な時空に、終始眼を見開かされます。ごく小さなスペースで、しかも最少限の機材しか使用していない公演ですが、この公演を観ていただければ、パリ・オペラ座バレエ団をはじめヨーロッパの一流の舞踊団がなぜ勅使川原三郎に振付を依頼してくるのか、そして、バレエダンサーでもないのに、なぜ佐東利穂子がレオニード・マシーン賞を受賞し、世界のトップクラスのダンサーとしてリスペクトされているのか、おそらく誰しも納得していただけることと思います。
「終わらない季節、終わらない音楽」の公演は、残すところ今週の金曜日1回になりました(午後8時開演)。9月〜10月は東京芸術劇場での公演、ワシントンとルクセンブルクでの公演、そしてパリ・オペラ座バレエ団の振付のためカラス アパラタスでの公演はしばらくお休みになります。次回の公演は11月中旬からになりますので、お時間が許せば、ぜひ金曜日の公演にお運びください!
さらに、アパラタスでアップデイトしてきた「終わらない季節、終わらない音楽」が、東京芸術劇場の「第2の秋」でどのような変容を遂げるのか、そのプロセスを共有していただけると、ダンスがもっともっと面白くなります!東京芸術劇場の「第2の秋」公演にもおこしいただければ幸いです!
公演がお休みの間も、アパラタスでは勅使川原三郎のドローイング展をはじめ、過去の公演のフィルム上映など、盛りだくさんの企画を開催予定です。欧米のダンスシーンを震撼させた勅使川原の80年代から0年代の作品に触れる貴重な機会です。間もなく上映スケジュールを発表いたしますので、どうぞ、こちらもお楽しみに!
そして、今後の公演そして展示や上映などさまざまな企画を実現するためには、皆様のご支援が不可欠です。今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします!
(写真は「終わらない季節、終わらない音楽」より佐東利穂子)