目に見える資本ではなく、自分の経験が資本 by 伊藤洋志(ナリワイ代表)
vol. 35 2015-12-14 0
生業をカタカナにして「ナリワイ」とし、自ら仕事をいくつも作って活動をしている伊藤さんをご存知でしょうか?「ナリワイ」は、生きていくための手段というよりも、むしろ生活を編集してより良くすることに主眼が置かれています。そんな伊藤さんへのインタビューです。もしご興味があれば伊藤さんの著書もチェックしてみてください。
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「ナリワイ代表」という肩書きで活動する伊藤さん。ナリワイとは、個人が元手をかけずに作れる仕事。環境問題を学びたくて大学は農学部に、そこで専業では成り立たない林業の実態を目の当たりにした。また、学生時代に変わった文化活動と称して、気候に合わない服を着ているなあと着物を作って売る。きっとそのあたりからナリワイの下地を作っていたのかもしれない。
卒業後は育英会の借金を返すためにベンチャーに就職。お金が少ない状況でどうやって事業を立ち上げるかを学んだが、寝不足と肌荒れにより、当時は成果を出してから辞めないと野暮だと思われていた環境の中で、雑誌に文章が掲載されることをきっかけにライターになることを伝えて退社。
とはいえ、ライターの仕事はすぐに来るものでもなく、それにせっかくなので色々な分野の経験を積むために人力車や美術館ホテルの泊まり込みなどのバイト。。。その時に偶然出会った自由大学の前身であるスクーリングパッドと出会い参加。会社員時代に出来なかった友だちができ、もう少し東京で何かしてみようと思ったそうだ。それをきっかけに家を借りて友人とシェア。東京は、収入でセグメントされてしまっていて、文化的背景とか社会の理想、興味や意欲が共通した人たちが集まる場所が少ない、とも指摘する。
仕事は人との関わりから生まれる。友人とシェアして生活する場が出来たことで活動が生まれそれが徐々に仕事になった。目に見える資本ではなく、自分の経験が資本。それを良い形で世の中に還元していく、という発想をもっている。働くことは、世の中と関わる活動。お金が貰えないからといってその活動がだめというわけではない。お金は3番目ぐらいにして面白いことを優先的にやって、それで余裕を持ってやっていける活動をしていきたい、と独特の空気感で語ってくれた。