マスタークラス受講生の振り返りメッセージ【大浦美蘭さん】
vol. 26 2024-04-24 0
みなさん、こんにちは!
映画制作マスタークラス「FUKUSHIMA with Béla Tarr」の受講生からの振り返りメッセージのご紹介です!
本日は、マスタークラスの開催地 浪江町出身の大浦さんから届いたメッセージをご紹介します。
大浦さんだからこそ感じた、福島の地で映画制作をすることへの想いや葛藤、そして「映画づくり」に対する大浦さんの気持ち伝わってくる温かいメッセージです。ぜひご一読ください。
OOURA Miran
Director / Japan ( @sukoyaka_m / X )
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タル・ベーラが福島でワークショップをする。報せを聞いて、参加しない選択肢はなかった。
というものの、東京で暮らす私には2歳になったばかりの娘がいる。近くに頼れる親族もいなかったので、事務局から連絡が来た際も悩んだが家族は背中を押してくれた。事務局やタルベーラからも「母親だから参加できない、そんなことがあってはならない」と後押しされ、思い切って参加することにした。
私は311のその日まで、福島県の浪江町で暮らしていた。これまで作ってきた作品には、福島が必ず出てくる。しかし、母親になると身軽に福島へ行くこともできなくなったし、目の前のことに必死で、福島との心の距離もどんどん遠くなっている感覚があった。
ワークショップの初日、受講生がそれぞれに福島で撮りたいものをベーラに伝えた。わたしはかなり抽象的なテーマを述べたが、ベーラは「人を撮りなさい。人と出会って、その人の物語を撮りなさい」と言った。
自分が震災の中心地にいたために、“被災地“で暮らす人にフォーカスを当てるのを躊躇っていた。「わかりすぎてしまう」からこそ、撮ることに強い意味がないとダメだと思っていたからだ。
しかし、このワークショップではとにかく身を委ねることにして、地元・浪江町を歩き、人に出会い、最終的には造園業を営む男性と巡り合った。
男性は、これまでにあったことを丁寧に教えてくれた。帰れなくなった家のこと、震災後の仕事のこと、家族のこと。そして大好きな庭いじりのこと。
震災後に移転したという事務所の庭は、仕事が忙しすぎて手付かず。偶然にも、明日から事務所の庭で、春に備えて土留めの壁作りをするのだという。
壁作りの映像をベーラに見せると「これだけで映画になる」という。男性との会話は(わたしが英語をほとんどできないこともあるが)ベーラにはほとんど伝えていなかったが、それでも伝わるというのだ。
内心、他にも画がなくて大丈夫なのか心配にもなったし、他に用意していたプランもあった。でも、ベーラのいう通り、自分の「映す人や映すもの」を信じることにした。
丁寧に庭づくりを見つめ、一緒に風を感じたり、休憩でお茶をしたり、時々思い出話をする。ただただ、目の前の人と、場所を信じて、物語に耳を傾けた。
ワークショップの期間中、わたしはよく笑っていたと思う。地元で撮影をしているときはとにかくいつもしんどかったはずなのに。
ベーラに「カットが短い!!!」とか「あんた撮る時に喋りすぎ」と杖を天に向けて叱られたりもした。でもなぜか、わたしの顔をみてよく笑い、「きみの笑顔の内にはPeaceがある」とよく言った。
特別に伝えたいことがなくても、人に出会うことから始まる映画づくりを、これからも続けていきたいと思う。
大浦美蘭
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プロジェクトも残すところ2週間、残り日数【14日】となりました!
ワークショップ閉幕後から少々停滞気味だったこのプロジェクトですが、先週からまた徐々にご支援数が増えてきて、現在64名の方にコレクターとしてご支援いただいております。
コレクターの皆さま、誠にありがとうございます!
そして、まだコレクターではないものの、このプロジェクトに興味を持ってくださっている皆さまもありがとうございます!コレクター様としてのご支援も、ぜひよろしくお願いいたします。
残り14日間、残り僅かですが
最後まで「福島映画教室2024」をよろしくお願いします!
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