マスタークラス受講生の振り返りメッセージ【清水俊平さん】
vol. 24 2024-04-18 0
みなさん、こんにちは!
映画制作マスタークラス「FUKUSHIMA with Béla Tarr」の受講生からの振り返りメッセージのご紹介。
本日は、清水俊平さんから届いたメッセージをご紹介します。
タル・ベーラ監督と清水さん、福島映画教室でのお二人の熱いやり取りの様子が伝わってくる。そんなメッセージです!ぜひご一読ください。
SHIMIZU Shumpei
Director, Screenwriter / Japan
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「ファッキンシネマインダストリーズの生んだカット、カット、カットのTV監督野郎!!」撮影を終え、僕がmac book proでその日のラッシュ映像をベーラに見せた時の言葉である。フィクション監督であり、普段カメラを触らない僕は今回のマスタークラス屈指の劣等生で、おそらく世界で一番ベーラにFワードで罵られ続けた監督だった。初日からフルスロットルのFワードで鼓膜を蜂の巣にされ続けられた私は、『サタンタンゴ』を観終わった後のようなベーラ酔いに見舞われ、ぐったりしていた。しかし、ベーラは企画開発や脚本、全てのカットのフレームやライティング、編集リズムなどに時間を惜しまず向き合ってくれ、彼の言葉の裏側には深い愛情やねらいがあることがすぐにわかった。
「Do!! Human being!!」人を見て、その営みを見つめること。そして行動しなさいという独特な表現は、ベーラが私にFワードの次に多くの回数浴びせ続けた言葉である。正直、かなり耳タコだったのだが、商業映画的な設定や物語を考えることに重心が行き過ぎていた私にとってこの言葉は劇薬となった。マスタークラスは2週間と短い期間だったが、私は自分なりに福島とそこに生きる人々を見つめ、映画の主演をお願いすることになるRinaさんと出会った。私は彼女のダンスに対するパッションや、福島での体験をベースに物語を考え、7年ぶりに映画『A Separation』を撮ることが出来た。10分程度の短編ではあるが、企画が目の前で立ち消えていく日々を過ごしてきた私にとってこの作品は、映画を撮ることの難しさと同時に、映画の面白さを思い出させてくれた。そしてその面白さとは、やはり人との出会いや、人を見つめた先にあるものだった。福島での出会いや出来事は、私にとって映画よりも映画的であった。
私は今回のマスタークラスでベーラから貰った全てを胸に、あらゆる表現可能性をかいくぐった自分だけの映画を完成させ、1日でも早くベーラに観せたい。そして今度こそはTV監督ではなく「この映画監督野郎!」と罵っていただきたいと思っている。
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引き続き、活動レポートの更新をお楽しみに!
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