夏の思い出:スウェーデンに小さな日本のこころをこしらえた
vol. 3 2014-09-02 0
この夏、叡智の杜の姉妹的プロジェクトとしてスウェーデンに苔庭を作りをするという文化交流プロジェクトが行なわれました。叡智の杜プロジェクトが海を渡って広がりました。今後も、様々な広がりを生み出していくプロジェクトです。ぜひ一緒につくっていければと思っております!
-------実際に苔庭づくりに参加した阿部柚さんのステキな文章を、「Norah」という東京青山でファーマーズマーケットを主催しているメディアサーフチームが制作している雑誌から抜粋させていただきます。(写真は、同じく苔庭づくりに参加した小松市出身の写真家 長谷川銀さんが撮影したものです)--------
蝉の鳴く声、じめっとした生暖かい風。今年もまた、この季節がやってきた。
ちょうど今から二週間ほど前、私たちは日本を離れ、北欧スウェーデンへ赴いた。
小さな”日本の心”をつくるために。
ウメオ市は、首都ストックホルムから飛行機で一時間ほど北へ行ったところにある。夏のホリデーを楽しむためにスウェーデンの人も訪れ、自然も多く、ゆったりとした時間が流れる心地の良い場所だ。
私たちの使命は、そのウメオの森林に「苔庭」をつくること。
石川県小松市日用町の苔庭にインスピレーションを受け、日本の心を伝えるべく、私たちは遠く離れたスウェーデンの地にMoss gardenを造ったのだ。
生えている雑草を取り、砂を敷き、苔を敷きつめる。言葉にしたら淡々と進んでいくような作業だが、私たちは数日かけてその作業に全勢力を注いだ。
苔の上に裸足で立ち、目を閉じてみる。するとそこがどこであるか一瞬わからなくなるが、苔というなんとも不思議で偉大で愛らしい存在が生きているということを、自分の皮膚で、空気で、感じることができる。
水をあげると苔が喜んでいるのがよくわかり、裸足で踏めば踏むほど庭全体の表情が穏やかになっていくような気がした。
私たちが苔を生かしているのではなく、苔が私たちを生かしているのではないかという感覚さえ生まれる程だ。苔にはとてつもないパワーが宿っている。
白夜にみた夢のような話。でもこの手の平が、足の裏が、全身がきっと教えてくれる。
スウェーデンに小さな日本の心をそっとこしらえたことを。
All photos taked by Gin Hasegawa