【応援メッセージ】浪江町から避難/学習塾経営・堀川文夫さん
vol. 12 2019-01-18 0
ふるさとの亡失
それは原発事故最大の災禍のひとつと言えるかもしれません。
福島県浪江町。美しい山河、果てしない水平線を抱く太平洋。四季折々の自然とそこに住む人々は密着に結びついていました。
「浜であがったヒラメが、山際の農家の台所にその日のうちに当たり前に並ぶような場所だったんですよ。春は山菜、夏は鮎、秋はきのこ。それが全部台無しになったんです」
そこで少人数の学習塾を経営されていた堀川文夫さん貴子さんご夫妻。学習に自然とのふれあいを取り込んだ教育方針は双葉郡内でも有名で、学力はもちろん人間力もつくと評判の塾だったそうです。
夏の合宿は午前中は学習、午後は目一杯野山で遊ぶスタイル。この合宿が目当てで入塾する子供達もたくさんいたそうです。
原発立地区域に隣接しながらも原発に対する疑問は長年主張されてきましたが、3.11で危惧していたことが現実になります。
ご夫妻と愛犬「桃」、愛猫「みかん」を乗せた車は望まぬ逃避行(動物を受け入れる避難所、仮設住宅がなかったため、たくさんのペットが無人の街に置き去りにされざるをえなかった)を強いられます。
ようやく落ち着いた遥か離れた静岡県富士市。現地の皆さんの受け入れもあって、今はそこで塾を再開されています。
ですが、不幸は続きます。家族同然だった桃が避難先で亡くなります。
桃の死は懐かしい浪江での楽しかった時間をたっぷりと思い出させてくれたそうです。そして、桃への弔いの意味も兼ねた絵本「手紙 お母さんへ」を自費出版するに至りました。
文は貴子さんが担当、装画は全て浪江そして富士市の生徒たちと息子さんの手によるものです。編集は浪江の小中学時代の同級生。そして天国にいる桃ちゃん。浪江への思いと二度と繰り返したくない故郷の亡失への無念の思いが、小さな「もやい」を作り出し一遍の絵本が紡ぎあげられました。
原発事故がもたらした災禍を愛犬からの眼差しで描かれた絵本は口コミで評判が広がり、福島を思うたくさんの人々の手に旅立って行きました。
天国にいる桃ちゃんも、きっともやい展に来てくれるに違いありません。
堀川文夫さん・貴子さん 応援メッセージありがとうございました。
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原発事故前は浪江町で塾を開き、勉強だけでない人づくりをめざして日々励んできました。
仲間もいっぱいいて、共同で船を持ちカジキやカツオ・メジマグロなどの回遊魚からヒラメ・カレイ・メバル・アイナメといった底物まで釣りを楽しんでいました。
それがあの日以来・・・。
「モヤイ展」
船舶免許を取るときに学んだモヤイ結び、どんなにきつく締めても結び目が固まらず簡単に解くことができる、船の作業には欠かせない結び方。なるほど「モヤイ展」とはそういうものかとなんとなく納得させられました。
「モヤイ展」
様々な分野の芸術家たちが集い、それぞれの表現方法で3.11と向き合う。それを見る人が受け止める。芸術家たちと来場者、そしてこの展覧会に関わるすべての人をモヤい結んでいく。
ああ、早く行きたい。待ち遠しい。
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「もやい」それは、荒縄の強固な結び。3.11から8年、福島原発事故と向き合ってきたアーチスト達の個々の表現が金沢21世紀美術館で結ばれます。絵画、彫刻、写真、生花、造形、詩歌……福島の現実と命の輝きがあなたを包みます。
引き続き、シェア・ご支援のほどよろしくお願い致します!
https://motion-gallery.net/projects/2019moyai_kanazawa
★もやい展スケジュール★
場所:金沢21世紀美術館 ギャラリーA(石川県金沢市広坂)https://www.kanazawa21.jp/
日時:2019年3月5日(火)〜10日(日)
5−7日/10時~18時 8−9日/10時〜20時 10日/10時〜17時
入場料:100円(各種免除規定あり)