【応援メッセージ】 相澤洋美さん(フリーライター)
vol. 5 2018-12-26 0
彼女が紡ぐ、言葉が好きだ。
近所の学びサークルのようなところで出逢った彼女は、大人の気品を放ちながら、それでいて少女のような好奇心を湛えた瞳で、朗らかに笑う魅力的な女性(ひと)だった。
そんな彼女が、たまたま別のご縁で中筋純の写真展に行ったと聞いた。彼女が上げてくれた投稿に、首都圏に暮らす多くの人の想いがあらわれていた。
今回も、普通のお母さんが、市井の民が日々静かに感じていることを、彼女の言葉で真っすぐに表してくださったこと、とてもうれしく思います。ありがとうございます☆
相澤洋美さんプロフィール
ライター/編集者
広告制作会社を経てフリーに。雑誌、書籍、新聞、WEBなどで人物取材を中心に執筆と編集を手がけ、皇室関係の書籍編集や執筆も行っている。パンとマカロン好きが高じ、パリへの移住を夢見て、目下フランス語勉強中。
【ブログ】A primrose by the river’s brim
【不定期掲載】文春オンラインhttp://bunshun.jp/search/author/%E7%9B%B8%E6%BE%A4%20%E6%B4%8B%E7%BE%8E
【過去に手がけたムック本】『まるごとわかる!撮り方ブック』(日東書院本社)、『皇室ファッション革命』(文藝春秋)、『昭和天皇秘録』(宝島社)、『植木等と昭和の時代』(宝島社)など多数
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東京オリンピック・パラリンピックを再来年に控え、「平成」を終えようとしている陰で、「3.11」がすでに昔話のようにあつかわれることがある。確かに「フクシマ」は、もう以前の「福島」と同じではないが、昔話ではない。現実なのだ。
日本が未曾有の大災害に襲われたのは、もう7年半も前のことだ。
震源地から遠く離れているはずの東京が大パニックになったのは、自然の驚異に人々の心が根底から揺さぶられたからだろう。震災後、あらゆる店から食料品や水、日用品が消え、それはまるで、かつて教科書で目にした「オイルショック騒動」を思わせた。
地震、津波、原発事故。次から次へと「試練」が日本を襲い、故郷を永遠に失ってしまった人たちもいる。
中筋純さんのカメラがとらえた、宴会が始まる直前のセットされたお膳や、帰りの会を待つ児童たちのランドセル、黒板に書かれた「日直」の文字──その一枚一枚は、平凡な続きがあったことを物語っている。
しかし、その「続き」は永遠にやってこない。
故郷に変わる場所は、どこにもない。
故郷を新しくつくることや、故郷に再び住めるようにすることは、わたしにはできないけれど、故郷をいつまでも覚えていること、そのために伝え続けることなら、わたしにもできる。
「もやい展」は、そんな思いを持つアーティストたちが、それぞれの気持ちや記憶を風化させないよう、作品として展開する場だという。
作品として形に残す人、見ることで記憶を継続する人、そういう輪がつながり、広がっていくことが、福島を未来につなぐことになるのだと思う。
わたしたちは、想像すべきだ。自分の故郷が明日なくなるかもしれないことを。
そして祈るのだ。希望をつなぐ方法を。明日もその先も、ずっと故郷が心に残り続けるように。
一人でも多くの人が「もやい展」に足を運んでくれることが、その第一歩になると、わたしは信じている。
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「もやい」それは、荒縄の強固な結び。3.11から8年、福島原発事故と向き合ってきたアーチスト達の個々の表現が金沢21世紀美術館で結ばれます。絵画、彫刻、写真、生花、造形、詩歌……福島の現実と命の輝きがあなたを包みます。
引き続き、シェア・ご支援のほどよろしくお願い致します!
https://motion-gallery.net/projects/2019moyai_kanazawa
★もやい展スケジュール★
場所:金沢21世紀美術館 ギャラリーA(石川県金沢市広坂)https://www.kanazawa21.jp/
日時:2019年3月5日(火)〜10日(日)
5−7日/10時~18時 8−9日/10時〜20時 10日/10時〜17時
入場料:100円(各種免除規定あり)