プロジェクト始動、イギリスへ作品発送:その①
vol. 6 2018-12-30 0
コレクターの皆さまにはすでにお知らせしていましたが、
作品を寺田倉庫さんからではなく、知人を通してFedExで発送することにしました。
(12月26日、作品は無事に旅出ちました!)
ようやく落ち着いたので、ここまでの経緯を、何回かに分けてまとめていこうと思います。
まず一回目は
【作品発送方法の変更の理由について】
最初に美術梱包を利用したいと思った理由について改めてまとめます。
◎最初にFedExに送料を問い合わせた時、個人の輸送だと34万円という見積もりだった。(w100×d70×h70cm、50kg)
梱包代(大体3万円くらいだろうと考えて)を含めたら38万円。
→寺田倉庫さんで出してもらった見積もり43万円とそこまで大きな変わりはない。
◎FedExを利用したことがないので書類の作り方について、不安が大きかった。
◎FedExの荷物の取り扱いの仕方が荒いと聞いて、それがどれくらいのものなのか想像がつ かず、どこまで梱包すれば大丈夫なのか不安だった。
◎通関でなにか起こった場合に自分が対応しなければならないと考えただけでも気が滅入っ た。(過去の経験から。)
→イタリアから荷物を送り返した時、荷物が届くのに1か月かかった。届いた荷物は濡れて穴 が開いてた/荷物のうち一つは書類不備で通関でとまってしまって、イタリア国内に留まっ たまま、結局フェアスタッフが代わりに引き取ってくれた。止まった荷物についてのやりと りはイタリアのクーリエとイタリアの郵政局、日本の郵政局をたらい回し。最終的に、ポス テイタリアのツイッターのDMで毎日違うスタッフとやりとりをして(スタッフ間の引継ぎ がないので毎日同じ説明から始めなければならない)、事態が終息するまでに1か月かかっ た。
という経験から、二度と海外のクーリエとの通関で止めれられた荷物についてのやり取りを したくないという思いがあった。
◎それならば、梱包も発送も書類作成も全て寺田倉庫さんに頼んだ方がずっと安心だと考えた。
要するに、個人で発送することに関して、不安しかなかったのです。
梱包についてというよりは、輸送の過程、とくに書類の不備における通関に関する不安でした。
無事に作品を届けることだけを最優先事項として、当初そのためだけに動いていました。
ではなぜ、発送方法を変えたのか。
元には、私自身も本当はイギリスへ行きたいという気持ちがあったからでした。
◎私自身がフェアでアテンドをしたい
※作品を出すだけでは勿体ない、記念にしかならない、あなたがいることで作品に関心をもってくれる人が増える、やはり会場に来てほしいという、友人やフェアスタッフからの声かけがありました。
特に、今年3月ローマのArtrooms fairのSculpture Park section(そのセクションも在廊の義務はなかったのですが、イタリアのアーティストたちはほぼ全員その場にいました。)に出品し、今回のロンドンもShingle work sectionで展示することになったアーティストの仲間たちからは、前回の自身の経験から、その場にいることで繋がった縁があるからと後押しされました。
◎ロンドンのギャラリストと交渉したい
※(売れなかった場合の)作品の引き取り手を探す目的で、計50件のメールをイギリスのギャラリーに向けて送りました。(内容は、自分が日本人の陶芸のアーティストであるということ、今度イギリスのフェアで作品を展示すること、展示をみにきてほしいこと、在廊予定時間、そしてフェア以外でイギリスで展示をするのが目標だということ)
結果、ロンドンのギャラリー二軒から、好意的な返事をもらうことができました。ロンドンにいれば話をしてもらえるということで、フェア会場もしくはわたしがギャラリーへ直接出向いて話をすることになりました。
◎実際に鑑賞者の反応をみたい―触れてもらうために
※わたしは作品に手で触れてもらうことから、言葉によらない、感触・感覚での作品との対話を生みたいと考えています。でも作品に手を触れることはわたしがいないとアプローチが難しいのではという指摘をアーティストの知人から貰いました。理由は、何かあった時にフェア側は責任を取れないということ、作品に触れるということは基本的にはタブーだから、例えキャプションがあっても皆きっと観るだけで終わってしまうと思う、ということでした。確かにわたしがいなければ、どう触れていいのかが具体的でない(自由にといわれても困る)かもしれません。また、触れるときの鑑賞者の仕草や触れたときの鑑賞者の表情を現場でみること、そのあとのわたしと鑑賞者のコミュニケーションが大切になってくるということもまた指摘されました。
以上がわたしがイギリスに行きたい理由です。
とくに、海外のアーティストの友人たちの説得が私の気持ちを動かしてくれました。
またそれとは別に、
作品が売れず、ロンドンでの取り扱いもなく日本へ戻さなければならないときには、作品を送る料金(イタリアの取り扱いギャラリーへ輸送します)も必要になります。
できるだけその事態は避けたいのですが、最悪のその場合に備える必要もありました。
とはいっても、実際に発送方法を変えるということに関してはなかなか決断できずにいました。
冒頭に述べた通り、
とにもかくにも、作品を自分ひとりで発送することは、不安だったのです。
【実経験のある知人の後押し】
後押しをしてくれたのは、
WA-Porter、HANDECOの代表の飯村祐子さんでした。彼女が自分のお仕事に基づいた経験を話してくれて、協力をしてくれると申し出てくれなければこの決断には至っていません。
飯村さんには去年イギリスへ行く際に、ギャラリーへ向けて自分の紹介をするためのブックをつくるお仕事も依頼して、素敵なブックを作っていただきました。
ブックを作るにあたり、私の作品画像を扱うと共に制作背景についても話合いをさせていただいたおかげで、飯村さんはわたしの制作についてもとてもよく理解してくださっています。
信頼できる方からの意見、アドバイスだったので、私も安心して相談でき、耳を傾けることができました。(もっと安く送れる、といわれても、具体的な話が何もなかったので、その話を真に受けることはできずにいました。正攻法でなければ安心できないというのもありました。)
【飯村祐子さんと彼女のおしごとについて】
飯村さんについて少し紹介をしたいと思います。
飯村さんとは以前つくば市吉瀬にあるつくば文化郷で知り合いました。
彼女はWA-Poter、HANDECOといった会社を自分ひとりで立ちあげて、日本の文化、伝統を世界へ向けて発信していくというお仕事をしています。以下それぞれの会社のコンセプトです。
【WA-Porter】
「日本の文化、伝統工芸品などのジャパンブランドを世界に紹介する活動をしています。色々な『わ』の運び人です。
日本ブランド力の構築をグローバルにサポートし、国境を越え、企業と企業、人と人を繋ぐための運び人。それがWA-Poterです。」
【HANDECO】
「HANDECOは、日本の伝統工芸品や伝統文化を表現した製品ブランドです。
地域から産出される素材を元に、伝統技術と匠の技によって、脈々と受け継がれてきた日本の技術を、次の世代に繋げていきたい、という想いから始まりました。
この製品が生活の道具として使用され、そこに心温まる彩りや遊びがあることで、1日のわずがな時間に穏やかな時間が生まれる、そんなことが何よりの喜びです。
手 - HAND から生まれた製品で、あなたの生活に彩りが生まれますように - DECORATION。 Made in Japan」
(Websiteから文章を引用させていただきました。)
ご自身がかつてはオートクチュールを制作していたという背景もあって、
飯村さんはただモノを売る、発信するだけでなく作り手の気持ち、見えない部分にある大事なコトを届けることも大切にしています。
最近はアメリカ(NY)のギャラリーで(取り扱い作家の)作品を取り扱われるようにもなり、国外へ向けて作品を送る仕事も多く扱っています。
ポイントは、飯村さんが経営しているこれらの会社が、「海外へ作品を輸送している実績のある会社」だということです。実績があることはやはり信頼に繋がります。
【飯村さんからのアドバイス、お仕事として輸送を委任するまで】
以下は飯村さんがアメリカのギャラリーとの取引についてお話してくださった輸送事例です。
●輸送方法ー梱包の仕方
・・・二重段ボールを二重にして重ねればかなり強く、外からの衝撃にも強い。
箱の内側に発泡スチロールをいれる。
器を桐箱にいれたものを、その段ボールにいれて輸送して壊れたことはない。
●荷物の量に対してかかるコストー送料
・・・アメリカまで、160サイズくらいの荷物を10箱送って、24万円程度。
重さにして100kgくらい。
このような飯村さんの実績をもとに、輸送に関してのアドバイスをいただいてから、
わたしの考えが徐々に変化し始めました。
といっても最初から飯村さんにお願いをするという流れで話がはじまったわけではなく、
まず個人で改めて連絡をとってみて、その上で難しい場合には飯村さんから荷物の発送について問い合わせてくれるということになっていました。
飯村さんからアドバイスしていただいて、日通と西濃に連絡をとってみました。
が、どちらも個人の輸出は難しいという反応でした。
理由は、
●私個人が送る
●受け取る側がホテル
●受取人の名前は私本人でなくてはならない
基本的に、輸出者ー輸入者がいて初めて成り立つので、今回のフェアの条件(ホテルでのフェア開催だが受け取りをホテルにはできない)の場合には利用が難しかったのです。
そこから、飯村さんがわたしの代わりに業者と連絡をとってくれることになりました。
そして、飯村さんの利用実績のあるFedExを利用するのがよいだろう、ということになったのです。
【輸送費について】
FedExの送料は、個人と法人とで倍以上変わります。今回だと、
★w100 d79.2 h80 cm /80kg
わたしが個人 ー 約36万円
法人契約をしている飯村さん - 約13万円
飯村さんにお仕事として依頼する場合には、そこに手続き代行の手数料が含まれますが、それを含めても約16万円。
最初に書いた通り、書類の手続き、通関で何か起きた場合に一人で対応することが不安だったので、前回書類不備で引っかかった私には、飯村さんが書類作成してくださるというだけでも大きな安心でした。
加えて、関税がいくらかかったとしても、1万6千円程度です。(今回は700ドルで関税は内容の価格に対して最大20パーセントなので、かかっても140ドル)
輸送費は全体で18万みていれば安心です。
梱包については、飯村さんの実績や、梱包の仕方を聞いた時点で、自分でも出来そうだと思えるようになっていました。
事実アメリカへEMSで送った作品は、破損なく無事に届いたという経験があります。
梱包は、冒頭にも書いた通り、3万円あれば大丈夫だろうとおもっていたので、
輸送費+梱包費用= 22万円。
みていれば大丈夫そうです。
以上のことを踏まえて、飯村さんに依頼しなおすことにしました。
【イギリスのフェア出展に際して輸送費(梱包費用)以外にかかる費用】
◎航空券の料金
イギリスと日本の往復 127、800円。
成田までの往復のバス 5、200円。
現地宿泊費用は 24,000円。
向こうでの生活費用(1/9-1/15でかかる食費、交際費、交通費) 40,000円。
また、現地では通訳をお願いすることにしました。(※また別の回でこれについて触れます)
5日間/一日5時間100ポンド 約70,000円。
作品の引き取り手のない場合のイタリアのギャラリー(UFOFABRIK)に作品を送るために必要なFedExの料金は、
およそ87,000円。
すべて合わせると概算で
支出合計574,000円。
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クラウドファンディングで集まった支援(手数料が引かれた額) 445,750円。
それ以外で集めた資金(残高) 15万円。
現在残金595、700円。
僅かではありますが、余裕をもって今回のプロジェクトを続行できます。
(仮に、作品が売れる/イギリスのギャラリーが預かってくれるとすれば、8万7000円の出費は必要なくなります。)
コレクターのみなさんの支援と、飯村さんのアシストなしには
「海外輸送前提の梱包を自分でする」
「美術輸送ではない方法で輸送する」
「自分もイギリスへ行ってフェアへ参加する」
ということに踏み切れず、この貴重な経験は出来ていませんでした。
改めて、今回支援をしてくださっているみなさんと、
そして輸送に協力してくださった飯村さんに、心から感謝しています。
一人では、絶対にできていない(できない)ことばかり。
どれだけ仲間に支えられているかということを、
今こうして文章を書きながらも噛みしめています。
その分の成果出せるように、引き続き準備を整え、本番に備えます。
その②では、寺田倉庫さんについて。
実は、上記の事情で輸送をキャンセルしたあとにも、担当のKさんが丁寧に梱包の相談にのってくださり、アドバイスもしてくださりました。
おかげで、梱包も自信をもって取り組むことが出来たのです。
というわけで、また次回に続きます。