鯨舟の撮影
vol. 19 2019-01-02 0
年末、1ヶ月間かけて鯨船の舟づくりの様子を取材しました。
森に木を伐り出しに行くところからの密着撮影。
監督、指揮するのは、舟づくりの名匠イグナシウス。息子のデモやヨセフとともに手斧を振るい、長い時間をかけて舟を造ります。
ラマレラの鯨舟づくりのすごいのは、図面がないこと。すべてイグナシウスの記憶と感覚が頼りです。そして釘を一本も使わず、一枚一枚板を合わせていきます。
造り方にこんなにこだわるのはそれが信仰と一体となっているのですが、そんなところにもくじらびとたちの深い思いが読み取れます。
映画としては、「この舟は手作りで釘を一本も使わない」と船の完成形の映像とナレーションで説明すればこんな取材をしなくても説明には事足りるのですが、自分の映画づくりは違います。
伝えたいのはくじらびとの心の内。その思いを密着してカメラを向け続けることで紡ごうと努力してみました。何の説明もしなくても、観客は、その映像を通して、くじらびとが鯨漁に寄せる思い、船への愛情、そして祈りを感じ取ることでしょう。僕はそれを映像に宿る魂、文学で言えば言霊のようなとても大事なものだと考えています。
そしてもうひとつのお知らせがあります。予告していた2回目のクラウドファンデイングがスタートしました。こちらも友人の方、興味のありそうな方がいれば、どうぞよろしくお願いします。もちろん再度のファンディングも大歓迎です。1回目と合わせてグレードアップできるよう配慮しています。
なお、今回の鯨船取材では、実は思わぬことが起こったのですが、それはまた改めて記します。