和力のファンになった女の子
vol. 20 2015-05-08 0
【映像収録シリーズ4】練馬公演
和力の呼び物のひとつに大道芸があり、幕開け前に、加藤木 朗が舞台に登場して『コマの芸』を披露します。
二つ目のコマが終り拍手喝采をうけると、三つ目に入り、加藤木が客席に呼びかけます。
「次のコマは私ひとりではできません。誰か手伝ってやってもよいと思う人!」というと、会場のお客さまが手を上げられます。
そこで舞台上で加藤木と一緒に遊び、開演前、お客さまに和んでいただきます。
今回レポートする『練馬公演』は昨年(2014年12月)に行われましたが、9ヶ月前の3月に、和力は東日本大震災支援公演『チカラ』を行いました。
その公演に和力をご支援してくださっているご夫妻がお孫さん(5歳の女の子)とやってきました。
5歳のお孫さんには初めての和力です。
「誰か手伝ってやっても良いと思う人!」という加藤木の声に、女の子は「はいっ!」と大きな声で勢いよく手を上げました。
驚いたのは、女の子の両脇に座っていた祖父母です。
「大丈夫なの? 私たちは行けないのだよ」と心配する祖母に、女の子は「だってやりたいんだもん」と答えました。
ひとりで舞台に上がった女の子は、緊張の面持ちで口の中に指をいれて舞台に上がります。
「お手々はおいしいのですか?」と加藤木にのぞき込まれ、女の子はあわてて口から手を離しました。
こうして、無事に彼女の舞台デビューが終わりました。
しかし、そのあと和力の舞台でくり広げられるのは、女の子の聴きなれない伝統楽器による演奏です。舞台に上がったことで気持ちが高ぶっていたものの、やはり5歳の女の子です。やがて祖父母に連れられてロビーに出ていきました。
それから今回の練馬公演(2014年12月)に、その女の子がお父さんと一緒にやってきました。
「娘は舞台に出る気満々です!」とお父さんがおっしゃいました。3月には手を引かれていたのに、今度はお父さんの手を引いてやってきたのです。
本番がはじまり、指名されて女の子は舞台に立ちました。
名前を聞かれると、何かもぞもぞ言っている様子です。進行の加藤木が腰をかがめて聞き耳を立てると、「名前は○○、まえにきたの・・・」と聞こえます。
どこまでが名前なのか加藤木には分かりません。どうも、女の子は自分の名前と一緒に9ヶ月前にも舞台に立ったことを説明しているらしいのです。
2人のやり取りに会場が沸きました。
幼稚園、小学校公演を永く経験されている関係者からお聞きすると、舞台をおとなしく見ていられる限度は小学校低学年で10分~20分なのだといいます。それ以上長くなるとザワザワしてしまうそうです。
女の子は春先に和力を経験して耳なれたせいか、第1部の1時間を飽きずにご覧になりました。
第2部は、女の子が未体験の音舞語り(おとまいかたり)『雪女』です。
第2部が始まる前、女の子にこれからはじまる物語を手短に説明させていただきました。
「雪女はね、自分のことが雪女と知られたら、相手のことを殺してしまわなくてはならない。
でも、その知った相手が旦那さんだった。雪女は夫が好きだったから、殺すことができない。そのまま、雪の國にもどります。そうすると、みんなとの約束を守らないやつだと、仲間からいじめられちゃうンだよ。すると雪女はどうなるのでしょう。・・・そうそう、その雪女の役に、あのコマのおじさんがなります」。
さて、女の子は和力の舞台を最後までご覧になれたのでしょうか。
終演後、女の子は、出口で待ち構える撮影クルーのインタビューに「雪女、おもしろかった」と答えて会場を後にされました。
9ヶ月前には指をなめていて15分ともたなかった女の子が、今回は2時間に及ぶ本公演の観劇を乗り切られました。
また1人、和力のファンが増えました。