上映作品紹介その② 「漂うがごとく」
vol. 2 2018-06-25 0
ベトナム映画祭を応援してくださる皆様へ
上映作品決定その②はブイ・タク・チュエン監督の「漂うがごとく」(原題: Choi voi 英題:Adrift)をご紹介します。
第66回ヴェネツィア国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞。脚本を昨年の東京国際映画祭のCROSSCUT ASIA部門で「大親父と、小親父と、その他の話」が上映された、ベトナムの鬼才ファン・ダン・ジーが担当。ベトナム映画で割と少ないアート色の強い作品です。
そのファン・ダン・ジー監督作品をご覧になったことがある方ならわかるかもしれませんが、満たされることのない人間の孤独や欲望を表現し、登場人物がそれぞれ抱える心の乾きが、湿度の高いベトナムの風景やたゆたう水の流れなど美しい映像と共に描かれた傑作です。
物語は結婚式から始まります。知り合って間もなく結婚した二人はまだ若く、新郎は2歳年下のタクシー運転手で、母親も子離れできていない様子。夜勤が多くすれ違いも続きます。一方新婦のズエンは、親友のカムに手紙を届けてほしいとある男の家を訪ねます。そこで出会った男の存在が、彼女の心を狂わせていきます。
主人公ズエン役には「モン族の少女 パオの物語」のドー・ハイ・イエン。親友カム役には「インドシナ」のリン・ダン・ファム。監督は、第6回NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映された「癒やされた地」の監督でもあります。現在TPDベトナム映画発展支援センターで、若手映画人の指導にもあたっています。