監督制作日誌・第一話:キャラクターの作り方
vol. 9 2025-07-15 0
こんにちは。木村聡志です。この映画の監督をしています。
「会話劇を撮るのが得意な監督」とよく言われるので、どういうことを考えて何を撮りたくて会話劇を作ってるのかを今回は説明します。日誌じゃなくてすいません。
「最後の晩餐は何食べたい?」「無人島に一つだけ持っていけるとしたら何持っていきたい?」「来世は何になりたい?」
よくある定番のゴミ質問をざっとあげましたが、これ全部どういう状況?って思わないですか。
「最後の晩餐」って何?
もし地球が滅亡するとかだとしたら正直食事どころじゃないし、食事一回分くらいのタイムリミットで死ぬのが確定してるとしたら食事の時間削ってでもやりたいことあるし、この世から食事という概念がなくなるとかだとしたらもう何食べたいとかじゃないし。あんまり良くなさそうな未来が待ってる状況で寿司とか食べたいですか?
「無人島に一つだけ何かを持っていく」って何?
みんなはちゃんと元気に文明のもとに暮らしてるのに木村聡志だけ何か一つ持って無人島にいくってこと?服はカウントされてるの?そもそも目悪いからメガネもカウントされるんならその時点で詰むんですけど。
「来世」って何?
今世の情報持ち込めるんですか?そもそも何になりたいとかで表現できるような世界線なんですか?来世って』
すごい急いで書いたんでちゃんと精査できてないけど、一人の人間に質問して返ってきた回答としてまあ別にそこまで違和感はないかなと思います。
つまり上に挙げたのは別に僕の思想な訳じゃなくて、偏屈な考えを持ってる登場人物Aが回答しそうなことことみたいな感じで今回はキャラ造形を作っていきました。
例えば脚本を作るうえで行き詰まったりしたら上のような質問を登場人物に投げかけてみたりします。別に本編に関係なくても。そうすると違う角度からその人がわかったり、この人ってこういう時にこう考えるからこんな台詞言わないよなとか前のシーンをさらったりできたりします。
ただ「木村はこういう人間だ」とある人に聞いたらそう言うかもしれないけど、また別の人に聞いたら「いやいや木村とはこういう人間だ」と全く真逆のことを言うこともあると思います。別に木村が多重人格なわけじゃなくて人間ってそういうものだなって思います。普通に。
偏屈な登場人物だとしてもその人の中で人並みに許せるラインと絶対的に守りたいルールが存在する物だと思っています。
だから「この人は偏屈な登場人物だから普通の人が言いそうなこんなことはここでは言わないよな」と決めつけるのではなくなるべく多角的に見れるように努力してキャラクターを作り上げていきます。つまり上みたいな質問を一回するのではなく違う質問者として違う角度からその人を掘り下げていくのが大事かなと思います。時には時空を超えて。深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗いているのです。
まあだから結論、自分は会話が描きたいわけじゃなくてキャラクターそのものが描きたいのだと思います。その過程に会話があってそこからわかってくるものに興味があるのだと思います。決して会話劇が得意なわけではありません。
面白かったらスパチャだと思って1000円入れてください。コメント読みます。
https://motion-gallery.net/projects/vacances-begin...
第一話完(なんか僕だけ3回分くらい書いてくれって言われてます)
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プロデューサーの市橋です。
監督制作日誌・第二話からはコレクター限定となりますので、続きにご興味ありましたら皆様よろしくお願いします!
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