制作日誌03:太宰役・足立 英さんより(前編)
vol. 5 2025-07-10 0
『ただの、バカンスダイアリー』(前編)
・1月28日、29日
WS(ワークショップ)オーディション。C組日程。シネマプロジェクトは5回目の挑戦。今回こそと意気込む。本当に良い組だった。芝居中は皆で食い入るように見て、前後では笑いが絶えない。メリハリ良く、22人皆でこのあたたかく熱気のある空気を作っている実感があった。皆ライバルだけど、支え合ってた。参加率で推し量るわけではないけれど、1日目も、2日目も皆で飲んだ。結果が出るまでの約1ヶ月、C組メンバーで何度も集まった。そして、今でも会う。他のA、B、D組はそうではないらしい。こんなことは自分も初めて。みんな、ありがとう。また現場で!
・2月18日
合格連絡が届いた。大袈裟でなく、C組じゃなければこの結果はなかったと思う。和気あいあいとしていて、芝居外でもいろんな人間性を引き出してもらえました。いずれ直接感謝を伝えさせてください。
余談ですが、今回は応募が357名からあって、書類が通ったのは90名。当然1人1人に目を通して、プロフィール資料で雰囲気がわからない人はweb検索をして、それでわからない人はSNSを探して、見て、と357名それぞれの隅々まで調べてから選んだ90名だと木村監督自身が仰っていました。
書類で落選したオーディションなんてこれまで数百回とあるけれど、書類の段階でここまで見て、調べてから決めてくれる監督は他にいないのではないか。
信頼できるなと思った。また、おこがましいけど、今回採用に至らなかった347名の思いも背負って必ず良い映画にしようと誓う。ENBUシネマプロジェクトは過去落選4回、その気持ちは十二分にわかっているつもり。
・2月19日〜4月16日
音沙汰なし。受かったのは夢か?と思う。聞いてないけれど、他のメンバーもそう感じていたのではなかろうか。
・4月17日
キャスト一覧が送られてくる。どうやら本当に受かっていたみたいでひと安心。これ、ほんとうに。C組で一緒だった古堅元貴くんの名前を見つけ歓喜し即連絡。本当に嬉しい。直近の現場で一緒だった芋生悠さんや、前回のシネマプロジェクト「ほなまた明日」のWSオーディションで出会いその後親交のあるQ本かよさんの出演もこの時に知り、これについても歓喜。視聴していた「ウルトラマンアーク」主人公のユウマこと戸塚有輝くんもいて歓喜。あさっては芋生悠の初監督作を観に行く。
・4月19日
芋生さんの初監督映画「解放」を観に。素晴らしかった。芋生ちゃん、初監督おめでとう。で、トイレで、隣に見覚えのあるジャージが。偶然、木村監督と遭遇。オーディション以来でなんだか緊張。心の中では選んでくれてありがとうございますッとかなんとか叫びながら、そんな素振りは見せない。「木村さんじゃないですか!お疲れさまですー!」とかなんとか喋りながら、パンフレットを買って、木村さんを引き連れて、芋生悠サイン待ちの列へ。「次の現場お願いします」と話して解散。顔合わせがより楽しみに、待ち遠しくなった。
・4月30日
準備稿が送られてくる。おもしろい。これまで4回落ちてきたのはこの役に出会う為だったのだなと思えて、素直に嬉しかった。オーディションで演じたシーンを見つけると心がじんわりする。役者あるあるだと思う。ちなみにオーディションでは、今回の映画で山口雄大くんが演じた詩人・天馬役を僕は演じていました。まだ皆様はご覧になられていないのでサッパリだと思いますが、実際に僕が映画で演じた太宰役と、この天馬役はまったく違う役で、これまたおもしろいことに、天馬役の山口くんはオーディションでは太宰役を演っていたそうです。このキャスティング秘話は個人的にとても気になっているので、これを読んで、そして映画をご鑑賞してくださった貴方、ぜひ舞台挨拶等で木村監督に一緒に聞きましょう。
・5月13日 本読み・懇親会
初めてキャスト10名が揃う日。ひと通り読み終えた後、木村監督から、どういう風に演じたいか?それぞれ聞かれていく。こんなことは初めて。たくさん答えたけど、細かいところはなんて話したのか覚えていない。どうやら緊張していたらしい。
18時から懇親会。気づけば終電。本当に初対面だろうか。良い座組になる匂いが漂う。
※みんなと話すのに夢中で写真は、ない。
・5月27日 衣装合わせ
今回は皆自前衣装なので、大荷物を抱えて会場に向かう。せっかくの自前なので、自分の生活感は敢えてそのままに、役とうまく絡めて形成できたらなと思う。ただ、役から生活感に逃げないように、流れないように注意。
この日にスタッフさんとも初めまして。業界お決まりの各部署からの自己紹介マシンガン(ドラマ「ブラッシュアップライフ」第5話をご参照ください)の日。俳優部は名前マシンガンを浴びまくるだけなので大変です。しかも、今回は「中村」さんが3名もいます。僕は現場で名前がわからない方がいるのは絶対に嫌なので、いつもその場でメモ(場合によっては写真も)を取ってその日のうちに全員覚える。
僕はその日の最後だったので、覚えたての名前を抱え、監督スタッフを飲みに誘う。時刻は18時30分。1杯だけね、で気づけば終電。アルコールの匂いが漂う。
↑左から時計回りに、さちひこさん(田中佐知彦)、元彦(中村元彦)、まりん(山口真凜)、まっきー(槇原滝太)、中村くん(中村幸貴)、木村監督(木村聡志)
・5月29日
夜、決定稿台本が届く。クランクインまで中3日。結構な量が変わっていて、相当に焦る。語尾等々の変化も多くあり、個人的には、役をゼロから作り直し。入っていた数日の予定を全てキャンセルし台本作業に当てる。
・5月30日
セリフだけは、覚え直した。役はまだまだ。
・5月31日
美容院へ。太宰役に合わせて切る。しかし決定稿に合わせた役のノリが見つからない。ただそこに生きるだけで済む、役のチャンネルを探す旅。この時間は毎回、孤独だ。
・6月2日
クランクイン。いまだチャンネルは合わず。不安。撮影のファーストシーンは優香(芋生さん)、詩菜(新帆さん)との車内のシーン。「ここはみんな無言で」と監督からの演出。久々の再会シーンでもあることから、3人共「!?」となる。そうくるとは。驚いた。
カフェのシーン。「できるだけゆったりのペースで会話を。貴族感を」と監督からの演出。これにも3人共驚いた。リハーサルを重ねる。皆、役が重なってくる。ようやくノリを見つける。不安が一気になくなる。やはり、現場に行ってナンボですね。あとは共演者と環境をしっかり視るだけだ。
天馬役、山口くんはこのシーンから登場。かなり緊張している模様。汗、すごい。汗、イジる。「手は後ろで組んでずっとそのままにしちゃいましょう」と監督からの演出。見違えたように落ち着く。結局この所作が、最後まで天馬役の形成ポイントになる。尊い瞬間。これだから芝居はやめられないですね。
↑美術部の藤本さんの料理。美味い。
続いてカラオケ店のシーン。天馬劇場のシーン。山口くん、のびのびと。とても楽しいシーンだった。ゆうた、とても良かった。※山口雄大くんは雄大と書いて「ゆうた」と読むので、皆さんぜひ覚えてくださいね。
続いて芋生さんとの2人のシーン。ここはオーディションで受験者に課された抜粋シーンのひとつ。たぶん、オーディションではほとんどの組がうまく成立させられていなかった印象。心して臨む。「カット!OK!じゃあ今日はこれで終わりです!」。まさか。今日初のワンカット(カットを割らず、1カットの長回しで撮ること)。これが木村聡志か。先に言ってよ!達成感が滲む。この日のラーメンは忘れない。0時過ぎてたけど、今日くらいはいいだろう。貸し別荘にて山口くんと宿泊。気づけば4時まで2人で話す。ここに4泊。明日からは人も増えてくるぞ。バカンスは始まったばかり
後編へ続く https://motion-gallery.net/projects/vacances-begins/updates/56391