やりたいことをした方がいい。
vol. 5 2024-06-11 0
写真のキャプション;レック・チャイラートさん、痩せ衰えた象を買い取って自身が運営する象パークへの移送中。
一昨日の続きです。
マスク製造でなんとか半年ほど暮らしていった後、
コロナ禍で世界中、身動きができない状況が逆に功を奏したと言って良いのかわかりませんが、日本から取材班がタイに来れないので、提案さえ通れば僕たちがタイ国内でNHK WORLD のインタビュー番組を撮影をすることで仕事を作り出すことができたのです。コーヒー栽培で村おこしをする人、お茶作りでサステナブル環境を守ろうとしている人、海洋写真家で海の自然を守るために活動している人、少数民族で初めて大学教授になり、公的な立場で少数民族の文化や暮らしを守るために活動している人など様々な人たちをインタビューしました。そして、2020年8月に映画の主人公のレック・チャイラートさんと再会したのです。
そこで壊滅状態の観光産業で苦境に立たされている現場で働く人たち、そして象たちの状況を知りました。
レックさんはその窮状をなんとかしようと国内外の人たちに呼びかけて寄付を集め1601人の象の世話をする人たちへの金銭的サポートと1899頭の象たちの食料を提供していました。
ちなみに現在、タイで人間に飼われている象は3800頭あまり、野生象が2000頭ほどです。これが100年前には10万頭の象がいたんです。それゆえ絶滅危惧種に指定されています。
この取材がきっかけでレックさんと度々会うことになりました。2021年、コロナ禍は続き、この苦境の時こそ、何か始めるべきだと、小さくなっていても何も始まらないと、好きなことをした方がいいという思いが湧いてきました。パートナーの佐保とそうした話をずっとしてきました。そして、レック・チャイラートさんと会って話すたびに、頭の中にドキュメンタリーとしてこれはやるべきテーマだと強く思ったのです。そして、作るなら映画だと、ずっと心の中にあったやりたいことにひとつでした。5月に正式にレックさんに会って映画にしたい旨を説明しました。彼女から快諾を得て正式にこの映画のプロジェクトがスタートしたのです。
映画の制作は初めての経験です。インタビュー番組や会社のプロモーションビデオとは違います。書くと長くなりますので、割愛しますが、撮影技術的なことも再度学び直す必要がありました。
ただ、今この時代だからこそ、映画を作ることができたのです。フィルムを使っている時代であれば機材代やフィルム代、現像代など膨大なお金がかかります。デジタルの時代だからこそ、僕たちのような弱小チームで始めることができたのです。
この続きは明日。
奥野安彦