置き去りにされた場所で 〜福島県大堀相馬焼
vol. 18 2022-01-06 0
劇中で田中泯さんが踊る場所のご提供のみならず、クラウドファンディングのリターンの品にもご協力頂きました、ガッチ株式会社 代表取締役・松永窯四代目/松永武士様より応援メッセージを頂きました。
東日本大震災から10年が経過していますが、福島の復興はまだまだ現在進行中です。長い年月をかけて培ってきた伝統の場所を置いていかざるを得なくなった事態が、まだずっと続いているのです。
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東日本大震災により帰宅困難区域に指定された、旧大堀相馬焼松永窯、現在は場所を移し福島県内の新天地で事業再開をしていますが、やはり私が生まれて18年間育った場所を忘れることができない土地です。
突如して発生した東日本大震災により私達はこれまで生まれ育った場所を離れざるえなくなり、物理的にも多くのものを置いていきましたが、それだけでない多く感情がそこに置き去りにされてしまいました。
それは土地対する喜び、悲しみなども含めてそこに置き去りにした想い出のようなものかもしれません。
最初場所をお借りしたいというオファーをいただいたときに、「どうしてこのような場所で?」というのが率直な感想です。私の思い出の地でどのような表現をするのか少し怖くもありました。
福島県浪江町 松永窯さんをお借りして撮影(2019)
あれから10年経ち、その置き去りにされた場所でダンサーである田中泯さんがその場に降り立ち、泯さんが踊りだします。その『踊り』は10年間置き去りにされてしまった感情が再び動き出したかのようでした。
その『踊り』が終わると場所のむき出しの感情が浄化されていくようにも感じとれました。
その空気感を是非、映画館でしか感じることができない映像と音楽で味わっていただきたいです。
これまで震災のテーマに扱った映像はたくさん存在しますが、特別な言葉は必要ないのだなということが確認できて本当によかったです。私たちも今後の創作活動に大きなヒントを得ることができました。
犬童一心監督には素晴らしい機会をいただき本当に有難うございます。
【クラウドファウンディングのリターンについて】
先程の感情の話をしましたが、様々な感情が詰まった大堀相馬焼を是非、触れていただきたいです。
今回、リターンとして劇中のアニメーションを手掛けている山村浩二さん手書きの下絵を元にしたデザインをした限定マグカップをリターン品としてご用意させていただきました。
大堀相馬焼 クラウドファンディング限定マグカップ
この作品の一部のテーマを象徴するデザインをした限定のマグカップを是非手にとっていただき作品への余韻を感じていただけますと幸いです。(なぜ「蜘蛛」なのかは、是非映画を観てください。)
この「名付けようのない踊り」を一人でも多くの人に感じていただくため、皆様のお力をお借りすべく、クラウドファンディングにご参加いただけますようよろしくお願い申し上げます。
松永 武士(まつなが たけし)様
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<プロフィール>
ガッチ株式会社 代表取締役/松永窯四代目
1988年、福島県浪江町生まれ。明治43年に創業大堀相馬焼の窯元に生まれる。もともと家業を継ぐ予定はなく、大学在学中にガッチ株式会社を起ち上げる、東日本大震災を契機に家業の大堀相馬焼の松永窯の経営に携わり、販売面・商品開発面を担当。