「踊りを撮影する」 vol.3 ー 池田カメラマン
vol. 17 2022-01-05 0
制作ノート(5)
「名付けようのない踊り」は2年以上にわたる撮影を行っており、多くのカメラマンの方に参加いただきました。
4回にわたり「踊りを撮影する」と題し、中でも多くの撮影をして下さった4人のカメラマン(池内・清久・池田・星山)の方からの寄稿文を掲載しています。
「踊りを撮影する 」vol.3 は、池田直矢カメラマンです。
泯さんの踊りを撮影するーーどんな想いで撮影されていたのでしょうか。
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田中泯さんを撮影するに当って意識していたこと
撮影 池田直矢
私はフランス・ポワチエで行われた、国際ビエンナーレでの撮影を担当させて 頂きました。
監督「犬童一心」ダンサー「田中泯」ロケ地「フランス」
撮影者としては心踊る条件ですが.. なんて恐ろしい撮影オファーなんだろう..震えました。
技術、動き、言葉、感情、全てにおいて少しの嘘も見透かされ その全てが、映像に映ってしまう。そう感じたからです。
撮影するに当たって意識した事。それは「踊りは人の内側にある」
泯さんの書籍に書かれていた言葉です。
約2週間の滞在でしたが、1泊だけの荷物しか持たず。
手には小さなハンディーカム。
カメラと言う物理的で機械的な概念を可能な限り削ぎ落とし 生活はシンプルに。
泯さん、犬童さんとの食事、会話、視線、行動、感情、ダンスその小さな日常を 出来るだけ多く、自分の体内に感覚として取り込み。
少しだけ発信して。。1日のうち、ほんの数時間だけ行われる撮影に集中する。
撮影者として未熟で足りない今の自分も映像に映す。
曝け出す撮影、それが「名付けようのない踊り」と対峙する事なのではと..
犬童組。本作の一部になれた事に感謝いたします。
ポワチエで撮影している様子:レンズを覗いている池田カメラマン
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プロフィール[撮影:池田直矢]
1980年生まれ。香川県出身。撮影助手として「クライマーズハイ」(08/原田眞人監督)の小林元、映画界の巨匠 木村大作、デジタル撮影の権威である阪本善尚、撮影監督分野のパイオニアである高間賢治など、日本映画界を牽引してきた名カメラマン達に師事。
主な撮影作品 片山慎三監督「岬の兄妹」「さまよう刃」半野義弘 監督「PARADAISE NEXT」外山文治監督「ソワレ」池田暁監督「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」加藤卓哉「裏アカ」オダギリジョー監督「オリバーな犬」など。