残り17日! 東京プロジェクト・中村あずささんに住まいと居場所について聞いてみた
vol. 6 2015-10-14 0
応援ありがとうございます! つくろい東京ファンドです。
ファンディング期間も残り17日。ますます頑張ってまいりますので、引き続き応援よろしくお願いします!
さて、東京・池袋を拠点として、ホームレス状態の方、特に精神障がいや知的機能障がいを抱えている方に対し精力的な支援をおこなっている活動に「東京プロジェクト」があります。
専門家らによる2度にわたるホームレス実態調査の結果、ホームレス状態にある人のうち6割に何らかの精神症状があることが判明しました。また半数以上に自殺のリスク、24%が特に危険な状態、32%が過去実際に自殺を企図したことが判明しました。
その現状を受け、日本国内のホー ムレス状態にある人々に対する医療・保健・福祉へのアクセスの改善、精神状態と生活状況の底上げ、地域生活の安定、また、多くの人にこの現状を伝えること、状況を改善すべく政策決定に携わる人々へ訴えかけるアドホカシー活動が急務の課題であると判断し、2010年に世界の医療団は 「東京プロジェクト」(ホームレス状態の人々の精神と生活向上プロジェクト)を立ち上げました。
● 世界の医療団・東京プロジェクト ウェブサイトより
現在「ボン・マカロニ」と名づけられた居場所兼日中活動の拠点を池袋に構えつづ、わたしたち「つくろい東京ファンド」や 「要町あさやけ子ども食堂」などとも連携しながら様々な「貧困」に対し支援の輪を広げている同プロジェクト。
今回は中村あずささん(世界の医療団/東京プロジェクトコーディネーター)に、いろいろな人が集まる居場所をつくる上で心がけていることや、日本をめぐる「住まいの貧困」についてお話を伺いました。
中村あずささん
── 「東京プロジェクト」という支援の枠組みの中で、多数の人が集まって様々に過ごす「居場所活動」は、どのように位置づけられているのでしょうか?
中村:東京プロジェクトは、主にホームレス状態にある人が地域で安定して自分らしい生活を実現することをサポートする活動をしています。その中で「居場所の活動」は、中心です。
「やらなきゃいけない」とか「やらされる」のではなくて、自分たちで活動を作り上げると思えるような場所。自由さを感じられて、自分が活躍できる場所。そこにいて安心できる場所。ここに来れば、仲間やあいたい人に会える場所。
そういう居場所になるよう心がけているし、自然とそうなってきました。
── どのような経緯で、そのようなあり方の居場所になったのですか?
中村:最初はスタッフの思いから、もっと教育的なプログラムなどをやろうとしていたんですけれど、それだと人が集まらなかったんです。それで、当事者の人たちで何をやりたいか話し合ったり、実際にいろんなことをやってみる中で、現在の形になってきました。
── 東京プロジェクトの拠点「マカロニ」には、どのような人たちが来られているのでしょうか?
中村:もともと一番来てほしかった孤立していた元路上生活者の方や、地域で障がいを持ちながら生活されている方、単に近隣に住んでいる方も集まってこられています。
── 地域や社会に、もっともっと「居場所」がたくさんできればいいと思うのですが、トラブルが起こるなどなかなか難しい現実もあります。東京プロジェクトではその問題をどのように解決されていますか?
中村:こっちでもいろんな問題は起こっています。必ずしもみんなが平等で自由というわけではありません。ただ、問題が起こった時に「話し合わなきゃ!」という空気が起こってくるんです。まぁ、解決しないんですけれど(笑)。それでも「どうありたいか」をいつもみんなで共有するようにしています。
── このようなコミュニティの問題は「住まい」の問題に直結します。特に近年の日本では、社会的マイノリティほど劣悪な住環境に追いやられることが多くなっています。中村さん自身、支援に関わっている中でどのような問題意識をお持ちでしょうか?
中村:住まいで困っている人があまりにも多い、それは異常なことだと思っています。その要因として、「住まいについて困っている」という違和感や危機感が、あまりはっきり社会で共有できていないからだと考えています。何故かというと、自分もまたその違和感を見過ごしてきたなぁ、と最近気づいたからなんです。
気づいたのは、先日フィンランドへ視察にいき、向こうのホームレス対策・ハウジングファーストの現状を目の当たりにしたことがきっかけです。ここでは貧困状態におかれている人が、環境のよい住宅を当たり前に得ていたんですね。
「みんなが良い住宅に住めること」。それがフィンランドの中で社会的にコンセンサスを得ていたんです。
2014年にアメリカを視察した際の報告書「ハウジングファースト─今までの「ホームレス支援」を根本から問い直すラディカルモデル」(世界の医療団・中村あずさ)より
こういうことを日本でも、まずは世界観の共有からできたらよいのではないでしょうか? その一助になるシンポジウムを今度開催する予定なので是非お越し下さい。
── 日頃「つくろい東京ファンド」も「東京プロジェクト」さんとは、何かと連携しつつお世話になっています。今回つくろい東京ファンドにおいて、空き家を活用し、家庭の事情で充分に食事することができないこどもがご飯を食べることができる居場所「こどもクッキングサロン」と、低賃金・家賃高に悩む「若者向けのシェアハウス」をクロスする形で開設しようと、プロジェクト及びクラウドファンディングが進行中です。
このような様々な人が寄り集まれる「新しい居場所」を作る試みについて、どうお感じになられますか?
中村:人が集まる場所は、集まる人や周りの人、何らかの形で関わりを持つ人にとっても、ものすごく力を持つ気がするんです。ですから、プロジェクトによって新しい居場所ができることはとても楽しみです。すごく期待しています(笑)。
── ありがとうございました![了]