【なぜ“津島”なのか】⑫ 生活の基盤は津島(今野秀則)
vol. 19 2023-05-11 0
山間の村落、津島の中心地にある旅館「松本屋」の4代目、6人兄弟の長男だった今野秀則さんは京都の大学を卒業後、福島県庁に就職した。勤務30数年の半分は自宅から車で30分ほどの南相馬市の支所勤め、あとの半分は福島市の本庁勤務だった。福島市内に下宿しても週末になると津島の実家に帰った。
自分の生活の基盤はあくまで故郷・津島。機会がある限り、津島に戻って、地域の人との交流を図ってきた。水路上げ作業、桜を植える共同作業、運動会・・・。
「地域の人たちとのつながり、その基礎になる風土的なものに私の人格は形成され、それで生きることが嬉しく、楽しかった」
将来は、「行政マン」としての経歴を生かし、地域の歴史や文化を記録に残し、地域をよりいいもの、豊かなものしたいという夢があった。原発事故でその故郷を失うまでは。